
若年性白内障手術を受けて情報へのアクセスに対して感じたこと
こんにちは!freee販売でプロダクトデザイナーをしているzunです。
今年40歳なんですが、2年前に白内障と診断されました。
老化による白内障はゆっくり進行していくのですが
僕が発症した若年性白内障は進行が早く、祖父母や親よりも早く白内障手術をすることにしました。
目の病気になって文字が読みづらくなり、情報へのアクセスが困難になりました。
情報にアクセスできること
freeeでは「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」をビジョンに掲げています。
freeeの提供するサービスを誰でも使えるものにするために、全社的にアクセシビリティーに取り組んでいます。
僕はWEBアプリのデザイナーとしてプロダクトを作っていく上で
アクセシビリティー・ガイドラインに沿ってデザインのチェックを行っています。
ガイドラインの中に、視力障害のある方がコンテンツを利用するための項目として
文字サイズ設定の変更
コントラスト比の確保
があります。
僕は、手術後ピント調整が難しくなり文字が見づらかったり、
コントラスト感度も低下したので、
今まで当たり前に情報にアクセスできていたことが急に困難になりました。
一方で、アクセシビリティーの価値や、freeeの取り組みを強く実感する体験にもなっていると感じます。
このnoteでは、そう実感する元となった、2年にわたる「さまざまな見え方と感じたこと」についてお話ししたいと思います。
白内障と手術の経過について
白内障、白内障手術について
眼科のサイトなどの方が詳しく書かれてますが、目の中のレンズのはたらきをしているのが「水晶体」でそれに関連する病気になります。
白内障の手術は水晶体を取り除き眼内レンズを入れることで視力が回復し、
眼内レンズは大きく「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」に分けられます。
単焦点眼内レンズ
遠くまたは近くのいずれかにピントを合わせる屈折のレンズです。
パソコンやスマホをよく使う方、読書や新聞をよく読むという方であれば近距離にピントが合う眼内レンズを使用します。この場合、遠くを見るときには眼鏡が必要です。
反対に、車の運転やスポーツをよくする方であれば遠距離にピントが合う眼内レンズを使用します。近くを見るときには、眼鏡(老眼鏡)が必要です。
多焦点眼内レンズ
遠くまたは近くの両方にピントを合わせることができる屈折のレンズです。単焦点眼内レンズと比べ、最初はピントを合わせることに違和感がありますが、慣れると快適になります。
単焦点眼内レンズよりも、眼鏡が必要になる場面も少なくなります。
1度目の手術で、単焦点眼内レンズで遠くにピントを合わせたので、近くを見るときには、眼鏡(老眼鏡)が必要になりました。
単焦点の眼内レンズの見え方が個人的に合わなかったので、
病院を変え2次挿入用のレンズ(Add-on)を入れました
Add-on
白内障手術を受け、すでに人工の眼内レンズを使用されている方が適応となる、追加挿入用のレンズです。
単焦点眼内レンズを使用しているが遠方も近方もみえるようにしたい、また多焦点眼内レンズを使用しているが屈折異常を治したいという場合に使用します。
経過と今の見え方
健康診断で発症していることがわかった
左目が眼鏡ありで0.4(前年度は1.0)と診断され、新しい眼鏡を作りにいくと視力矯正できなかったことで白内障が発症してることがわかりました。
若年性白内障になるのは色々な原因があり、これから先のことを考え早めに手術することにしました。

1度目の手術後
眼鏡生活に慣れていることもあり、単焦点眼内レンズで遠くにピントあわせることにしました。

乱視も残っていたので、遠くを見る時でも眼鏡が必要になる機会が多く
中近両用眼鏡、手元用老眼鏡、PC用老眼鏡と複数の眼鏡を使い分けるのが
慣れず悩んだ末1年後に再手術することにしました。

2度目の手術
乱視矯正と複数の距離にピントがあうレンズを追加でいれることで、普段は眼鏡なしになりPC作業時に眼鏡をかけることで今は落ち着いています。


文字サイズ設定の変更
ピント調整ができなくなったことで、日常生活で文字が読みづらくなったことがストレスになりました。
パソコン環境
パソコンでは画面拡大や文字サイズ変更することでストレスは軽減されました。
老眼鏡を利用しても小さい文字が読みづらいときはあり、
その時に文字サイズを変更できることや変更による表示崩れが起きてないことも重要になります。
freeeのアクセシビリティー・ガイドラインでも文字サイズ設定の変更チェック項目があります。
ブラウザーの文字サイズ設定を200パーセントにしても、コンテンツや機能が損なわれないようにする。
スマートフォン環境
スマートフォンの文字サイズ設定も利用してみました。
ところが、文字サイズ変更に対応しているアプリは多くなく、小さい文字も読まないといけない状況に変わりありませんでした。
結局文字サイズ設定は変えず、メガネ型拡大鏡や老眼鏡で対応しました。
リアルの文字情報へのアクセス
リアルでは更に情報へのアクセスが難しくなりました。
パッケージデザイン
商品の限られた領域に、商品名、キャッチコピー、成分、注釈などをいれる必要があります。
注釈などの小さい文字が読みづらくスマートフォンで撮影し拡大して読むこともありました。
シャンプーとコンディショナーの見分け方
シャンプーボトル側面にきざみがあればシャンプーだと判断できるのですが、ホテルによってはボトルを揃えているので
ボトルの文字が読みづらく中身が判断できませんでした。
入浴中や運動中など老眼鏡をかけることができない状況で
文字を読まないといけないこともあるので生活の難しさを感じました。
コントラスト感度低下による変化
2回の手術で入れた、多焦点レンズの副作用として、
コントラスト感度が低下することもあるらしく、見え方が変わりました。
全体の見え方
体感的に手術前が4Kテレビで、手術後は古い液晶テレビぐらいの感覚差がありました。
画像の左側にあるものが、自分には右側のように見えているのを再現したものなります。

デバイスの明るさ調整
コントラスト低下の対策としては、明るさ調整が役立っており、手術前は暗い画面でもスマートフォンを触ることができましたが、今は明るさを最大に近い状態で見ることも多くなりました。
ダークモードについて
術後一番変わったのは、光がにじむ状態となっていることです。
慣れてきてはいますが白文字が滲んで見え読みづらさが増したのでダークモードが少し苦手になりました。
目に優しいとされる表現も人によっては文字が読みづらくなることもあります。

まとめ
事故や病気などで、今まで当たり前にできていたことが困難になることは他人ごとでないと思います。
僕は、視覚障害でアクセスの難しさを体験しました。
アクセシビリティー・ガイドラインには、視力障害の項目だけでなく
スクリーンリーダー(画面読み上げソフト)やマウスやキーボードを十分に動かせない方に関するチェック項目もあります。
アクセシビリティーは、障害者や高齢者のためだけでなくいろいろな人にとって価値あるもので、freeeの取り組みを実感することができました。
見え方が安定してきたら、新しい素敵な眼鏡を探しにいきたいと思います!