ある日のペッパー君の叫び。
「僕の声が届いていますかー?」
最近流行りの、タピオカミルク店の前にいるペッパー君が叫んでいた。ペッパー君がこんな言葉を放つことに驚いたし、同時に胸がキューッとなった。
ペッパー君がここに来た当初に比べると、時々前を通るだけのわたしから見ても、ペッパー君への視線は減ったなあと思う。ペッパー君の思いは切実だ。
声が届かないというのは、苦しい。届かなかった時は、そこに居るのに居ないのと同じような、そんな孤独を感じさせる。そしてその孤独は、「届ける」ことからどんどん遠ざけてしまう。時間をかけてゆっくり閉まった心のシャッターを開けるのは、閉まったスピードの倍以上かかると思う。
ペッパー君のあの日の叫びが今も記憶に残っているのは、わたしの心の声と通じるものがあったからなのかもしれない。「僕の声が届いていますかー?」と声に出せるペッパー君は、ロボットだけど人間より人間の心を持っているように感じた。
ペッパー君、誰かには届いてるよ。少なくともわたしには、ペッパー君の声が聞こえてる。
最後までお読みいただき、ありがとうございます! 泣いたり笑ったりしながらゆっくりと進んでいたら、またどこかで会えるかも...。そのときを楽しみにしています。