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クズアンドピース/ポメラニアン(2024/11/4)

〈はじめに〉

振り返りが遅すぎてすいません。
ギリギリ11月間に合いました。

2024/11/4 工藤祐次郎『クズアンドピース / ポメラニアン』リリースツアー2024 at LOOP&LOOP(五泉市)にお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
来てくださった皆様のおかげでとても良い日になり、とても嬉しい気持ちです。

私は主催者として配慮が至らない点が多く、ご迷惑をおかけしてしまった方々、本当に申し訳ありません。
良い面もありましたが、反省する点も多く、次回以降の開催に必ず活かしていきます。
今後またどこかで機会がありましたら、宜しくお願い致します。

以下に、このイベントへの想いを文章として残したくダラダラと綴りました。
「人生の区切り」みたいなものには今まで全く頓着がなかったんですが、1日を通してそういったものを感じてしまいました。老化です。

今回のイベントは、自分の中のかなり深いところから始まっていて、それを書いた結果、半生を振り返っています。話を短くできない。老化です。

知らねぇ奴の人生の振り返りが大半になってしまったので、途方もなく暇な方が、暇つぶしに読んでもらえたらありがたいです。

〈社会がクソすぎる〉

昔からいい加減で面倒くさがりな性格で、自分が興味のあることだけ適当に触り、面倒なことはヘラヘラとやり過ごしながら生きてた。

進路もいい加減で、「競走馬の厩務員になるんだ!」という突発的な夢は見事に打ち砕かれ、高校卒業後は無意味な専門学校へ行き、就職も「友達が受けるから」という理由で付いていったらなんか受かってしまった。

気味の悪い新入社員研修も適当にやり過ごした。
配属先でも「ヘラヘラしてりゃ何とかなるだろ」という見立てで挑んだんだけど、初日で現実を知る。

「何でこんなやつ雇ったんだ」みたいな空気が漂う職場で“弱い奴”として過ごす日々が続いた。

その時、初めて面と向かって“カス”扱いされたと思う。初めは「あー、俺はカスだったのか…」と落ち込んだけど、日が経つにつれて、それを受け入れてしまっている自分にムカついてきた。

〈パンクとハードコア〉

子供の頃から親父の影響でビートルズと井上陽水が好きで、中学生でoasisが好きになり、高校時代は周りの影響でパンク、ハードコアに熱を上げた。

前述したようにいい加減で面倒くさがりな性格なので、自分のペースが崩れたりするとイラつくことが多かった。
そんな時にパンク、ハードコアを聴くと、自分の代わりに怒ってくれている気がして、スカッとして気が晴れた。

社会に出て、カス扱いされた時もパンク、ハードコアでリセットして、またカス扱いに耐えるみたいな日々を過ごす。
会社に人がいなすぎてすぐ役職に上がったんだけど、そこでも当たり前に「あいつが役職とかw」みたいな感じになった。

なんかその辺でヘラヘラしてるのもいい加減疲れてしまい、「バカにした奴全員(仕事で)ぶち殺してやる」という思考に切り替わる。

(仕事で)ぶち殺す為に自分の時間をフルで使い、知らないことも出来ないことも全て無くすように努めた。どんなに嫌なこと言われても「(技術を)盗むまで…」と思い、ヘラヘラしながら頑張った。

なんだかんだ結果に繋がって、会社での責任が増えていったんだけど、趣向はより凶暴で、狂気に満ちた難解なものに没入していく。



〈エクストリームパワーハラスメント〉

ある日から、とんでもない上司の下で働くことになった。所業をネットの海に放出するにはあまりにも危険すぎるので何も書けない。

私はそれまでに培ってきたエクストリームハードコア社交術で妙に気に入られてしまい、右腕というポジションに就く。

地獄の右腕になるということは、常に業火に巻き込まれるということ。とてつもなく業の深い、紫がかった炎の中で身も心も燃やしていく。

そんなことをしてると、本当に「自分」が何だったのかわからなくなっていった。

「上司から守るために俺が怒らなければ」という名目の下、部下や同僚にめちゃくちゃなことを言ったりしていた。
それは「優しさは時に相手を傷つける」というような綺麗なものではなく、憂さ晴らしも含んだ歪なものだったと思う。

そのタチの悪さは自分でも薄々気付いていたけど、環境のせいにしてそれを止めることができないほど自分を見失っていた。

もうその頃にはパンク、ハードコアでは自分を抱えきれなくなってきていて、今まで奮い立っていた音楽が、どれだけカーステレオの音量を上げても自分とは関係ない遠くの方から聴こえているような気がして、とても悲しく響いていたのを覚えている。

「あーもう全部やめて消えてしまいたい」
と思いながら毎日帰路についていた。

〈ひゅーい〉

ある日、石崎ひゅーいの「夜間飛行」をたまたま耳にした。

その歌は1番で「飛んでいく」って言ったのに2番で「ごめん、飛べない」と歌っていた。

「ちゃんと謝るんだ…」と、その時の自分に“そこ”がとてつもないぶっ刺さり方をして、石崎ひゅーいにドプドプにハマっていく。

YouTubeでもMVを毎日のように見ていたんだけど、ある日おすすめ欄にサジェストされた動画に目がいった。

「ネコ娘 - クズ&ピース (2012年11月23日無力無善寺の様子)」

「無力無善寺?へー、寺でライブとかやるのか」と思い、何となく再生をした。
その時の再生回数はたしか40回程度だった。

全然知らないバンドの、知らない曲の、ライブ動画。普段は絶対見ないんだけど、なぜか見た。

恋で浮かれてる歌なのか、叶わぬ恋の歌なのか。
どっちかはわからないんだけど、「あの子とニャンニャンしてぇー!」みたいな青々とした歌を、とてつもない熱量で歌っている姿に、なんだかめちゃくちゃ泣いてしまった。

これが人生で初めて経験した「何で泣いたのかわからない」出来事だった。

〈パワプロ〉

自分はいわゆる「青春パンク」と呼ばれるものを通ってなくて、理由は「青春パンクは、仲間に!恋に!と充実している奴らが、自分達の素晴らしい青春に陶酔するためのBGM」という大拗らせ偏見を持っていたため。

中学生の頃、放課後は卓球の玉とホウキで誰も来ない最上階の廊下で少しだけ野球をして、家に帰ったらパワプロのサクセスで現実に近い能力値の選手を作り込むという“硬派な青春”を送っていた自分には、青春パンクは無縁の音楽だった。

スーファミの電源を入れれば「実況!パワフルプロ野球!」のタイトルコール。
それだけでテンションはマックスまでブチ上がり踊り狂えるほどだった。

クズ&ピースのライブ動画を見てから、知り合いに「凄い良いから」と勧めると「青春パンクみたいだね」と言われることが多かったけど、全くピンときてなかったのはパワプロしかやってなかったからだったと思う。

〈長すぎる〉

出会いまでをざっと書いたんだけど、長すぎる。
長すぎるなーと思ってこれでもめちゃくちゃ削ったんだけど、長すぎる。

本当はクズ&ピースがいかに素晴らしいか、「この曲のここの歌詞が…」とか、そういうのをダラダラと書きたかったんだけど、それを書いてしまうと初めて触れた時の感動が薄れてしまうなというか、「聴けばわかるので聴いてほしい」と思ってしまった。

これは自分の悪いところなんだけど、映画も音楽も漫画も、「ネタバレ」的なものに触れてほしくないと思ってしまう。

だから薦めるにしても「ネタバレ」にものすごい配慮した形になるし、そんなに話も上手くないのでいまいち興味をもってもらえないという地獄に陥る。

知り合いに勧めても誰もクズ&ピースを聴いてくれなくて、というか聴く手段も「俺から借りる」しかなくて、大事なものなので俺もそんなに貸したくなくて、そんな感じで出会いから10年以上も時間が経ってしまった。

〈工藤さん〉

工藤祐次郎さんの音楽を知ったのは、今回一緒に来てくれたクズ&ピースの生田さんのツイートがきっかけで、「こんな凄い人がいるんだ…」と感動した。

工藤さんを去年新潟に呼ぼうと思ったのは、工藤さんの音楽がめちゃくちゃ好きなのはもちろんだけど、「クズ&ピースのファン」と公言してくれていたことが本当に大きい。

当時、自分の周りにクズ&ピースのファンだという人は1人もいなかったので本当に嬉しかった。

去年のイベント時、工藤さんは「台風で電車が動かないと大変なので」ということで前乗りしてくれて「ならご飯でも食べましょう!」と無理やりご飯にお誘いした。

行きたかったお店は満席で、僕は酒を飲まないので居酒屋に詳しくなく、適当に歩いた先にあった地元でも“最果て”と呼ばれる居酒屋で、疲れている工藤さんに「俺はフェイクじゃなく、リアルなので」と言わんばかり、自前のクズ&ピースコレクションを見せつけてドン引きさせた。

正直こんな感じの申し訳ない出会い初日だったのに、その日の出来事もろもろひっくるめてあんな素晴らしい歌を作ってくれた工藤さんも、(とても失礼だけど)やっぱり少し変なんじゃないかなと思った(とても良い意味で)。


〈グッドミュージック〉

昨年、北書店での工藤祐次郎さんのライブの際、物販でとても面白い質問をされている方がいた。

「羊羹のブルースでかけていた“グッドミュージック”ってなんですか?」

確かに。めちゃくちゃ気になる。
物販の対応をしながら聞き耳を立てていたんだけど、工藤さんは何やら海外のミュージシャンの名前を出していて全然覚えられなかった。

質問した人はなんだかわかるような感じで話していたので、通じるものがあるんだな凄いなと思ったのを覚えている。

イベントからしばらく経った後、折坂悠太さんが詩集を出すと発表していて、その取り扱いが新潟では「ensui」だけになっていた。

「ensui」を知らなかったけど五泉にあるようで、五泉には煉瓦の壁を見に行ったり、中華屋に行ったりと割と好きな町だったので、行ってみようということになった。

行ってみると、とてつもなく洒落た建物だった。
入ってすぐに「ensui」があった。
珈琲屋さんだった。

めちゃくちゃ既視感のあるリキッドコーヒーが目に入る。これは…暁天(小千谷の最高ラーメン屋)に置いてある謎のコーヒー?

「ここが、本拠地だったのか…なぜ」という疑問はあったんだけど、とりあえず折坂悠太の詩集を買いたいのでお店の方に声をかけようとすると、

「「「羊羹のブルースでかけていた“グッドミュージック”ってなんですか?」」」 の人だった。

驚きはそこで止まらず、なんと暁天(小千谷の最高ラーメン屋)の息子さんとのこと。

暁天は本当に大好きなラーメン。
めちゃくちゃ遠いので誕生日とか“特別な日に食べにいくラーメン”として我が家での地位を確固たるものとしてる。なぜコーヒーがラーメン屋で売られているのか長年の謎だったので、ここで色々なものの伏線回収が一気にされた感があり、伏線の致死量ギリギリだった。

今回イベント会場となったLOOP&LOOPは、このensuiの店主細貝さんの大変なご協力によりお貸し頂けた。本当に素敵な場所。
出店頂けたリリベーグルさん、いも奉行ごせんさんも本当にありがとうございました!

そういえば初めてensuiに伺った際に、細貝さんに「あのグッドミュージックってなんだったんですか?」と聞いたら、「なんだったっけな…英語でした!」と忘れていた。

ちなみに工藤さんにも五泉へ向かう車中で伺ったら「なんだったけな…え?英語…?英語なのかぁ」と忘れていた。

〈20241104〉

2024年11月4日は、そんな色々な偶然と、自分の半生がめちゃくちゃ折り重なってしまって、簡単に言葉に出来ない1日になった。

工藤さんの新譜はもちろんめちゃくちゃ良くてライブも最高だったし、
何より沢山の人にクズアンドピースの音楽を聴いてもらって、
「めちゃくちゃ良い!」って言ってくれる人がいて、
さらにクズアンドピースのCDを買ってる人が何人もいて、
「これはもうとんでもないことだ」と1人で震えていた。

今回は生田さん1人だったんですが、来年はクズアンドピースをバンドで、ライブハウスで、新潟に呼びたいと考えています…
その時はまた皆様、宜しくお願いします。

こんなに長く、だらけた文章をここまで読んでくれる人は(とても失礼だけど)やっぱり少し変だと思います(とてもいい意味で)。

ありがとうございました。

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