屍人荘の殺人見てきたよ(ネタバレあり)

2020年の映画始めは神木君主演の「屍人荘の殺人」でした。

あんまり「このミス大賞」に良い思い出が無くて、本屋で山ほど文庫が並んでた時も惹かれはしなかったんだけど、THEクローズドミステリーな予告はやっぱりどうしても心をぞわと疼かせてしまう…。ミステリ好きの性。

謎解きはディナーの後で系のライトミステリなら少し興醒めだなー、とハードルは低めの視聴。結果論だけ言うなら、私は普通に楽しめた。

クローズドサークルの持って生き方がかつてないほど斬新。新しい…これは確かに新しい…コロンブスの卵だ…。それを踏まえると意図的にクローズドの内容を隠してるあの予告の作り方は、ある種上手いと思う。でも「こんな作品だと知ってたなら見に来なかった!」みたいな声も絶対上がるんだろうな、とも。でも、ホラーミステリとして大々的に銘打つにはチープだし、こっちのが集客は見込める分、賢いやり方だったんじゃないかな。

映画だけだと、明智さんと葉村くんの関係性がわりと希薄に感じられてしまったので、中盤、後半の葉村くんの絶対的信頼感に多少疑問は抱いてしまうのは、残念ポイント。

そこまで尺は割けないと思うけど、もう少しなんとかならなかったか…原作だともっと丁寧に描かれているんだろうか…。あれだけ「可愛い」って惹かれていた比瑠子ちゃんのお誘い断るほどの魅力が明智さんに本当にあった!?ってなってしまったよ。

あの極限の中、いつゾンビに殺されてもおかしくないなかで起こる殺人っていう発想が凄いんだよな。敵に囲まれた中で、味方も敵かもしれないっていう選択肢を増やしていくのは、中々思いつかないような。

帰りにチラと本屋を覗いて原作をパラ見したんだけど、最後のシーン、明智さんは屋上への階段を昇っていくところで殺されるんだね。その方が演出的には確かにまとまっていて綺麗だな、と。映画のあの感じだとひたすらに後味が悪いし、「僕の相棒は明智さんです」「あげない」の流れが少し残酷過ぎて比瑠子ちゃんが若干悪く映ってしまうというかなんというか。まあ主観です。映画の見せ場的にああするしかない事は解ってる。でも、あの終わり方にするなら、EDの主題歌チョイス絶対間違ってるだろう!?後味悪く終わるなら、重たい余韻を引きずる暗めのミドル曲の方が良かったんじゃないかなぁとか。

結局、ゾンビ化のバイオテロに関しての深い説明とかは何にも無いんだ!とも思ったんだけど、作者さんにとってあの状況は本当に「クローズド」を作るための手段でしか無い、と思えばまあ納得というか…。雪山の山荘で閉じ込められたって「何で吹雪が起こったのか説明は無いんですか!?」とは誰も聞かないもんね。人災と天災の違いはあれど、そういう扱いだとしたら、まあ納得かな。

切り替わるカメラカットとテンポの良い会話にどこか既視感を覚えるなーと思っていたんだけど、監督、TRICKの方だったんですねー!妙に納得。この辺りは原作だけ見るのと随分印象が変わるところなんだろうな。浜辺美波ちゃんとても可愛かったです。ちょっと舌足らずな喋り方だなーと最初は思ったけど、後半は全く気にならず。神木君は相変わらず素晴らしい。演技力が自然過ぎて、凄さを逆に感じ取れないレベル。

原作が読みたいなと思える作品だったので、映画化としてはまぁまぁって感じでしょうか。明智さんは最後、葉村君になんて言ったんだろうね。