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So-Ra-Ra-Do ~宴暦 第4夜~

 

 カシオペアが休止を発表して三年経った2009年8月、ベース担当の鳴瀬喜博さんが還暦祝いに自ら面白そうなライブを東京で四本も行うと知り、バンド再開まで我慢しようと思っていた東京遠征を決断、しかし全部は地方の人間には厳しく、鳴瀬さんの他に是非会いたい人が二人参加のライブを観に行くぞ!と一念発起し主催元のライブハウスに電話し、12年振りの上京ライブ参加に動いたのでした。それから三ヶ月後の11月、初めて来店したブルースアレイジャパンはろうそくの灯りが綺麗で、気が付けば立ち見もいっぱいな満員御礼状態でしたっけ。

 真っ赤な帽子がめさ似合う鳴瀬さんを始めNarucho-ICEのメンバーが登場。ステージ上で打ち合わせなぞするラフさというか自由な空気に笑いつつも和んだ中、『Yours Lovery』でライブは始まりました。生フルートも綺麗でしたが、ミュートしたトランペットの音が渋くてうっとり。このバンドはなんでも鳴瀬さんがカシオペアに加入してから作った曲を演奏したいと結成されたそうで。初めて聴きましたが、生管楽器入るとやっぱ曲の印象が変わりますなとしみじみ。『Movin'』『Let it Rain』と続いた次に堀井勝美プロジェクトでお気に入りの曲という『Avenue』が来て、堀井さんの曲がライブで聴ける喜びに浸りました。再び自身の曲『ASOBIに連れてって』で一部終了、一旦休憩タイムに。

 二部はメンバーと共に今回会いたかった人其の一・堀井さんが登場し、前説みたく鳴瀬さんとの馴れ初めからEASTWEST裏話まで出てお二方の長い関係を感じました。堀井さん結構喋るのね、鳴瀬さん並みにとニヤニヤしつつ。入れ替わりでステージに現れたのは中西圭三さん。ボーカルを加えたここからは堀井さんが手がけたEテレの子ども番組の歌のコーナー。爽やかなアレンジとソウルフルな声でサラブレッドの歌はかっこいいんだけど不思議な気持ちに。更にもう一人ボーカルに川村万梨阿さんが登場、会いたかった人其の二の方で24年振りに観る姿は変わらず美しく懐かしくも。同じくEテレの歌を歌うのですが、詞と声はほのぼのなんだけどごついバックの音でゴージャスな感じにも。歌を使っていた番組を知らなかったので、知ってたらもっと面白かったかなとこっそり思ったりも。

 川村万梨阿さんについて暑苦しく語ると彼女はアニメ声優で、デビューのダンバインから知ってました。85年春にメガゾーン23というオリジナルビデオアニメのヒロインをされた時に期間限定劇場公開でのイベントで名古屋に来られてサイン会に参加しました、学生時代のわし。主人公キャラのフェルトワッペンを人数分作り万梨阿さんや他の声優さん歌手の方にプレゼントしましたら、後日複数の方から御礼のハガキ頂きまして舞い上がったなぁ。万梨阿さんも確か、なのは大切にし過ぎて奥地にしまいハガキはちと消息不明だったりします、トホホ。は、ともかく以降会う機会無くアニメファンも抜けそうで抜けられずで、宴暦の告知を見た時に一気にさっきのことを思い出しましたわ。ライブ後に会えなかったのは残念でした。このことを直に話したかったですなぁ。

 と、不意にキーボードの人がトイレタイムを取る爆笑な事態に。その間差し入れで貰った豆大福60個を観客に配るスペシャルな時間になり、メンバーゲストスタッフ入り乱れて配る光景はアットホームでありドタバタ感もあったり。めでたく貰えた人も羨ましいですが、2回も4回も宴暦一連のライブに通えた人もいいよなぁ、とも。東京・関東に住んでいたら絶対通う、と90年代六本木ピットインがあった頃も思ってましたっけ…。

 豆大福配布大会の後はボーカリスト鳴瀬喜博氏の登場と相成り、これもEテレで流れ歌ったという『大脱皮のテーマ』を高らかに嬉々と歌いました。本当に楽しそうでした。そういえば歌声を聞くのは初めてで、話す声と変わらない調子なのはらしいなと。

 再び中西さん登場して歌うは自らが作られた歌のメドレー、(あの当時は)ZOOの『チューチュートレイン』ブラックビスケットの『タイミング』、そして自身が歌いカシオペアのメロディ組が参加していた『TICKET TO PARADISE』。3曲目は歌ってほしいなと期待していただけに嬉しくてノリノリで聴きました。テレビの某夜ヒット出演時に撮ったビデオテープがまだ残してますが、デッキを手放しましたからもう見られせんなぁ。

 本編ラストはNarucho-ICEの演奏で、リハーサル時に大変で「間違えるならみんなで間違えよう」という開き直りみたいな前振り付きで堀井勝美プロジェクトの『CRUISING BOY』。この曲のベースがカッコ良いだけに直に聴けたのは重ね重ね嬉しかったでした。

 アンコールはまず鳴瀬さんのお誕生日お祝いから始まりました。ケーキを堀井さんが支え中西さんによる生バースデイソングをバックにろうそくが吹き消された後、「みんな知ってる」といいタイトル無しで演奏が始まったのは『ゲゲゲの鬼太郎』に納得。2007年版は堀井さんが音楽担当でしたが、よもや中西さんボーカルで聴けるとは思いませんでした。

  更なるアンコールはもうお約束か王道かの『AKAPPACHI-ISM』、サックスがユニゾンで来て新鮮やなと思ってたら遂に来たベース野放しコーナー、いやさソロ。客席乱入前半はお客さんでいっぱいの中、隙間を縫って回ってました。折り返しで自分がいる辺りまで来てぼそり「ここならいいな」と聞こえるや、自分の席の隣のテーブルに上がり其処をステージに大暴れ。真ん前で激しく響くベースの音を浴びながら、そういえば目の前でって20年弱観てきたけど無かったようなと冷静に思い返し、泣きそうに。嬉しくもあの頃が懐かしくなりで。当人は弾き倒すとテーブルを渡り歩き、後方に集まっていた同窓の方々の所にも寄ってようやくステージに帰り、あの頃、以上にパワフルで熱いソロをたっぷり奏でた後は、バンドメンバーそれぞれのソロが次々と回り、このままずっと演奏してと願いたくなる位に楽しく盛り上がって。体全体で鳴瀬さんや皆さんの音にノって。終わった後時間を見たら11時をがっつり過ぎていました。時を忘れた一時でした。

 ライブ終了後暫し店内で待ってましたら、鳴瀬さんや堀井さんたちが現れ、一角で自然発生的に鳴瀬さんはサイン会に。この時を待っていたので流れに乗って持参した堀井勝美プロジェクトのアルバムのジャケットを出しお願いしました。ご当人が会場で販売していた一連のライブと同じタイトルのベストアルバム『宴暦』、じゃなくていいのと言われましたが半ばゴリ押しで頂きました。何故なら合わせてこの場にいる堀井さんにも頂きたかった次第で。勢いにも乗ってとある方々と談笑するご当人にお願いしサインを頂く中、堀井さんや周りの方々がジャケットを懐かしがる光景が。ひょいと持っていった方が「何枚目のアルバムか?」と言われ三枚目のですと返しながら、この方もしやカシオペアが長くお世話になっているAD LIBという音楽雑誌の編集長氏では?と。以前の記事で読んだみたく女性が複数周りにいたなぁ、と。結局確認する度胸はありませんでした。とにもかくにもお気に入りアルバムの一つ『FRONT AND LEAR』を作った人と参加した人のサインを頂くこの夜の最大私的ミッションが果たせ満足でした。…あわよくばこのアルバムの曲や堀井さんの演奏も聴きたかったですけどね。


 こんなにやかましくて大騒ぎな還暦のお祝いに参加して本当に楽しかった。鳴瀬さんに会えてホント良かった。そうしみじみ思います。イヤ大袈裟じゃなく。心に刺さる、というより心&耳の鼓膜に焼き付く一夜でした。氏とその愉快な仲間達に乾杯♪ そしてNARUCHO-ICE名古屋に来てくんない?(切実)

 以上をブルースアレイジャパンを出てから近くにあったデニーズで、ド深夜につらつらと書きました。AD LIBの読者コーナーに投稿しようと目論みましたが、なんやかんやで形を整えないままにしていたら雑誌が休刊になり以降放棄していたのを、あちこち加筆し10年を経て此方にて日の目を見ました。これを今回選んだのは宴暦の告知が毎年8月なので、合わせてみたく。その宴暦は去年の10回目で完結し、古希を迎える今年はさてどう来るか。Narucho-ICEは全員が揃う機会がなかなか無いそうで、名古屋に来るのもここ最近東京でもライブが無いのはさみしいです。此方も彼方も待つ、今年の夏。宴暦はその後2014年と16年17年と参加してメモを取ったのもありますのでゆくゆくは。