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【板前コラム】「信頼は言葉ではなく行動で示される」本当の意味


はじめに|信頼は積み重ねるもの

「信頼を大事にしろ。」

板前の世界に入ったばかりの頃、親方から何度もそう言われた。
最初はピンとこなかったけれど、料理の世界で生きていくうちに、その意味が少しずつ分かるようになった。

お客様からの信頼、仲間からの信頼。
これは、一朝一夕で手に入るものじゃない。

どれだけ「信じてください」と言葉で言ったところで、それだけでは誰も信じてはくれない。
結局、信頼は行動でしか築けないのです。

信頼を築くための基本|言葉より行動

厨房での信頼関係とは?

厨房では、チームワークが命です。
一人でも気を抜けば、料理の提供が遅れ、全体の流れが乱れる。

例えば、仕込みの段階で「ちゃんとやっておきました!」と口では言っていても、実際に不備があれば、それは嘘をついたのと同じ。
「次から気をつけます」と謝るのは簡単だけど、一度崩れた信頼は簡単には戻らない。

だからこそ、言葉よりも行動。
「やる」と言ったことは必ずやる。
それを続けることが、厨房での信頼を築く唯一の方法なのです。

料理の世界は「約束」の連続

料理人の仕事は、「約束を守ること」の連続だと思う。
予約の時間を守る、注文通りに料理を出す、品質を落とさない。

どんなに腕のいい料理人でも、「今日はちょっと手を抜いた」なんてことをすれば、お客様は敏感に気づく。
一度でも「この店は信用できない」と思われたら、もう来てもらえない。

お客様との信頼関係も、言葉じゃなく行動で築くもの。
「うちの料理は美味しいです!」と宣伝するよりも、一皿一皿、誠実に作り続けることが大事なんです。

信頼を積み重ねる行動とは?

1. 約束は必ず守る

親方から教わったことの一つに、「約束を破るくらいなら、最初からするな」という言葉がある。
大げさに聞こえるかもしれないけど、それくらい「約束を守ること」は信頼の土台になる。

例えば、
✔ 仕込みを任されたら、時間内に確実に終わらせる
✔ 任された仕事に手を抜かない
✔ 「できます」と言ったことは、最後までやり遂げる

小さな約束でも、守り続けることで「こいつに任せて大丈夫だ」と思われるようになる。

2. 誰も見ていなくても、手を抜かない

厨房には、上司や先輩がいないときでも、やるべきことが山ほどある。
誰も見ていないからといって手を抜く人は、必ずどこかでボロが出る。

おいらがまだ駆け出しだった頃、一度だけ「バレないだろう」と思って掃除を適当に済ませたことがある。
翌朝、親方が厨房を見回り、すぐにこう言った。

「昨日、手を抜いたな?」

何も言い訳できなかった。
親方は、ちゃんと見ていたわけじゃない。でも、行動に表れるんだ。
それ以来、おいらは「見られていなくても、全力でやる」ことを徹底するようになった。

信頼は、そういう積み重ねで生まれるものなのです。

まとめ|信頼は日々の行動で築くもの

信頼は、一瞬で築けるものじゃない。
そして、一度失えば、取り戻すのは何倍も大変です。

✔ 言葉だけでなく、行動で示すこと
✔ 小さな約束を守り続けること
✔ 誰も見ていなくても、誠実に仕事をすること

おいらは、今日も厨房で包丁を握りながら、親方の言葉を思い出す。
「信頼は言葉じゃなく、行動で示せ」。

その一つ一つの積み重ねが、料理人としての信用をつくるのだから。

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