【短編小説】無表情な私と無愛想な君とが繰り返すとある一日の記録
(1)――今日は、というか、今日も、だ。
酷く嫌な夢をみた気がして、私は目を覚ました。
心臓はまだ早鐘を打っていて息が上がっているし、十月の朝とは思えないほど滝のような汗をかいている。
それなのに、夢の内容は微塵にも覚えていなかった。
怖かった。
その感情だけが色濃く残っていて、余計に後味が悪い。
「ひさぎー? いい加減に起きないと遅刻するよー?」
階下から、私を呼ぶ母の声がした。
この呼びかけで起きなければ、部屋に母が突入してくる。別に、部屋に見られて困る