宿屋 Blue&Brown
イントロダクション
久しぶりのクガネへの遠出を終えた彫金師は、ゴブレットビュートの街並みに足を踏み入れたとき、ようやく肩の力を抜いた。長い旅路を共にした鞄の重さも、どこか愛おしく思える。帰路につく前に、ふと目に入ったのは「Blue&Brown」の控えめな看板だった。
「少し寄っていくか。」
呟きながら扉を押すと、木の香りと焼きたてのパンの香ばしい香りが迎えてくれる。温かいウッド調のインテリアと季節感あふれるクリスマスの装飾が、心に穏やかな灯りをともした。店内には航海をテーマにしたミニチュアの船や絵画が並び、旅人が立ち寄るのにふさわしい空間を演出している。
「いらっしゃいませ。」
銀髪のミッドランダー族の店主が、肩に鷹を乗せながら穏やかな声で迎えてくれる。その声に彫金師は自然と頬を緩めた。
「少し休ませてもらおう。コーヒーと軽めのものを。」
「もちろんです。ちょうど焼き立てのパンがありますよ。」
店主の手際よい準備を眺めながら、カウンター席に腰を下ろす。並べられたボトルやランタンの光が、どこか懐かしさと安らぎを感じさせる。肩の鷹が首を傾げて、店主と同じように客を見守っている姿に、彫金師は思わず小さく笑みを浮かべた。
ほどなくして、コーヒーと焼きたてのクロワッサンが運ばれてくる。サクサクとした食感とバターの風味が口いっぱいに広がり、疲れた体にじんわりと染み渡る。「いい味だな」と心の中で呟きながら、彫金師は旅路の思い出を静かに思い返していた。
▁▂▃▄▅▆▇█ 客室と隣のアートギャラリー █▇▆▅▄▃▂▁
食事を終えた彫金師は、ふと店主に声をかけた。
「少し横になりたい。部屋をお願いできるか。」
「もちろんです。」
店主はカウンターから鍵を取り出し、階段を案内した。深い青の壁紙とウッドの調和した空間は、まるで静寂の中で旅人を包み込むようだった。
2階に着くと、客室の隣にあるアートギャラリーが目に入った。彫金師は扉越しに絵画の一部を目にし、思わず足を止める。
「よかったらご覧になってください。時間を忘れますよ。」
店主の一言に促され、彫金師はギャラリーへと足を踏み入れた。
ダークブルーの高級感あふれる壁紙に映える絵画の数々――自然や冒険をテーマにしたそれらは、スポットライトに照らされ、まるでその場で息づいているかのようだ。中央には、嵐の中を進む船の絵が飾られている。荒々しい波と、それに立ち向かう帆船の姿に、自分が経験してきた遠路の旅路を重ねた。
絵画をじっと見つめていると、壁に掛けられた小さな作品にも気づいた。
精緻な彫金が施されたフレームに収められた草原の風景――その細やかさに、職人としての心が静かに揺さぶられた。
「まるで、作品が語りかけてくるようだな……。」
呟きながらも、心の中では新たなインスピレーションが湧き上がっているのを感じた。
店主が少し離れたところで静かに見守っているのに気づき、彫金師は軽く頭を下げた。そして、客室の鍵を手に取り、「ありがとう」と短く告げてギャラリーを後にした。
客室の扉を開けると、クラシカルで落ち着いた空間が広がる。
木目調の家具と深い青の壁紙、間接照明が優しい光で包み込む部屋には、オレンジの実を付けた木が一角に配置され、自然なアクセントを添えている。鞄を床に置き、チェアに腰を下ろすと、長旅の疲れが一気に和らぐようだった。
ランプの光を頼りに、ベッドに横たわった彫金師は、旅の思い出とギャラリーでの新たな刺激を静かに思い返した。隣室の絵画たちが、今もなお物語を紡いでいるような気がした。
「また新しい作品を作れる気がするな……。」
その一言を最後に、彼は深い眠りに落ちていった。
店内の様子
基本情報
宿屋[Blue&Brown]
MeteorDC Yojimbo ゴブレットビュート 16-49
不定期営業
#宿屋青茶
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