12_血液・免疫・筋・骨格系・皮膚系【救急救命士国家試験対策】
国家試験定期試験出題内容のまとめ
【血液・免疫・筋・骨格系・皮膚系】
1. 血液の構成と機能
血液の構成
血漿(約55%): 血液の液体成分で、水、電解質、タンパク質(アルブミン、フィブリノゲンなど)、ホルモン、栄養素、老廃物を含みます。
血球成分(約45%): 赤血球、白血球、血小板。
赤血球
赤血球は酸素を全身に運搬し、二酸化炭素を排出する役割を担います。
1mm³あたり450万~500万個存在し、核を持たないため、酸素運搬に効率的です。
ヘモグロビン: 酸素と結合し、酸素を全身に運びます。1gのヘモグロビンは約1.34mLの酸素と結合します。
エリスロポエチン: 腎臓で生成され、赤血球生成を促進。酸素供給が低下すると分泌が増加します。
白血球
白血球は免疫系の細胞で、体を病原体から守ります。
健康成人では1mm³あたり5000~1万個の白血球が存在し、感染時に増加します。
血小板
血小板は出血時に血管内皮に粘着し、血液凝固を促進する細胞で、止血機構に関与します。寿命は8〜11日です。
血液の機能
体温調節: 血液は体内で熱を運び、放熱や体温維持を行います。
酸塩基平衡: 血液中の酸と塩基のバランスを保ち、pHを調整します。
浸透圧・体液量の調節: 血漿タンパク質や電解質が体液の浸透圧を調節し、体液量を維持します。
2. 血液と免疫の機構
止血の仕組み
血管が破れると、血小板が破損部位に粘着し、フィブリノゲンを介して凝固因子と反応し血栓を形成して止血します。
自然免疫
自然免疫は体内に侵入した病原体に対する最初の防御線です。
単球とマクロファージ: 病原体を貪食(食べて破壊)。
顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球): 好中球は細菌を貪食し、好酸球は寄生虫を攻撃、好塩基球はアレルギー反応に関与します。
3. 骨格系の構造と機能
骨の構成と機能
骨の役割:
支持と保護: 骨格は体を支え、重要臓器(心臓、脳など)を保護します。
カルシウム貯蔵: 骨は体内カルシウムの99%を蓄え、カルシウムの供給源として機能します。
造血: 骨髄で血球が生成されます(造血機能)。
関節の種類
股関節: 球関節で、あらゆる方向に動かせます(例: 足を回す動き)。
肘関節: 蝶番関節で、一方向に動く関節(例: 曲げ伸ばし)。
脊椎の構成
脊椎は頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨から構成され、体を支え、脊髄を保護します。
4. 筋肉の役割
筋肉の機能
筋肉は収縮と弛緩によって運動を可能にします。さらに、筋肉の収縮は体温維持にも寄与し、全身の体熱の約85%が筋肉で生産されます。筋肉の損傷や運動不足は、熱産生や代謝に影響を与える可能性があります。
5. 皮膚の構造と機能
皮膚の構成
表皮: 体の外部環境からの防御を担い、主に角化細胞で構成されます。
真皮: コラーゲン繊維や弾性繊維を含み、皮膚の強度と弾力を維持します。
皮下組織: 脂肪が貯蔵され、エネルギー供給やクッション機能を持ちます。
皮膚の機能
肥満細胞: アレルギーや炎症反応を引き起こすヒスタミンを放出します。
メラニン: 紫外線を吸収し、DNA損傷を防ぐ防護機能を持ちます。
エクリン汗腺: 手掌、足底、額などに多く分布し、汗を分泌して体温調節に寄与します。
ビタミンD:
ビタミンDは皮膚で合成され、紫外線により活性化されます。ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持します。
6. 乳房とホルモン
乳房の制御
エストロゲン: 乳房の成長を促進し、乳腺の発達を促します。
プロゲステロン: 妊娠中、乳腺の準備を整え、乳汁の分泌を促す役割を持っています。
問題
血液は約 __________ %の液体成分(血漿)と約 __________ %の有形成分(血球)よりなる。
血液による生体の内部環境の維持機能には、 __________ 調節、酸塩基平衡の調節、浸透圧と体液量の調節がある。
血球には __________ 、白血球、血小板がある。
消化管から吸収された栄養素(ブドウ糖、アミノ酸、脂質)は __________ で代謝された後、血流を介して全身に運ばれる。
外傷などにより血管が破綻し、出血が起こった場合には __________ と凝固因子の作用による止血機構が作動し、失血に対抗している。
白血球は健康成人で血液1mm3当たり __________ ~ __________ 個が目安である。
赤血球は健康成人で1mm3当たり __________ ~ __________ 個である。
赤血球や血小板は __________ を持たない。
エリスロポエチンは __________ で生成される。
血小板は非常に壊れやすく、その寿命は __________ 〜 __________ 日とされる。
赤血球の主成分であるヘモグロビンは __________ 、ポルフィリン、グロビンから合成される。
骨髄は赤色骨髄と __________ 骨髄に分けられる。赤色骨髄は造血組織として働く。加齢とともに __________ 骨髄になる。
血管が破綻すると血管内皮が剥がれ、露出した血管内皮下組織のコラーゲンに __________ が粘着する。
自然免疫とは、白血球の中でも __________ 、マクロファージ、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)による生体防御作用としての食作用が中心となる。
人体には約 __________ 個の骨があり、互いに連結して骨格系を形成している。
筋肉は、収縮によって熱を発生させることであり、全身の体熱の __________ %が筋肉で生産される。
骨は生体のカルシウムの貯蔵庫(全体の __________ %)であり、細胞内外のカルシウムを供給している。
小児では骨の成長のため、骨膜は厚く、骨端軟骨( __________ )が存在する。
若年者の骨髄は、毛細血管に富み、赤血球、血小板、白血球を作る __________ として働く。
股関節は __________ 関節であり、肘関節は __________ 関節である。
脊椎は __________ 個の頸椎、 __________ 個の胸椎、 __________ 個の腰椎と仙骨からなる。
皮膚は上層から順に __________ 、真皮、皮下組織の3層で構成されている。
__________ 細胞は皮膚の炎症反応に関与している。
表皮の主要な構成細胞は __________ である。
エクリン汗腺は __________ 、足底、額に多い。
メラニンには生体に有害な __________ を吸収し防護する働きがある。
乳房は __________ とプロゲステロンの支配を受ける。
表皮ではビタミンDが合成され、 __________ により活性化される。
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解答
血液は約55%の液体成分(血漿)と約45%の有形成分(血球)よりなる。
血液による生体の内部環境の維持機能には、体温調節、酸塩基平衡の調節、浸透圧と体液量の調節がある。
血球には赤血球、白血球、血小板がある。
消化管から吸収された栄養素(ブドウ糖、アミノ酸、脂質)は肝臓で代謝された後、血流を介して全身に運ばれる。
外傷などにより血管が破綻し、出血が起こった場合には血小板と凝固因子の作用による止血機構が作動し、失血に対抗している。
白血球は健康成人で血液1mm3当たり5000~1万個が目安である。
赤血球は健康成人で1mm3当たり450万~500万個である。
赤血球や血小板は核を持たない。
エリスロポエチンは腎臓で生成される。
血小板は非常に壊れやすく、その寿命は8〜11日とされる。
赤血球の主成分であるヘモグロビンは鉄、ポルフィリン、グロビンから合成される。
骨髄は赤色骨髄と黄色骨髄に分けられる。赤色骨髄は造血組織として働く。加齢とともに黄色骨髄になる。
血管が破綻すると血管内皮が剥がれ、露出した血管内皮下組織のコラーゲンに血小板が粘着する。
自然免疫とは、白血球の中でも単球、マクロファージ、顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)による生体防御作用としての食作用が中心となる。
人体には約200個の骨があり、互いに連結して骨格系を形成している。
筋肉は、収縮によって熱を発生させることであり、全身の体熱の85%が筋肉で生産される。
骨は生体のカルシウムの貯蔵庫(全体の99%)であり、細胞内外のカルシウムを供給している。
小児では骨の成長のため、骨膜は厚く、骨端軟骨(成長板)が存在する。
若年者の骨髄は、毛細血管に富み、赤血球、血小板、白血球を作る造血組織として働く。
股関節は球関節であり、肘関節は蝶番関節である。
脊椎は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎と仙骨からなる。
皮膚は上層から順に表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されている。
肥満細胞は皮膚の炎症反応に関与している。
表皮の主要な構成細胞は角化細胞である。
エクリン汗腺は手掌、足底、額に多い。
メラニンには生体に有害な紫外線を吸収し防護する働きがある。
乳房はエストロゲンとプロゲステロンの支配を受ける。
表皮ではビタミンDが合成され、紫外線により活性化される。
練習問題
問題 1
血液の成分のうち、液体成分は全体の何%を占めているか?
A) 25%
B) 35%
C) 45%
D) 55%
E) 65%
答え: D) 55%
問題 2
血球に含まれないものはどれか?
A) 赤血球
B) 血小板
C) 白血球
D) 血漿
E) いずれも血球である
答え: D) 血漿
問題 3
消化管から吸収された栄養素がまず代謝される臓器はどれか?
A) 胃
B) 腸
C) 肝臓
D) 脾臓
E) 腎臓
答え: C) 肝臓
問題 4
外傷により出血が起こった場合、止血機構に関与するものはどれか?
A) 赤血球
B) 血小板
C) 白血球
D) 血漿
E) リンパ液
答え: B) 血小板
問題 5
白血球の正常な数値はどれくらいか?
A) 1000~3000個
B) 3000~5000個
C) 5000~1万個
D) 1万~1万5000個
E) 2万~3万個
答え: C) 5000~1万個
問題 6
赤血球の数が最も近い数値はどれか?
A) 300万個
B) 450万~500万個
C) 600万~700万個
D) 800万~900万個
E) 1億個
答え: B) 450万~500万個
問題 7
エリスロポエチンはどこで生成されるか?
A) 肝臓
B) 腎臓
C) 骨髄
D) 脾臓
E) 甲状腺
答え: B) 腎臓
問題 8
血小板の寿命はどれくらいか?
A) 3~5日
B) 8~11日
C) 12~15日
D) 15~20日
E) 1ヶ月
答え: B) 8~11日
問題 9
赤血球の主成分であるヘモグロビンはどれから合成されるか?
A) グルコース
B) 鉄
C) カルシウム
D) マグネシウム
E) ビタミンC
答え: B) 鉄
問題 10
造血組織として働くのはどれか?
A) 赤色骨髄
B) 黄色骨髄
C) 胎盤
D) 脾臓
E) 筋肉
答え: A) 赤色骨髄
問題 11
自然免疫に関与しない細胞はどれか?
A) 単球
B) マクロファージ
C) 好中球
D) リンパ球
E) 好塩基球
答え: D) リンパ球
問題 12
人体にある骨の数はおよそいくつか?
A) 150個
B) 200個
C) 250個
D) 300個
E) 350個
答え: B) 200個
問題 13
体熱の約85%が作られる場所はどこか?
A) 骨
B) 肝臓
C) 筋肉
D) 皮膚
E) 血液
答え: C) 筋肉
問題 14
生体のカルシウムの貯蔵庫はどこか?
A) 骨
B) 血液
C) 肝臓
D) 腎臓
E) 胃
答え: A) 骨
問題 15
骨端軟骨(成長板)が存在するのはどの年代か?
A) 新生児
B) 小児
C) 成人
D) 高齢者
E) すべての年代
答え: B) 小児
問題 16
股関節はどのタイプの関節か?
A) 球関節
B) 蝶番関節
C) 平面関節
D) 鞍関節
E) 回転関節
答え: A) 球関節
問題 17
脊椎の頸椎の数はどれか?
A) 5個
B) 7個
C) 9個
D) 12個
E) 14個
答え: B) 7個
問題 18
皮膚の層で一番外側にあるものはどれか?
A) 真皮
B) 表皮
C) 皮下組織
D) 筋膜
E) 骨膜
答え: B) 表皮
問題 19
エクリン汗腺が多く分布している部位はどこか?
A) 額
B) 背中
C) 腹部
D) 肩
E) 太もも
答え: A) 額
問題 20
メラニンは何から生体を防護する働きを持つか?
A) 紫外線
B) 電磁波
C) 放射線
D) 熱
E) 冷気
答え: A) 紫外線
参考文献:救急救命士標準テキスト
救急救命士試験対策に最適!『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』のおすすめポイント
救急救命士を目指している学生の皆さんに、講義での学習に加えてしっかりとした試験対策ができる問題集をご紹介します!その名も『救急救命士 基礎から応用まで 試験対策問題集』です。
この問題集は、従来の国家試験過去問だけに頼らない、国家試験の過去問題を20年分徹底分析により国家試験に出題される問題が作問されています。過去問に加え、オリジナル問題を豊富に収録しており、救急救命士の学生が定期試験や国家試験に必要な知識をしっかり身につけられる内容です。現場で役立つ知識も含まれているので、試験対策だけでなく、実務にも直結する1冊です。
この問題集の魅力
全7巻、1800問以上の問題を収録! 解剖生理、外傷、処置、症候、疾病、特殊病態など、救急救命士に必要な広範な知識をカバーしています。
オリジナル問題多数!
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主な対象者
専門学校・大学の学内試験を控えている学生
国家試験対策の基礎固めをしたい学生
救急救命士養成課程前の救急隊員
効率的な学習の3ステップ
講義の復習
授業で強調された内容をメモし、理解できなかった部分は講師に質問!参考書や資料を活用して理解を深めましょう。問題を解く
問題を解くことで理論を実践に結びつけ、時間制限を設けることで試験本番への準備が整います。特に間違えた問題を重点的に復習することが重要です。解答と選択肢を見直す
間違えた問題を振り返り、なぜ間違えたのかを理解して次に活かしましょう。微妙な選択肢の違いにも注目し、落とし穴に気づく力をつけていきます。
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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト
12_血液・免疫・筋・骨格系・皮膚系
①音声解説
②聞き流し1問1答
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