1.高野山真言宗による声明
2023年10月10日、「LGBT理解増進法」について、高野山真言宗(金剛峯寺)が声明を出されました。
宗務総長(今川泰伸さま)名義のご声明(せいめい)のようです。
「人間は、国籍、人種、出自や、障害のあるなしなどによって差別されてはなりません。同様に、性別や性的指向、性自認によって差別されることはあってはならないのです。」(後で全文引用させていただきます。問題あれば、消しますのでご連絡ください。)
マジョリティの権利こそ守るべきだ、みたいなことは書かれておりません。
こうした声明が出されること自体が、当事者にとっては安心につながりますね。
(また、声明を出されるにあたり、陰でご尽力された方の存在もいるわけです。そうした方々の行為や、周囲の人々の援助の積み重ねで、今回の声明も成立したものと存じます。)
2.現代的な「恐怖fear」への処方箋
先日、高野山でとあるイベントがあったようです。
下記は、その際のポスターです。
この子宮と胎児の絵には、ぎょっとしますが、汗
改めて、真言密教は、「安心」を提供しようとする宗教なのだなと思いました。
佐々木閑先生が日本密教をそのように評しておられたのを思い出します。
原始仏教とは異なるものですね。
「安心」とは、恐怖(fear)から人々を守るものです。
アメリカの哲学者・倫理学者のマーサ・ヌスバウム氏も著書の中で述べていますが、恐怖(fear)は、特定の人間集団を悪魔化し、人々を極端な政治運動に導くものです。
「在日」差別や、部落差別や、昨今のトランスジェンダー女性へのいろいろな攻撃も、その根底に過剰な恐怖(fear)があります。
ついでに、差別発言をする人たちを悪魔化すること(たとえば「TERF」などと呼んだり)もまた、過剰な恐怖(fear)の現れでもあると指摘できます。(もちろん、当然、恐怖だけによるものではないとは存じますが。)
真言密教が、そのような現代的な「恐怖fear」への処方箋となれば、良いことなんじゃないかなと、私は思います。
3.「声明」の引用
最後に、今回の「声明」を引用させていただきたいと存じます。(問題があれば、おっしゃってください。)