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はじめました

こんにちは。弓です。

noteを始めてみました。

自分の中に消化しきれない気持ちがあった時整理するためにも文章を書いている気がして もしかして人に見てもらったらもっと違うことが起こるのかもしれないと思ったからです。

この写真は2017年の夏に炊飯器の釜と保冷剤で人工井戸を作って日本酒を冷やした時の写真です。

なぜこの写真を最初に選んだかと言うと、私のまだ27年しかない人生、だけど27年という長い時間の中で一番キラキラしていた夏の大切な思い出だからです。もう2度と来ない夏なんだと思うと胸が切なくなるしでもきっといつまで経っても思い出せるキラキラを体験した事はやっぱり幸せに思います。

私はその時東京の端っこの端っこに住んでいて会う人会う人になんでそんな所を選んだのかと言われていたのでした。当時同棲していた恋人と別れて同棲を解消したために引っ越したという経緯です。5万2000円でそれなりに気に入った家に住めるという理由だけで選んだ辺鄙すぎる街にいたのが水谷くんでした。

水谷くんとは大学時代の友達が実家で開催するホームパーティで知り合いました。水谷くんとはなんの面識もなく、ただ自分の住んでいる地名が聞こえた気がして話したのが最初でした。私たちの住む駅にはすぐ横に居酒屋が一件あるのみなのですが、その居酒屋が一人では非常に入りづらい雰囲気の店だという話で盛り上がり、パーティの帰り道寄ってみない?と水谷くんが誘ってくれたのでした。

それから水谷くんのお家で夜中に冷やし中華を食べたり、天気がいい日はパンとケーキを買って御苑にピクニックに行ったり、私は水谷くんの提案すること持っているもの何もかもが初めて知るのにずっと望んでいたようなものの気がして、人工井戸の中で水色の瓶がすこしずつ汗をかいていく様やパンツ丸出しで芝生の感触を体ぜんぶに感じたこと、空の青と木々の緑がそのまま水谷くんの青いシャツと深緑のボトムに繋がっていること、当時パンの仕事をしていた私があらゆる店からかき集めたパンを二人で消費したこと、すだちが売っていなくてうどんにライムを乗せて食べてみたら全然違ったことなどに一々一々感動していた。

私の部屋はロフトにクーラーが全然届かなくて毎日汗だくになりながら寝ていたのだけど、目が覚めると水谷くんが私の髪を撫でながらおでこの汗を拭ってくれたりしていて、あえて関係に名前をつけようという気すら起きないくらい何もかもが完璧な日々で、でも水谷くんにはきちんと名前のついた関係の人が居るということを、私の先輩のその人彼女いないの?という短い質問がきっかけで知ることになった。

水谷くんが夜の公園で私に話したことは、私の絵の話だった。私は飼っていた白い犬が大好きでよく絵のモチーフにしていた。そのうちの1つについて白くてふわふわで優しい気持ちになれてそこにはいいものしか存在していない、純粋で幸せなものの象徴だよと説明したのを水谷くんは覚えていて、それを聞いた時まんま君のことだと思ったんだよと言った。本当に好きなんだよ嘘じゃ無いよでも大切にしなきゃいけない人がほかに居る、と言った。

水谷くんのことを私の周りの人はとんだ悪人だと言ったし見た目から明らかなのにわからない方も悪いとも言われた。でも私が一夏の間に水谷くんからもらったキラキラしたものは本当に本当に多くて本当にキラキラしていて今だってキラキラしている。多分人生の中でずっとキラキラしている。と同時に本当に好きな人からは自分は一生選ばれ無いのだろうという呪いももらったように思う。冷静に考えればそれは、お互いに背負うものが無いからこそ自分の素敵な部分のみを見せ合えたというだけのことかもしれないなと思う、フィーリングが合うなんて、言葉にするとなんて陳腐なんだろうと苦い気持ちになるけれども、自分と他人がこんなにぴったりと隙間なくくっつくことが有るのかと驚いたものだし、もう2度とこんな風に思うことは無いだろうと思う。今好きなタイプを聞かれると、家具や植物が好きな人と言ってしまうけど、それは水谷くんの一部を構成するものだっただけでそんな人が好きだから水谷くんを好きになったわけではないことは明らかだ。水谷くんの気負わない丁寧な暮らしぶりが好きだった。自分も水谷くんももうその街には住んでいない。チャンスはいくらもあったのに最後に言えなかったことを言いたいなと思ってこのnoteを書きました。水谷くんありがとう。

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