33_運動麻痺・めまい【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【運動麻痺・めまい】
1. 運動麻痺
完全麻痺と不全麻痺: 筋力が完全に失われた状態を完全麻痺、低下しているが残っているものを不全麻痺。
交叉性片麻痺: 一側の脳神経麻痺と反対側上下肢の運動麻痺が合併するもので、脳幹が主な障害部位。
片麻痺の代表的障害部位: 大脳半球。
対麻痺の代表的障害部位: 胸髄、腰髄。
四肢麻痺の代表的障害部位: 脳幹、頸髄、末梢神経。
運動麻痺と意識障害: 頭蓋内疾患や中毒、代謝性疾患による運動麻痺では意識障害を伴うことがある。
末梢神経の損傷: 同一肢における運動麻痺と感覚障害の合併。
脳血管障害: 急性の運動麻痺、構音障害、失語、血圧上昇を伴うことが多い。
運動失調: 小脳、前庭迷路系、脊髄後索が障害されるとみられ、随意運動がぎこちなく不正確になる。
呼吸筋麻痺: 麻痺が呼吸筋に及んでいる場合は緊急度が高く、補助換気が必要。
静脈路確保: 運動麻痺の部位を避けるのが原則。
2. めまい
めまいの種類:
回転性めまい: 自分または周囲が回転する感覚。
浮動性めまい: ふらふら、ぐらっとくる感覚。
失神性めまい: 眼前暗黒感が特徴で、脳血流量の減少によって生じる。
末梢性めまい: 内耳または前庭神経が原因で、蝸牛症状(難聴、耳鳴、耳閉塞感)を伴うことが多い。眼振は定方向性で水平回旋眼振、注視で誘発されない。
中枢性めまい: 中枢神経系が原因で、意識障害や新たな神経学的異常(複視、感覚障害、運動麻痺、運動失調、構音障害)を伴う。眼振は注視方向性で垂直性または純回旋性、注視で誘発される。
重大な所見: 強い頸部痛、初発の強い頭痛、まっすぐ座っていられない状態は中枢性めまいを疑う。
聴覚過敏: 甲高い物音が聴覚過敏を引き起こす可能性があるため、音に注意。
問題
骨格筋の収縮は、大脳皮質からの神経性興奮が骨格筋まで伝わって行われる。筋力が完全に失われたものを___、低下しているが残っているものを___という。
一側の脳神経麻痺と、反対側上下肢の運動麻痺の合併は___である。
運動麻痺とは、随意運動における骨格筋の筋力が低下ないし消失した状態をいう。片麻痺の代表的障害部位は___である。
対麻痺の代表的障害部位は___、___である。
四肢麻痺の代表的障害部位は___、___、末梢神経である。
交叉性片麻痺の代表的障害部位は___である。
単麻痺の代表的障害部位は___、___、末梢神経である。
頭蓋内疾患、中毒、代謝性疾患による運動麻痺では___を合併することがある。
脊髄の横断性障害では運動麻痺の範囲にほぼ一致した___。
末梢神経の損傷では同一肢における運動麻痺と___の合併がみられる。
右大脳半球の血管障害では左片麻痺に合併した___の感覚障害を呈する。
腕神経叢損傷では、上肢の単麻痺に___による同側の中等度縮瞳を伴うことがあるが、意識障害はない。
脳血管障害では、急性の運動麻痺に加えて___、失語などがしばしばみられる。
脳血管障害では脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のいずれでも、___上昇を伴うことが多い。
運動失調は小脳、前庭迷路系、脊髄後索のいずれかが障害されたときにみられ、___運動が、ぎこちなく不正確となる。
血圧低下と___は中部胸髄より上位の脊髄損傷で、低換気は、頸髄損傷や全身的な筋力低下をきたす病態で認められる。
上部頸髄損傷では四肢麻痺に___を伴う。
脳血管障害では、急性の運動麻痺に加えて構音障害、失語などがしばしば見られる。運動性失語は___片麻痺を伴うことが多い。
麻痺が呼吸筋に及んでいれば___が高い。
呼吸筋麻痺による低換気には___換気を行う。
静脈路確保を行う場合は運動麻痺の部位を___のが原則である。
救急外来でみられるめまいの___%は中枢性であり、高齢者ではその割合が多くなる。
狭い意味でのめまいは、___の障害である。
平衡感覚は、内耳の前庭・半規管の感覚、視覚、深部感覚の三者が脳幹と小脳で統合されて形成され、視床を経て___に投射される。
眼前暗黒感は、脳血流量の___によって生じる。
自分の身体が回転するような感覚、あるいは自分の周囲が回転するような感覚を___という。
身体がふらふらする、ぐらっとくるような感覚を___、または動揺性めまいという。
眼前暗黒感は___という。
責任病変が内耳または前庭神経にあるものを___という。
めまいで、責任病変が中枢神経系にあるものを___という。
蝸牛症状を伴うめまいのほとんどは___である。
強い頸部痛または初発の強い頭痛を伴うめまいは___めまいを疑う重大な所見である。
難聴、耳鳴、耳閉塞感を合わせて___という。
中枢性めまいには、___を伴う場合がある。
末梢性めまいの眼振は___方向性で水平回旋眼振であり、注視で誘発されない。
中枢性めまいの眼振は___方向性で垂直性または純回旋性であり、注視で誘発される。
複視、感覚障害、運動麻痺、運動失調、構音障害など新たに出現した神経学的異常を伴うめまいは___である。
めまいの傷病者に自力で座らせたとき、まっすぐ座っていられない状態であれば、ほかに明らかな神経学的異常が見当たらなくても___を疑う。
強い頸部痛または初発の強い頭痛を伴うめまいは___を疑う重大な所見である。
失神性めまいでは___系の観察が重要である。
めまいでは聴覚過敏を伴うことがあるため、___を出さないように留意する。
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解答
骨格筋の収縮は、大脳皮質からの神経性興奮が骨格筋まで伝わって行われる。筋力が完全に失われたものを完全麻痺、低下しているが残っているものを不全麻痺という。
一側の脳神経麻痺と、反対側上下肢の運動麻痺の合併は交叉性片麻痺である。
運動麻痺とは、随意運動における骨格筋の筋力が低下ないし消失した状態をいう。片麻痺の代表的障害部位は大脳半球である。
対麻痺の代表的障害部位は胸髄、腰髄である。
四肢麻痺の代表的障害部位は脳幹、頸髄、末梢神経である。
交叉性片麻痺の代表的障害部位は脳幹である。
単麻痺の代表的障害部位は神経根、神経叢、末梢神経である。
頭蓋内疾患、中毒、代謝性疾患による運動麻痺では意識障害を合併することがある。
脊髄の横断性障害では運動麻痺の範囲にほぼ一致した感覚脱失。
末梢神経の損傷では同一肢における運動麻痺と感覚障害の合併がみられる。
右大脳半球の血管障害では左片麻痺に合併した左半身の感覚障害を呈する。
腕神経叢損傷では、上肢の単麻痺にホルネル症候群による同側の中等度縮瞳を伴うことがあるが、意識障害はない。
脳血管障害では、急性の運動麻痺に加えて構音障害、失語などがしばしばみられる。
脳血管障害では脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のいずれでも、血圧上昇を伴うことが多い。
運動失調は小脳、前庭迷路系、脊髄後索のいずれかが障害されたときにみられ、随意運動が、ぎこちなく不正確となる。
血圧低下と徐脈は中部胸髄より上位の脊髄損傷で、低換気は、頸髄損傷や全身的な筋力低下をきたす病態で認められる。
上部頸髄損傷では四肢麻痺に呼吸停止を伴う。
脳血管障害では、急性の運動麻痺に加えて構音障害、失語などがしばしば見られる。運動性失語は右片麻痺を伴うことが多い。
麻痺が呼吸筋に及んでいれば緊急度が高い。
呼吸筋麻痺による低換気には補助換気を行う。
静脈路確保を行う場合は運動麻痺の部位を避けるのが原則である。
救急外来でみられるめまいの10〜20%は中枢性であり、高齢者ではその割合が多くなる。
狭い意味でのめまいは、平衡感覚の障害である。
平衡感覚は、内耳の前庭・半規管の感覚、視覚、深部感覚の三者が脳幹と小脳で統合されて形成され、視床を経て大脳皮質に投射される。
眼前暗黒感は、脳血流量の減少によって生じる。
自分の身体が回転するような感覚、あるいは自分の周囲が回転するような感覚を回転性めまいという。
身体がふらふらする、ぐらっとくるような感覚を浮動性めまい、または動揺性めまいという。
眼前暗黒感は失神性めまいという。
責任病変が内耳または前庭神経にあるものを末梢性めまいという。
めまいで、責任病変が中枢神経系にあるものを中枢性めまいという。
蝸牛症状を伴うめまいのほとんどは末梢性である。
強い頸部痛または初発の強い頭痛を伴うめまいは中枢性めまいを疑う重大な所見である。
難聴、耳鳴、耳閉塞感を合わせて蝸牛症状という。
中枢性めまいには、意識障害を伴う場合がある。
末梢性めまいの眼振は定方向性で水平回旋眼振であり、注視で誘発されない。
中枢性めまいの眼振は注視方向性で垂直性または純回旋性であり、注視で誘発される。
複視、感覚障害、運動麻痺、運動失調、構音障害など新たに出現した神経学的異常を伴うめまいは中枢性である。
めまいの傷病者に自力で座らせたとき、まっすぐ座っていられない状態であれば、ほかに明らかな神経学的異常が見当たらなくても中枢性めまいを疑う。
強い頸部痛または初発の強い頭痛を伴うめまいは中枢性めまいを疑う重大な所見である。
失神性めまいでは循環系の観察が重要である。
めまいでは聴覚過敏を伴うことがあるため、甲高い物音を出さないように留意する。
練習問題
問題 1
骨格筋の収縮は、大脳皮質からの神経性興奮が骨格筋まで伝わって行われる。筋力が完全に失われたものを何と呼ぶか?
A) 不全麻痺
B) 部分麻痺
C) 完全麻痺
D) 複合麻痺
E) 軽度麻痺
答え: C) 完全麻痺
問題 2
一側の脳神経麻痺と反対側上下肢の運動麻痺の合併は何と呼ばれるか?
A) 対麻痺
B) 四肢麻痺
C) 片麻痺
D) 交叉性片麻痺
E) 単麻痺
答え: D) 交叉性片麻痺
問題 3
運動麻痺とは、随意運動における骨格筋の筋力がどのような状態を指すか?
A) 完全に消失した
B) 低下ないし消失した
C) 一部だけ低下した
D) 軽度に低下した
E) 一時的に消失した
答え: B) 低下ないし消失した
問題 4
片麻痺の代表的障害部位はどこか?
A) 胸髄
B) 腰髄
C) 大脳半球
D) 脳幹
E) 神経叢
答え: C) 大脳半球
問題 5
対麻痺の代表的障害部位はどこか?
A) 大脳半球
B) 腕神経叢
C) 胸髄、腰髄
D) 脳幹
E) 頸髄
答え: C) 胸髄、腰髄
問題 6
四肢麻痺の代表的障害部位はどこか?
A) 大脳半球
B) 脳幹、頸髄
C) 胸髄、腰髄
D) 神経根、神経叢
E) 内耳
答え: B) 脳幹、頸髄
問題 7
交叉性片麻痺の代表的障害部位はどこか?
A) 神経根
B) 神経叢
C) 脳幹
D) 末梢神経
E) 大脳半球
答え: C) 脳幹
問題 8
単麻痺の代表的障害部位はどこか?
A) 大脳半球
B) 胸髄
C) 腰髄
D) 神経根、神経叢、末梢神経
E) 脳幹
答え: D) 神経根、神経叢、末梢神経
問題 9
頭蓋内疾患、中毒、代謝性疾患による運動麻痺では何を合併することがあるか?
A) 感覚障害
B) 意識障害
C) 視覚障害
D) 言語障害
E) 触覚障害
答え: B) 意識障害
問題 10
脊髄の横断性障害では、運動麻痺の範囲にほぼ一致した何が見られるか?
A) 筋力低下
B) 脳血流量の減少
C) 感覚脱失
D) 意識障害
E) 運動失調
答え: C) 感覚脱失
問題 11
末梢神経の損傷では同一肢における運動麻痺と何の合併がみられるか?
A) 筋力増強
B) 感覚障害
C) 視覚障害
D) 意識障害
E) 自律神経障害
答え: B) 感覚障害
問題 12
右大脳半球の血管障害では、左片麻痺に合併してどのような感覚障害を呈するか?
A) 右半身
B) 左半身
C) 上半身
D) 下半身
E) 中枢性
答え: B) 左半身
問題 13
腕神経叢損傷では、上肢の単麻痺に何を伴うことがあるか?
A) 脳血流量の減少
B) 視覚障害
C) 軽度の意識障害
D) ホルネル症候群による同側の中等度縮瞳
E) 感覚脱失
答え: D) ホルネル症候群による同側の中等度縮瞳
問題 14
脳血管障害では、急性の運動麻痺に加えて何がしばしば見られるか?
A) 視覚障害
B) 聴覚障害
C) 構音障害、失語
D) 意識障害
E) 感覚障害
答え: C) 構音障害、失語
問題 15
脳血管障害では脳出血、脳梗塞、くも膜下出血のいずれでも、何を伴うことが多いか?
A) 体温上昇
B) 意識障害
C) 血圧上昇
D) 血糖値の上昇
E) 脈拍の減少
答え: C) 血圧上昇
問題 16
運動失調はどのような障害があったときに見られるか?
A) 小脳
B) 前庭迷路系
C) 脊髄後索
D) いずれか
E) 脳幹
答え: D) いずれか
問題 17
血圧低下と徐脈はどの部位の脊髄損傷で見られるか?
A) 頸髄
B) 腰髄
C) 脳幹
D) 中部胸髄より上位
E) 脳出血
答え: D) 中部胸髄より上位
問題 18
上部頸髄損傷では何を伴うか?
A) 視覚障害
B) 触覚障害
C) 四肢麻痺に呼吸停止
D) 運動失調
E) 感覚脱失
答え: C) 四肢麻痺に呼吸停止
問題 19
運動性失語はどのような麻痺を伴うことが多いか?
A) 対麻痺
B) 四肢麻痺
C) 片麻痺
D) 右片麻痺
E) 単麻痺
答え: D) 右片麻痺
問題 20
失神性めまいでは何の観察が重要であるか?
A) 視覚系
B) 聴覚系
C) 循環系
D) 神経系
E) 呼吸系
答え: C) 循環系
参考文献:救急救命士標準テキスト
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
33_運動麻痺・めまい
①音声解説
②聞き流し1問1答
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