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バーチャル・パラ水泳大会の可能性

最近は、バーチャルでスポーツイベントの開催が増えて、参加者も観戦者も新たな楽しみ方に気が付き始めた。

なんといっても今年は、あの世界最大のサイクルロードレース「ツール・ド・フランス」がバーチャルで行われた。これは、スポーツ界を騒がせたできごとの一つであろう。

選手たちは、自宅でレースの映像を見ながら、ローラー台の上で必死に自転車を漕ぐ。その姿が印象的で、見ているほうはスポーツ観戦というより、ゲームを見ている感覚に近かったかもしれない。


 そして、ついにパラ水泳でもイギリス水泳連盟主催のバーチャル水泳大会が、12月16日(日本時間17日)に開催された。

実際観戦した結論を先に言うと、「とてもおもしろい!!」そして、「コスパいい!!」

つまり、今後のパラ水泳の普及・発展に関していうならば、非常に有効なイベントであったと言える。

ということで、今回は、バーチャル水泳大会の可能性をパラ水泳の一ファンの視点から、熱く語りたい。

可能性その①見てる方はめちゃくちゃ楽しい

 普段の試合では味わえない興奮がある。なぜなら、選手の泳ぎを間近で見れるからだ。普通の試合では、お目にかかれない。さらに、練習環境の雰囲気が分かる。つまり、パラ水泳の魅力が伝わりやすい観戦方法であり、見る側としては非常に楽しめる。

 ここで簡単に、この大会の概要を説明する。まず、この大会は世界中のパラ選手が、地元・所属のプールで泳いだレースを映像に収め、その映像をイギリス水泳連盟に送るところから始まる。そして、その映像が編集され動画上に並べられ、スタートの合図で、世界各国の選手が一斉に泳ぎだすように調整し、レースっぽく見せているということだ。

 なので、生配信ではない。その点で、他のスポーツのバーチャルなイメージとは違うかもしれない。生配信でない理由について、パラ水泳の順位付けは少し複雑な点が関係していると予想する。実は今回、タイムの速い順で順位が決まるわけではない。

パラ水泳は、障害の程度に合わせてクラス(階級)が14クラスに分かれている。今回はそのクラスを統合して、タイムをポイント化し、競い合うことができる仕組みを大会で採用しているのだ。そのため、ポイントを計算する時間が必要で、生配信は難しいのかもしれない。あくまでも予想ではあるが。

とにもかくにも、見てみるのが一番である。YoutubeだけでなくFacebookでも配信されているのせび見ていただきたい。

可能性その②選手にとっても取り組みやすい

 国際大会では、開催国以外の選手にとって時差の影響を受ける。これはかなりパフォーマンスを下げる要因となる。さらに、飛行機の移動もかなり大変だ。車いすの選手は、機内で車いすが使えるわけもないので、床を這いながらトイレに向かう。そのため、移動の際の体の負担が大きい。

ところが!これがバーチャルだと現地で競うことができるので心配する必要がない。よって、気持ちも楽になるだろう。

それらの点を踏まえると、パフォーマンスを出せる環境が作りだしやすい。特に、パラ選手にやさしい大会スタイルとなり得るかもしれない。

可能性その③コスパが最強

 大会会場を貸切る必要がない。さらに、動画に収め編集も加えられるので、好きなタイミングで広告を流せる。実際、今回のイギリスの大会は、LEBARAというスポンサーから支援を受けているようだ。LEBARAは、SIMカードを販売する会社ということで、イギリスのパラ選手が広告動画に登場している。つまり、準備費は安く、宣伝にも適している大会形式なのかもしれない。

ーーーーーまとめーーーーー

 以上、バーチャル・パラ水泳大会がメリットとなる可能性を3つ示した。

・観戦者が楽しみやすい大会
・選手の身体・精神的負担が少ない
・コスパが最強

メリットが多いように感じられる。しかし、バーチャルでの問題点も、以下のように考えられる。

・ビデオ越しのでの判定が正確でない
・選手のモチベーションが低下する危険性
・プールの環境の平等性が保てない

これらは今後検討すべき点であろう。

 とは言え、画期的なイベントであったことは間違いない。

今後はどんどんバーチャル大会が増えるかも?
バーチャルに転換できる大会が、何個かあっても面白い。

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編集長


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