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【長編小説】リトライ;リバース;リサイクル #18
【語り部:陜ィ�ィ雎趣ソス陜ィ�ィ陷�スヲ】
救いを求めようと思えるほどの人生を送ってきてはいない。
それでも救いというものを求めるのであれば、おれにとってそれは、たった一人の存在のことを言うのだと思う。
【語り部:五味空気】
ああ、今夜も風が冷たい。
仰向けになったまま俺は、寒くて死んじゃうよ、と独りごちた。
そんなこと言ったって、どうせ死にはしないんだろうけど。
ため息を吐きながら、ふと夜空を見上げる。たまには待っている間、星空を眺めているのも良いかもしれない。他にすることもなかったが故の思いつきだったけれど、冬の澄んだ空気のおかげか、星がいつもより綺麗に見えた。
……いつも? いつもって、なんだっけ。
俺がこうして星空を見上げるのは初めてのはずだ。それどころか、死体をクッション代わりにして眠り、快適に目を覚ましたのさえ初体験である。
それに俺は、一体誰を待っているというんだ?
顔も知らない他人を待つのに、こんな場所に居る理由ってなんだ?
なにがどうしてこうなったんだっけ、なんて考えながら身体を起こすと、辺り一帯には死体が転がっていた。俺がクッション代わりにしていたのなんて、そのうちの一部でしかない。
死体、死体、死体、死体、死体。無数の死体。ここには死体しかなかった。
前にもこんな光景を見たような気がする。でも、その【前】というのがいつのことなのかが思い出せない。記憶は火にくべられ、消し炭になってしまったようだ。
「あーああ。まーた駄目だったか」
どこからか声がする。姿は見えない。
聞き覚えのある声だ。ついさっきも聞いたような、そんな身近な声がする。
「まだかなあ。おれ、前以上に張り切ったんだけど」
彼の言う『張り切った』の意味合いは、周囲を見渡せば明らかだった。
必要以上に撃ちこまれた銃弾と、ナイフによる斬撃。
確かにこれは、張り切って殺し尽くしたと言って良い。人間を殺すのに、ここまでの損傷を与える必要はないのだ。最低限の労力で殺せる実力があるのに、敢えてここまでずたずたにしたのだから、これは「張り切った」以外のなにものでもない。【前】以上に陰惨な状態だ。
「それじゃあ今回もこれでサヨナラだ、五味空気」
そうして声は消える。最初からここに居なかったかのように。
途端、死体のなり損ないが動き出す。その手に持っているのはナイフだった。そいつは凄まじい目で俺を睨んで、わき目もふらずに突っ込んでくる。
俺の身体は動かない。無防備な状態で、そいつの攻撃を受けるほかない。怒り狂った斬撃は、見事に俺の喉元をぶった切った。視界が一気に赤く染まる。一面の赤に囲まれて、俺は死んだ。
やっぱり「今日」も、俺は長生きできなかった。
そんな口惜しい気持ちを胸いっぱいに抱えながら、目を閉じる。