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稽留流産手術当日と心の準備、手術台の上での事。

※当日の流れや事前処理、手術台に上がってから麻酔で落ちるまでの記録です。痛みの程度や、手術開始を待っている間の気持ちを綴るので辛くなる方は読まないでね。

稽留流産の診断が出た翌日の摘出手術が決まり、前日の夜からは絶食。まだつわりが続いている私にとって、この絶食はかなり辛かった。
何か食べても結局吐くのだけど、何も食べずに胃液を吐くのと、食べたものを吐くのは辛さが全く違う。
空っぽの胃袋から胃液だけを吐く時、胃が真空パックみたいになった感覚になるのだ。
「もう何も出せませんから!」と胃に怒られている気分である。
唯一の救いの冷たいミネラルウォーターも禁止。

当日の朝はもう絶不調。
喉はカラカラ、胃は真空パック、相変わらず世界は臭いまま。
本当に赤ちゃん死んじゃったのか?と疑いたくなるほどだったが、胎児が死亡していても胎盤がある程度機能している事があり、その場合つわりは妊娠組織を摘出するまで続くらしい。

稽留流産の手術の流れは検索魔のおかげで勿論全て把握しているので、診察台に上がるのはそれは恐怖だった。

大体の手術当日の流れは以下。
8:30 受付、問診
9:00 事前処置(ラミセルの挿入)
12:00 他の患者さんも順番に手術開始。手術自体は20分程度
15:00頃 麻酔から覚めて出血量の確認後、帰宅

まず受付後、9時よりも随分前に最後のエコーで胎児の死亡を確認し、そのままラミセルを子宮口に挿入。

事前に看護師さんが「ラミセルはこれよりは細いです」とボールペンを見せてくれたのだけど、いや、閉じてる子宮口にそれは割と太めだよ?と思った。

他の方々の体験談を読む限り、めっちゃ痛かった人と、それほどでもなかった人と感想は分かれていた。
私の場合はめっちゃ痛くは無いが、エコーの後すぐに思っていたよりすぐに「はいりまーす」と突っ込まれたのと、かなり緊張していたのでチクッとしてびっくりした。

そのあとは待合室で次の案内があるまで待って下さいとの事だったが、
「ラミセル入ったまま座れるの…?てか歩けるの…?怖いんですけどぉ…」とプチパニックを起こし、ホワイトアウトしてそのまま車椅子でベッドまで運ばれた。(極度のビビりなので、どんな手術の時も大体事前に倒れています)

そのままベッドで3時間ほど、ラミセルが少しずつ子宮口を広げてくれるのを待つ。
痛みは生理痛のような、またちょっと違うような感じで、耐えれないレベルでは無いけれど、赤ちゃんに当たっていないか心配だった。

手術が始まるまでの3時間、特に病院で出来る事もないので一度家に帰って15時ごろに迎えに来てくれるか夫に聞いたが、今日はずっと付き添うと言って帰らなかった。
手を握ったり、妊娠する前の日常のようなくだらない話で少し笑ったり、何度か泣いたりしながら過ごした。夫はずっと優しい。

悲しさはあったが、意外と冷静に状況を受け入れている自分もいた。
手術を先延ばしにしなくて良かったと思う。死んでしまった赤ちゃんには申し訳ないが、やはりきちんとお別れして、気持ちを切り替えないと私が精神的に健康でいられない。
先延ばしにして自宅で大出血を起こせば、家族みんなのトラウマになってしまう。私には家族の笑顔と健康を守る義務がある。

12時30分、1番目の手術の方が終わり、2番目で私の名前が呼ばれた。
それまでは落ち着いていたが、手術室へ向かう足が竦む。
どんどん涙が出てくるので、夫にこれ以上心配を掛けられないと思い、振り返らずにゆっくり手術室までの廊下を歩いた。

手術室に入ると、当たり前だが分娩室とは全然違う雰囲気で、足をくの字に曲げた大の字みたいな状態になり、手足はベルトで固定された。後はもう麻酔が効くのを待つだけ。

この辺からは不謹慎だが振り返るとちょっとした笑い話もある。

私があまりにおいおいと泣くので、看護師さんが涙を拭いて慰めてくれたのだけど、拭き方が結構雑なのと、手術室にティッシュがなかったのかキッチンペーパーのような硬めの紙で顔面をガシガシされたので、ブフウッと変な声が出た。ちょっと痛くて違う涙が出た。
泣いているし、緊張しているし、麻酔が効く前に処置が始まったらどうしようとか考えてしまって、心拍はどんどん速くなり、手術室に響き渡る異様に速い「ピッピッピッ」という心拍の計測音。
「早く麻酔をいれてぇ〜…こわいぃ〜」と顔をバシバシ拭かれながら、お股丸見えで大の字に固定された私。
後から担当医が入室してくると、私の心拍はもうマックスに速くなり、「えぇ…大丈夫ですか?」と困惑する担当医。大丈夫じゃない。私はパニック状態だがわかる、全然大丈夫じゃない。超こわい。
麻酔は見た目にはかなり少なく、パニック状態の私は「これだけで大丈夫なんか??!途中で起きたら嫌ですよ??!!🌋」とどんどんパニックに陥る私。心拍数はさらに上がる。

麻酔が投入されると、あっという間に視界がクラクラして、あんなに「麻酔いれてぇ〜」とお願いしまくっていた癖に、瞼が重くなってくると何故か起きなければと謎の使命感にかられ、必死に目を開けようとしてほぼ白目状態で瞼をピクピクさせていたであろう私。
看護師さんに「早く目閉じて寝なさいよ」と諭され、「あ、そうか、寝ないといけないんだった…」と気付き、そのまま眠りの中へ。たぶん私はちょっと顔がニヤニヤしていたと思う。

もちろん手術中の記憶は無い。痛みも全く覚えていないが、何となく何か喋って怒っていた気がする。
静脈麻酔はただ眠っているだけなので、ブツブツと普段思っている事や鬱憤を話し出す事があるらしい。
恥ずかしいので、「私何か喋ってましたか?」とは聞かなかった。

ちなみに15時帰宅予定だったが、麻酔が覚めず、病院を出たのは20時を過ぎていた。
次は術後、麻酔が覚めるまでの記録を書きます。

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