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せっかく作ったプログラム、コードを理解できなくなる前に公開しよう

  教員生活を終えて2年が経過した4月(2020年)上旬、思いがけず12年も前に作った時間割編成ソフトについて、質問メールをいただいた。
 VECTORにアップして公開したソフトだ。Yahoo GeoCitiesに使用法を書いていたのだが、そのサービスが終了して見ることができなくなっているという。

 YAHOOから「サービスを終了します」と通知が来たが、何年も更新してないから気にとめていなかった。VECTORからも毎月確認のメールを受け取っていたがほぼ読んでなかった。とりあえず、せっかくダウンロードしてくれた人に失礼があってはいけないと返信メールを書き始めたのだが、なんと自分でも実行方法が思い出せなかった。どこにも実行ボタンがないし、コードを見てもそれらしいものがなかった。エディタの実行ボタンを押せば使えるが、毎回エディタを起動するのはたまらない。10年前はいつも使っていたのにまったく思い出せなかった。頭の片隅で何かがうごめいているのに姿が見えない。きっとそれが答えだと思うのだが存在はわかるが形がない幽霊のようだった。

 その幽霊がゆっくりと姿を現し始めたのは夢の中だった。電話回線を使ってネットサーフィンをしているみたいに、一部が見えはじめ、虫食いの穴ががぼつりぽつりと埋められてゆく感じだった。目覚めたときにようやく「コントロールQ」という言葉が思い浮かんだ。
 そうだった。通常はACTIVE Xの実行ボタンを利用するのだが、コードが標準モジュールという場所に書かれていてそれができなかったから、しかたがなくショートカットを使ったのだった。
 
人間の記憶なんてほんとに当てにならない。「忘れるはずがない」と思うことが簡単に消し飛んでしまう。

 このできごとで、「公開したプログラムは自分のだけものではない」と遅ればせながら認識した。記憶の劣化状況を考えると、数年後には自分が書いたコードを理解できなくなる可能性さえある。 使用法をしっかり作り直して公開しようと思った。