ナタ・デ・カフェ
イントロダクション
ラベンダーベッド拡張区の静かな小道を歩いているカップルが、温かな光が漏れるカフェの前で足を止めた。名前は「ナタ・デ・カフェ」。
周囲を緑が彩り、天井から吊るされたカラフルなランタンが、訪れる者をそっと迎え入れている。
彼が扉を押すと、室内から漂うハーブと木材の香りが二人を包み込んだ。
目に飛び込んできたのは、天井から垂れ下がるつる植物、木材を基調とした温かみのある家具、そして壁を彩る蝶の標本や色鮮やかな小瓶の数々。
それらはまるで、自然の美しさを詰め込んだ宝箱のようだった。
「いらっしゃいませ。」
仮面を被った店主がカウンター越しに声をかけてきた。白い陶器のような仮面が控えめに輝き、彼女の存在に神秘的なオーラを添えている。声には穏やかな響きがあり、どこか安心感を与えるものだった。
二人は窓際の席に腰を下ろした。テーブルには小さな花瓶が置かれ、季節の花が控えめに彩りを添えている。彼女が周囲を見回しながら、壁の蝶の標本に目を留めると、彼も静かに頷いた。その一瞬の仕草に、二人の間に漂う穏やかな空気が、店の雰囲気と溶け合った。
店主がカウンターを回り、二人の席にメニューを置く。
彼女は少し目を輝かせながらページをめくるが、その手を止めたのは、特製のハーブティーの項目だった。彼もそれに気づき、軽く指をさして「こちらで」と注文を伝える。店主は静かに頷き、すぐにカウンターへ戻っていった。
店主の動きには迷いがなく、カウンターで茶葉を丁寧に蒸らす仕草は一つ一つが洗練されていた。その間、二人は店内の装飾を眺めている。棚に並べられたドライハーブや小瓶が照明に照らされ、どれもが温かみを感じさせる。つる植物の影が壁に揺れ、風の音を感じさせるようだった。
「お待たせしました。」
店主が静かに飲み物をテーブルに置く。彼女の前には花びらを浮かべたハーブティー、彼の前には深い琥珀色のブレンドティーが。湯気が立ち上り、二人の間に柔らかな香りのヴェールを作り出す。
彼女がカップを口に運ぶと、優しい甘さと清涼感が広がり、自然と肩の力が抜けた。彼も同じように一口飲むと、どこか満足した表情を浮かべる。それに気づいた店主は、仮面越しにわずかに微笑んだように見えた。
壁に飾られた標本や、窓の外で風に揺れる植物を静かに眺めながら、二人は言葉を交わさずとも心地よい時間を共有していた。自然に囲まれたこの空間は、言葉を超えた静かな対話を許してくれる場所だった。
店内では他の客がそれぞれの時間を楽しんでいるが、誰もが自然の調和に身を委ねているように見えた。ララフェル族の親子がケーキを分け合い、小さな声で笑い合っている。その静かな笑い声が店内の優しいBGMとともに、二人の間にも柔らかな空気を運んでくる。
最後の一口を飲み終えた頃、彼女が店主に小さく礼を言うと、彼もそれに倣った。店主は仮面の奥で静かに頷き、「またお越しください」と短く応えた。その声は、まるでこのカフェがいつでも二人を待っていると伝えているようだった。
外に出ると、空は夜の帳が降り始め、街灯の明かりが静かに瞬いていた。「ナタ・デ・カフェ」は、ただのカフェではなく、訪れる人々に静かな癒しと、心を通わせる時間を提供する特別な空間だった。彼らの後ろで扉が静かに閉じられ、その温かい灯りがまた誰かを迎え入れる準備をしていた。
店内の様子
基本情報
不定期深夜カフェ
【ナタ・デ・カフェ】
ManaDC Masamune ラベンダーベッド 15-32
不定期営業
#FF14ナタデカフェ
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