重陽の節句〜キクのお花に心を寄せる

来る9月9日は重陽の節句。
日々の小さな幸せを掬うきっかけになればと、五節句の中でも少々影の薄いこの節句について少し想いを馳せてみます。

五節句とは
⚫︎1月7日　人日の節句
別名を七草の節句。七草粥を食べる日です。
⚫︎3月3日　上巳の節句
別名を桃の節句。言わずと知れたひな祭りです。
⚫︎5月5日　端午の節句
別名を菖蒲の節句。こどもの日ですね。
⚫︎7月7日　七夕の節句
別名を笹竹の節句。織姫と彦星が会う日ですよね。
⚫︎9月9日　重陽の節句
別名を菊の節句。今回のテーマです。

重用の節句の由来

古来中国では、奇数は縁起が良い「陽数」、偶数は縁起の悪い「陰数」と考えられ、陽数の最大値である「9」が重なる9月9日を「重陽」と呼び、節句の1つとしました。

日本における菊の節句

旧暦の9月9日は、現在の10月中旬ごろにあたり、菊が美しく咲く時期です。
また菊は邪気を払い長寿の効能があると信じられていました。そんな菊の香りを移した「菊酒」を飲んで邪気を払い無病息災や長寿を願ったことから、『菊の節句』とも呼ばれています。

日本には平安時代の初めに中国より伝わり、宮中行事の1つとなり、菊を眺める宴「観菊の宴」が開催されたり菊を用いた厄払いなどが行われたりしました。また、時代とともに菊の風習は庶民の間でも広がり、江戸時代には五節句の1つとして親しまれる行事になっています。

最近はあまり馴染みがない節句ですが、旧暦を使用していた頃までは五節句を締めくくる最後の行事として盛んに祝われていました。

重陽の節句を気軽に楽しみたい

伝統的な風習は菊酒（お酒に菊の花を漬け込む、菊花を浮かべる）や、菊湯、あるいは「被せ綿（菊の花の上に綿を置いておき、朝露とともに香りを綿に移し、翌日その綿で体を清めて、不老長寿を願う）など。
どれも風流でそんな風に楽しみたいと思いつつ、微妙にハードルの高さも感じます。

少し無理やりですが、わたしは9日にキク科の植物のハーブティーやエッセンスシャルオイル、フラワーエッセンスを取り入れて、かつての雅やかな観菊の宴とはどんなものだったのかしら、などと想像を膨らませながら、自身の健康と無病息災を願いたいと思っています。

⚫︎キク科のハーブ
エキナセア、ジャーマンカモミール、ダンディライオン（西洋タンポポ）、フィーバーフューなど
⚫︎キク科のエッセンスシャルオイル
カモミールローマン、イモーテル、ヤロウなど
⚫︎キク科のフラワーエッセンス
チコリ、カモミールなど

チコリ

エキナセア

伝統行事は現代のわたしたちの日常生活でそのままの継承は難しい部分もあるかと思います。

でも少し取り入れることで、日常生活に小さな華やぎをもたらしてくれたり、あるいは行事の背景にある想いや精神性は、非常に興味深く、わたしたちを支えてくれるようなものがあると感じています。

無理のない範囲で、大切に楽しんでいきたいです。