医師の投資 アセットアロケーション編
モダンポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory, MPT)は、ハリー・マーコウィッツによって提唱された投資の考え方で、リスクとリターンのバランスを取るための分散投資の理論です。シンプルに言えば、MPTは「資産を複数の異なる投資先に分散することで、リスクを抑えつつリターンを最大化する」ことを目指します。いわゆる分散投資の考え方ですね。
ポイントは、すべての資産(株や債券、コモディティ)が同じように動くわけではない点にあります。例えば、株式が値下がりしたときに債券が安定していれば、全体の損失を抑えられるという考え方です。資産の組み合わせを工夫することで、経済の変動(不景気や金融危機など)に対する安定性を持たせ、目標とするリターンを達成することを狙います。
この理論の基礎には、「リスク分散」と「相関性」があります。資産ごとにリスクとリターンの特徴が異なり、またある資産が値上がりするときに別の資産が値下がりするような相関関係があるため、それを利用してポートフォリオ全体のリスクを減らすことができます。
マーコウィッツが計算式を使って効率的なポートフォリオ(最もリスクが低く、リターンが高い組み合わせ)を見つける方法を確立したことで、MPTは投資理論として広く支持されているわけです(有効フロンティア)。
実際に投資を行う際には、MPTや有効フロンティアの考え方に基づき、株式や債券、不動産、コモディティなど異なる資産クラスを組み合わせます。各資産はそれぞれ異なる値動きやリスク特性を持ち、相関性が低いもの同士を組み合わせることで、全体のポートフォリオリスクを軽減します。
知っておくべき資産クラス
●株式(日本株、米国株、新興国株など) 国内株式、外国株式(先進国、新興国)など、資産を形成するための運用資産として重要。
●債券(国内・外国) 債券は、国や地方公共団体、企業が資金を借りるために発行する借用証書のようなものです。国が発行する場合は国債、株式会社が発行する場合は「社債」とも呼ばれるます。債券を持つと、購入時に定められた利息を受け取り、期限が来たら元本相当の金額が返ってきます。
●不動産 不動産は、物件を購入してその物件を貸し出し、家賃収入を得ることで利益を得ます。実物不動産以外にも不動産投資信託(REIT)は、不動産を投資対象とした投資信託の一種です。
●コモディティ(ゴールド、プラチナなど) ゴールドやプラチナ、原油、小麦などの商品(コモディティ)も、資産クラスの一つです。商品は、株式や預貯金のように配当や利息は得られませんが、価値がゼロになることもなく、インフレ時に強い点が大きな特徴です。株式や債券など他の資産クラスの値動きと相関性が低いため、資産の分散効果が見込めます。
●現金 現金は、そのまま持っていても現時点の日本ではほぼ利息が得られませんが、損失もないという点が大きな特徴です。突然現金が必要となる事態も考え、資産のうちすべてを投資に回すのではなく、一定割合は現金または預貯金として保有しておくほうが安心です。
僕自身は著名な投資家であるレイ・ダリオのオールシーズンズ戦略というものを参考にしています。オールシーズンズとは①インフレ期②デフレ期③経済上昇期④経済下降期の4期をさします。どの時期においてもある程度の耐性があるのが特徴です。具体的には
1) 株式:30%
2) 中期米国債(7〜10年満期):15%
3) 長期米国債(20〜25年満期):40%
4) 金:7.5%
5) 商品:7.5%
となっています。僕自身は債券の割合を増やしているのと、コモディティとしてビットコインも保有しています。
もちろん100%米国株で持ち続けることができるならより優れたパフォーマンスになるのですが、暴落時に株のみ持ち続けるのはかなり強い気持ちが必要です。僕自身、精神的な安心感が得られると考え、オールシーズンズ戦略を取りいれました。
投資は自己責任で行ってください。
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