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「駄弁り場-花奏屋-」

イントロダクション

ゴブレットビュートのアパルトメント街。
その一角にある「駄弁り場-花奏屋」の扉を、寡黙な冒険者は静かに押した。

温かみのある木の香りがふんわりと漂う店内は、控えめなランプの光に包まれ、どこか家庭的な温もりを感じさせる。階段に沿って本棚が配置され、窓際には小さな観葉植物が並ぶ。フローリングや家具の木目が柔らかく目に映り、そこにいるだけで心が落ち着く空間だった。

冒険者が視線を巡らせると、3人ほどの客が各々の時間を過ごしていた。
窓際のテーブルでは、ミコッテの男女が何かを話しながら笑顔を交わし、カウンター席にはヒューランの壮年男性がグラスを傾けている。どの顔にもリラックスした雰囲気が漂っており、この場所が特別な空間であることを静かに物語っていた。

「いらっしゃいませ。」

その声に冒険者が顔を向けると、カウンターの奥に立つ店主が目に入った。エレゼン族の女性で、飾り気のないシンプルな装いだが、整った青緑色のショートヘアと落ち着いた表情が彼女の美しさを際立たせている。控えめな笑みを浮かべたその顔立ちには、どこか母性的な優しさと自然な気品があった。

冒険者は無言で頷き、空いている窓際の席に腰を下ろす。他の客たちが静かに談笑する声と、カウンターで響くグラスや器具が触れ合う音が心地よい背景音となっている。

店主は彼のもとに静かに歩み寄り、「こちら、いかがでしょう?」と控えめな声で尋ねる。手には、香りの良さそうなハーブティーが乗ったトレイがあった。冒険者は軽く頷くだけで、それを受け取る。彼女はそれ以上何も言わず、カウンターへと戻っていった。

冒険者はカップを手に取り、ひと口含む。花のような優しい香りと、舌に広がる控えめな甘さが体の緊張をほぐしていく。目を閉じて味わうと、旅の疲れがゆっくりと溶けていくようだった。

窓の外を見ると、乾いた砂の街が広がる。
風に揺れる小さな植物たちの影が、店内の壁に映り込んでいる。その光景にふと見入っていると、背後から控えめな談笑が聞こえてきた。カウンターのヒューラン男性は、店主に話しかけているようだが、彼女は必要以上に言葉を交わさず、しかし確かな優しさを含んだ対応をしていた。

「いい店だよな、ここは。」

窓際のミコッテが小さく漏らす言葉が耳に届く。
冒険者は振り返ることなく、それを静かに胸に留めた。

やがてカップを空にした冒険者は、そっと立ち上がる。カウンターの方を振り返ると、店主が気配を察して彼を見やり、静かに笑顔を浮かべる。
それだけで十分だった。彼は無言で軽く頷き、扉へと向かった。

扉を開けると、外には砂漠の涼しい夜風が広がっていた。
店内で過ごした穏やかな時間が、まだ胸の奥に温かく残っている。
冒険者はその余韻を抱えたまま、再び夜の街へと歩みを進めた。

店内の様子

店主さん
店内ハウジング
店内ハウジング
実際の様子

基本情報

「駄弁り場-花奏屋-」
MeteorDC Unicorn ゴブレットビュート ナナモ大風車9号室
不定期営業
#駄弁り場_花奏屋

© SQUARE ENIX

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