57_中毒総論・各論【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【中毒総論】
中毒の定義
急性中毒:化学物質が短期間で中毒症状を引き起こす。
慢性中毒:長期間にわたり化学物質が体内に蓄積して症状が現れる。
中毒の原因物質
5歳以下の小児:タバコが最も多い。
65歳以上の高齢者:乾燥剤が最も多い。
医薬品中毒
中毒死の最も多い原因物質は向精神薬。
医薬品以外の中毒死原因として一酸化炭素が最も多い。
中毒物質の分類
劇薬:少量で50%致死量に達するもの。
吸収経路:静脈内投与 > 吸入 > 経口 > 経皮の順に吸収が速い。
物質の状態:気体 > 液体 > 固体の順に吸収が速い。
トキシドローム
特定の中毒物質による症候の組み合わせをトキシドロームという。
解毒方法
ジメルカプロール:ルイサイト中毒や重金属中毒に使用されるキレート剤。
治療の流れ
未吸収物質の排除、既吸着毒物の排泄促進、解毒薬・拮抗薬の使用、全身管理。
拮抗薬の例
フルマゼニル:ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬。
ナロキソン:モルヒネの拮抗薬。
搬送時の注意
中毒傷病者の搬送時は、救助者や同乗者への二次汚染に注意。
【中毒各論】
アルコールとの併用
催眠・鎮静薬や睡眠薬はアルコールに溶けやすく、吸収が促進される。
エタノールとメタノール中毒
エタノールは最終的に酢酸に代謝。
メタノールはギ酸が蓄積し、代謝性アシドーシスを引き起こす。
神経毒ガス
サリン、タブン、ソマン、VXガスは高い殺傷力を持つ。
毒キノコとフグ毒
毒キノコ:経口摂取後、3時間以内に中毒症状。
フグ毒(テトロドトキシン):卵巣や肝臓に含まれる。
トリカブト
主な死因は呼吸筋麻痺と致死性不整脈。
殺鼠剤中毒
タリウム系殺鼠剤:筋麻痺および循環不全が主な死因。
覚醒剤中毒
ドパミン、ノルアドレナリンの増加により中枢神経と交感神経を刺激。
急性中毒では中枢神経刺激作用と交感神経症状が現れる。
覚醒剤は覚せい剤取締法で規制されている。
モルヒネとコカイン
モルヒネ:オピオイド受容体を活性化し、鎮痛・鎮静作用を発揮。
コカイン:強い交感神経刺激作用により急性冠症候群や致死性不整脈を引き起こす危険性がある。作用時間は短い。
問題
化学物質が生体内に吸収されてから比較的短期間で中毒症状を生じる場合を __________ と呼ぶ。
化学物質が比較的長期間にわたって生体内に蓄積して中毒症状を生じる場合を __________ と呼ぶ。
生体内に吸収された化学物質、またはその代謝産物によって正常な生体機能が障害されることを __________ という。
日本中毒情報センターにおいて、5歳以下の小児の問い合わせでもっとも多いのは __________ である。
日本中毒情報センターにおいて、65歳以上の高齢者の問い合わせでもっとも多いのは __________ である。
催眠・鎮静薬および睡眠薬は __________ に溶けやすいため、これと共に内服すると吸収が促進される。
医薬品において、最も中毒死の原因となった中毒物質は __________ である。
医薬品以外の中毒死で最も多い物質は __________ である。
少量で50%致死量に達する中毒物質は __________ に指定されている。
中毒物質の吸収経路のうち最も吸収が速いのは __________ である。
中毒物質の吸収経路別では、 __________ > 吸入 > 経口 > 経皮の順で吸収が早い。
中毒物質の状態では、 __________ > 液体 > 固体の順に吸収が速く、中毒症状は強くなる。
中毒起因物質の推定に有用な症候の組み合わせを __________ という。
薬学的な解毒には、ルイサイト中毒や重金属中毒の治療薬である __________ などのキレート剤がある。
医療機関で行われる中毒に対する治療は、未吸収物質の排除、既吸着毒物の排泄促進、 __________・ __________ の使用、全身管理である。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬である __________ 、モルヒネの拮抗薬である __________ は、二次救急医療機関でも必ず取り扱う。
中毒傷病者の搬送時は、 __________ および __________ の二次汚染に十分注意する。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の内服による急性中毒では、 __________ 、 __________ 、複視、運動失調などの中枢神経障害を生じる。
エタノールは肝臓の酵素による作用で最終的に __________ に代謝される。
メタノール中毒では、強酸の __________ が蓄積することにより遅発性の代謝性アシドーシスを生じる。
神経毒ガスには、 __________ 、タブン、ソマン、VXガスなどがあり、いずれも殺傷力が高い。
毒キノコは経口摂取から __________ 以内に食中毒症状を発症する。
フグに含まれる中毒物質の __________ はフグの卵巣や肝臓などに含まれる。
トリカブトの経口摂取による急性中毒の主な死因は __________ 及び __________ である。
殺鼠剤のうち、 __________ 系殺鼠剤は毒性が強く、主な死因は筋麻痺および循環不全である。
ホウ酸は、無味無臭の __________ で、市販されている。
アルカリの経口摂取の場合、上気道の化学損傷による __________ 、および誤嚥による __________ は致死的となる。
覚醒剤は、中枢の __________ 、 __________ を増加させて中枢神経刺激作用と交感神経刺激作用を発揮する。
大麻(マリファナ)は、 __________ で規制されている。
覚醒剤における急性中毒では __________ 作用や __________ 症状が現れる。
覚醒剤は __________ で規制されている。
モルヒネは中枢の __________ を活性化して鎮痛・鎮静作用を発揮する。
コカインは著しい __________ のため急性冠症候群や致死性不整脈、脳出血を生じる危険性が高い。
コカインの作用時間は __________ 。
コカインは、 __________ で規制されている。
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解答
化学物質が生体内に吸収されてから比較的短期間で中毒症状を生じる場合を 急性中毒 と呼ぶ。
化学物質が比較的長期間にわたって生体内に蓄積して中毒症状を生じる場合を 慢性中毒 と呼ぶ。
生体内に吸収された化学物質、またはその代謝産物によって正常な生体機能が障害されることを 中毒 という。
日本中毒情報センターにおいて、5歳以下の小児の問い合わせでもっとも多いのは タバコ である。
日本中毒情報センターにおいて、65歳以上の高齢者の問い合わせでもっとも多いのは 乾燥剤 である。
催眠・鎮静薬および睡眠薬は アルコール に溶けやすいため、これと共に内服すると吸収が促進される。
医薬品において、最も中毒死の原因となった中毒物質は 向精神薬 である。
医薬品以外の中毒死で最も多い物質は 一酸化炭素 である。
少量で50%致死量に達する中毒物質は 劇薬 に指定されている。
中毒物質の吸収経路のうち最も吸収が速いのは 静脈内投与 である。
中毒物質の吸収経路別では、 経静脈 > 吸入 > 経口 > 経皮の順で吸収が早い。
中毒物質の状態では、 気体 > 液体 > 固体の順に吸収が速く、中毒症状は強くなる。
中毒起因物質の推定に有用な症候の組み合わせを トキシドローム という。
薬学的な解毒には、ルイサイト中毒や重金属中毒の治療薬である ジメルカプロール などのキレート剤がある。
医療機関で行われる中毒に対する治療は、未吸収物質の排除、既吸着毒物の排泄促進、 解毒薬・拮抗薬 の使用、全身管理である。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬である フルマゼニル 、モルヒネの拮抗薬である ナロキソン は、二次救急医療機関でも必ず取り扱う。
中毒傷病者の搬送時は、 救助者 および 同乗者 の二次汚染に十分注意する。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の内服による急性中毒では、 傾眠 、構音障害 、複視、運動失調などの中枢神経障害を生じる。
エタノールは肝臓の酵素による作用で最終的に 酢酸 に代謝される。
メタノール中毒では、強酸の ギ酸 が蓄積することにより遅発性の代謝性アシドーシスを生じる。
神経毒ガスには、 サリン 、タブン、ソマン、VXガスなどがあり、いずれも殺傷力が高い。
毒キノコは経口摂取から 3時間 以内に食中毒症状を発症する。
フグに含まれる中毒物質の テトロドトキシン はフグの卵巣や肝臓などに含まれる。
トリカブトの経口摂取による急性中毒の主な死因は 呼吸筋麻痺 及び 致死性不整脈 である。
殺鼠剤のうち、 タリウム 系殺鼠剤は毒性が強く、主な死因は筋麻痺および循環不全である。
ホウ酸は、無味無臭の 白色粉末 で、市販されている。
アルカリの経口摂取の場合、上気道の化学損傷による 窒息 、および誤嚥による 化学性肺炎 は致死的となる。
覚醒剤は、中枢の ドパミン 、ノルアドレナリン を増加させて中枢神経刺激作用と交感神経刺激作用を発揮する。
大麻(マリファナ)は、 大麻取締法 で規制されている。
覚醒剤における急性中毒では 中枢神経刺激 作用や 交感神経 症状が現れる。
覚醒剤は 覚せい剤取締法 で規制されている。
モルヒネは中枢の オピオイド受容体 を活性化して鎮痛・鎮静作用を発揮する。
コカインは著しい 交感神経刺激 のため急性冠症候群や致死性不整脈、脳出血を生じる危険性が高い。
コカインの作用時間は 短い 。
コカインは、 麻薬及び向精神薬取締法 で規制されている。
練習問題
問題1
中毒物質が体内に吸収されてから比較的短期間で中毒症状を生じる場合を何と呼ぶか?
A. 慢性中毒
B. 急性中毒
C. 潜在中毒
D. 局所中毒
E. 後発性中毒
答え: B
中毒物質が体内に吸収されてから比較的短期間で中毒症状を生じる場合を 急性中毒 と呼ぶ。
問題2
医薬品以外の中毒死でもっとも多い物質はどれか?
A. アスピリン
B. フグ毒
C. 一酸化炭素
D. アセトアミノフェン
E. 鉛
答え: C
医薬品以外の中毒死でもっとも多い物質は 一酸化炭素 である。
問題3
中毒物質の吸収経路のうち最も吸収が速いのはどれか?
A. 経口投与
B. 経皮投与
C. 経静脈投与
D. 吸入
E. 筋肉内投与
答え: C
中毒物質の吸収経路のうち最も吸収が速いのは 経静脈投与 である。
問題4
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬はどれか?
A. ナロキソン
B. フルマゼニル
C. アトロピン
D. ドパミン
E. エタノール
答え: B
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬は フルマゼニル である。
問題5
フグに含まれる中毒物質はどれか?
A. テトロドトキシン
B. シアン化水素
C. メタノール
D. ギ酸
E. ベラドンナアルカロイド
答え: A
フグに含まれる中毒物質は テトロドトキシン である。
問題6
覚醒剤取締法で規制されている薬物はどれか?
A. モルヒネ
B. アスピリン
C. 覚醒剤
D. アルコール
E. ニコチン
答え: C
覚醒剤は 覚醒剤取締法 で規制されている。
問題7
神経毒ガスには含まれないものはどれか?
A. サリン
B. タブン
C. VXガス
D. テトロドトキシン
E. ソマン
答え: D
神経毒ガスには テトロドトキシン は含まれず、サリン や VXガス が含まれる。
問題8
メタノール中毒で強酸が蓄積して引き起こされるのは何か?
A. アルカローシス
B. ギ酸中毒
C. メチル中毒
D. 代謝性アシドーシス
E. 呼吸性アシドーシス
答え: D
メタノール中毒では、強酸のギ酸が蓄積することにより遅発性の 代謝性アシドーシス を生じる。
問題9
トキシドロームとは何か?
A. 中毒物質の致死量
B. 中毒起因物質の推定に有用な症候の組み合わせ
C. 化学物質の分類
D. 薬剤の吸収速度
E. 呼吸器系の中毒症状
答え: B
トキシドローム とは、中毒起因物質の推定に有用な症候の組み合わせである。
問題10
エタノールは肝臓で最終的に何に代謝されるか?
A. ギ酸
B. メタノール
C. 酢酸
D. テトロドトキシン
E. シアン化水素
答え: C
エタノールは肝臓の酵素によって 酢酸 に代謝される。
問題11
コカインの急性中毒で生じる可能性が高いのはどれか?
A. 呼吸抑制
B. 肝臓障害
C. 交感神経刺激
D. 酸素中毒
E. 肺炎
答え: C
コカインの急性中毒では 交感神経刺激 が生じる。
問題12
化学物質が皮膚・粘膜を強く刺激し、重度の損傷を起こすことを何というか?
A. 化学性火傷
B. 腐食
C. 酸化
D. 電解
E. 凍傷
答え: B
化学物質が皮膚・粘膜を強く刺激し、重度の損傷を起こすことを 腐食 という。
問題13
覚醒剤の中枢神経刺激作用と交感神経刺激作用を発揮する原因物質はどれか?
A. ドパミン、ノルアドレナリン
B. セロトニン、ヒスタミン
C. メタノール、ギ酸
D. アセトン、ベンゼン
E. アミノ酸、グリコーゲン
答え: A
覚醒剤は ドパミン と ノルアドレナリン を増加させて中枢神経刺激作用と交感神経刺激作用を発揮する。
問題14
大麻は何法で規制されているか?
A. 覚醒剤取締法
B. 薬事法
C. 大麻取締法
D. 医薬品医療機器等法
E. 麻薬及び向精神薬取締法
答え: C
大麻は 大麻取締法 で規制されている。
問題15
トリカブトの経口摂取による急性中毒の主な死因はどれか?
A. 肝不全
B. 呼吸筋麻痺
C. 脳出血
D. 胃穿孔
E. 腎不全
答え: B
トリカブトの経口摂取による急性中毒の主な死因は 呼吸筋麻痺 及び 致死性不整脈 である。
問題16
フグに含まれる中毒物質はどれか?
A. テトロドトキシン
B. メタノール
C. ギ酸
D. アセトン
E. フェノール
答え: A
フグに含まれる中毒物質は テトロドトキシン である。
問題17
化学物質が体内に蓄積して比較的長期間にわたって中毒症状を生じる場合を何と呼ぶか?
A. 急性中毒
B. 慢性中毒
C. 可逆的中毒
D. 蓄積中毒
E. 反応中毒
答え: B
化学物質が体内に蓄積して比較的長期間にわたって中毒症状を生じる場合を 慢性中毒 と呼ぶ。
問題18
中毒物質の状態で吸収速度が最も速いのはどれか?
A. 固体
B. 液体
C. 気体
D. 粉末
E. 結晶
答え: C
中毒物質の状態で吸収速度が最も速いのは 気体 である。
問題19
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬はどれか?
A. ナロキソン
B. フルマゼニル
C. アトロピン
D. ドパミン
E. エタノール
答え: B
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の拮抗薬は フルマゼニル である。
問題20
覚醒剤取締法で規制されている薬物はどれか?
A. モルヒネ
B. アスピリン
C. 覚醒剤
D. アルコール
E. ニコチン
答え: C
覚醒剤は 覚醒剤取締法 で規制されている。
参考文献:救急救命士標準テキスト
救急救命士試験対策に最適!『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』のおすすめポイント
救急救命士を目指している学生の皆さんに、講義での学習に加えてしっかりとした試験対策ができる問題集をご紹介します!その名も『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』です。
この問題集は、従来の国家試験過去問だけに頼らない、国家試験の過去問題を20年分徹底分析により国家試験に出題される問題が作問されています。過去問に加え、オリジナル問題を豊富に収録しており、救急救命士の学生が定期試験や国家試験に必要な知識をしっかり身につけられる内容です。現場で役立つ知識も含まれているので、試験対策だけでなく、実務にも直結する1冊です。
この問題集の魅力
全7巻、1800問以上の問題を収録! 解剖生理、外傷、処置、症候、疾病、特殊病態など、救急救命士に必要な広範な知識をカバーしています。
オリジナル問題多数!
国家試験レベルの問題だけでなく、定期試験や現場で必要な知識を網羅しているので、講義の内容をより深く理解するためのトレーニングにも最適。電子版なら25%OFF!
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主な対象者
専門学校・大学の学内試験を控えている学生
国家試験対策の基礎固めをしたい学生
救急救命士養成課程前の救急隊員
効率的な学習の3ステップ
講義の復習
授業で強調された内容をメモし、理解できなかった部分は講師に質問!参考書や資料を活用して理解を深めましょう。問題を解く
問題を解くことで理論を実践に結びつけ、時間制限を設けることで試験本番への準備が整います。特に間違えた問題を重点的に復習することが重要です。解答と選択肢を見直す
間違えた問題を振り返り、なぜ間違えたのかを理解して次に活かしましょう。微妙な選択肢の違いにも注目し、落とし穴に気づく力をつけていきます。
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
57_中毒総論・各論
①音声解説
②聞き流し1問1答
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