何もない何者でもない自分

社会に出ると、個性を要求される場面が増えませんか?

特に就活で感じることですが、自分のアピールポイントや長所など「自分ならでは」を問われることが多いように感じます。近年ではSNSや動画サイトで個性などを生かした個人もたくさん見受けられるようになり、ますます「自分は何者なのか」について悩む機会も増えているような気がします。

私もその一人で、自分には何があるだろう、私の特技や個性はなんだろう、長所は何があるだろう、などと散々悩み続けています。

でもなかなか見つからなくて、むしろ日々の生活の中でマイナスポイントばかり目が行って「自分は生産性ないな」とか思い始める始末…。何者にも慣れない自分に自信が持てなくて、なかなか勇気が出せなくなってしまいます。


しかし、そもそも「何者」かにならないといけないのでしょうか。


自己分析や自分研究、適性診断など「自分が何者か」を知るためのツールが今の世の中には溢れかえっています。私たちはさまざまなそれらツールを用いて、自分が持っているものをなんとか探し出そうとします。

でも結果を見てしっくりこなかったり、適性の仕事があまり興味のわかないものだったり…。やればやるほど疑問が増え、自信が削られていくことにもなりかねません。


もっと肩の力を抜いていいと思うんです。というか、そうしたいんです。


あなたの持っている力はなんですか?あなたの長所はなんですか?これらの質問はもちろん必要なものだと思います。相手がどんな人物なのかを知るには重要な質問ですし、それをヒントにして今後の関係を築いていくからです。

でも、必ずしもそこに確かな答えがなくてもいいと思うんです。

「自分が何をもっているのか、どんなことができるのかわからない、そもそも何もできない、それが私です。」これが答えでもいいんじゃないでしょうか。「自分は何者でもありません」という答えも全然いいと思うんです。

人は誰しもその人にしかない個性や才能を持っている、という言い分も否定しません。きっとそうだから。ただ、まだそこに答えがない人がいてもいいですよねっていう話なんです。わからないなら、これから一緒に探せばいいし一緒にできることはしていけばいいじゃないですか。

何者であるかを問われすぎて、みんな「何者かでなければならない」とどこかでプレッシャーを感じているように思います。

自分のことなんてわからないじゃないですか。案外一番見えていないものって自分自身のことだったりするじゃないですか。だから自分に関する質問で「わからない」という答えがあってもいいと思うんですよね、何歳でも。

自分に関してわからないことがあってもそれは決して欠点ではないし、わからないなりに本人は毎日生きているわけで。それで十分じゃないかなと思うんです。


私はずっと、自分に何があるのか悩み続けてきました。でも何もできないし人より秀でたものとか人とは違うことなんて見つからないし、あったとしても説明できなかったり就活には使えないなとか思ったりする。そうなってくるともう行き止まり状態で。「あぁ私なんて何もできないし無理だよ」という思考になる。


でも「何者でもないし何者でなくてもいいんじゃないか」ってある日考えたとき、わりと気が楽になったんですよね。

別に何も持ってなくても誰と一緒でもいいのかって。そこで私の存在価値が揺らぐことはないよなって。

それに「何者でもない」ってことは、わりとこの先の可能性が無限にあるってことにもなるのでは?とか思って。そうなると「何者でもない」って案外悪くないなって思ったんです。


何者かでありたい自分、何者かであることによって得られる承認への欲望が私はかなり大きくて。だから何もない自分と対峙したとき、ものすごく辛くて絶望的な気持ちになったんですけど。

何もなくていいって思えたら肩の荷が少し降りたというか。何者であってもなくても、私は存在していいし誰かの役に立てるかもしれないんだなって思ったんです。


個性や才能というものは誰もが憧れるものですし、実際それを発揮して活躍されている方を見ると本当に尊敬します。そういう人たちが世の中で高い評価を受けているのは事実です。

でもそれにばかり気を取られて「何者かでなくてはならない」と追い込まれないようにしたいですよね。周りをみるとみんな個性や才能があって、すごいなぁ自分には何もないなぁって思ってしまうと思います。

しかしどんなことがあろうと自分は自分で、それは何者かどうかなんてそもそも関係ありません。そして何者であれ存在していいですし誰かの役に立てます。誰かが必要としてくれます。自分自身を大切にしていい根拠にもなります。

何者でもない透明な自分も、何者かである色にある自分も、大切に大切にしていきたいですね。


ぱんなこった

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?