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Cafe Quiet

イントロダクション

シロガネ拡張区の夜は、ひんやりとした空気が肌を撫で、遠く波の音が絶え間なく響いている。その和風建築は、月明かりに照らされ幻想的な美しさを放っていた。

冒険者が歩く石畳の道には、控えめに揺れる行灯が並んでいる。行灯の柔らかな光が周囲の竹や庭木を照らし、影絵のような風景を生み出している。
時折聞こえる風鈴の澄んだ音が、静寂の中に心地よいアクセントを加える。

道中には、石灯籠が点在する小さな庭園や、木の橋が架かる池があり、その水面には月と星が静かに揺れていた。池の端に配置された砂利庭は、綺麗に整えられた波模様が施され、職人の技術が感じられる。この静けさの中、遠くから聞こえる小舟の櫓を漕ぐ音が、港町としての風情を引き立てている。

冒険者が目指しているのは、通りの奥まった場所にひっそりと佇むカフェ、「Cafe Quiet」だった。長旅の途中、孤独な旅を続ける中でふと立ち寄ったこの店に、静寂の中に温もりを求めていたのだ。

店内に足を踏み入れた冒険者を迎えたのは、微かに響くベルの音と、ほんのり甘い木の香りが漂う温かい空間だった。壁に飾られた蔦や草花が、自然の中にいるかのような錯覚を与え、優しい光がランプからこぼれ落ちていた。

カウンター越しに立つ店主のミコッテ族の女性は、淡い青緑色の髪を編み込み、緑のエプロンを身に着けている。丸いメガネ越しの穏やかな笑顔が、冒険者の緊張をほぐすように柔らかく映る。

冒険者はその微笑みに一礼し、窓際の席へ向かった。静かな足音が木の床に響き、空間の温もりが全身を包み込む。

窓の外には、満天の星空が広がり、夜の海が静かに波打っていた。店内には数組の客がいるものの、その会話は小声で交わされ、空間には穏やかな静寂が漂っている。

カウンターでは、ララフェル族の小さな客がカップを抱えながら、ハーブの種類について店主に尋ねている。店主が丁寧に答える声が、柔らかく空間に溶け込んでいた。奥のテーブルでは、ロスガル族の二人組が低い声で談笑し、片方が店主におかわりを頼むため軽く手を挙げる仕草が見えた。その動きに応じて店主が穏やかに微笑む光景が、店内に心地よい活気を与えている。

冒険者は静かにメニューを開き、ハーブティーを注文した。その言葉数は少ないが、店主はすぐにその意図を汲み取り、慣れた手つきで飲み物を用意する。

「お待たせしました。」 店主が静かにティーカップをテーブルに置いた。ハーブティーの湯気がゆらめき、カモミールとミントが織りなす爽やかで甘い香りが、冒険者の疲れた心にそっと染み込むように広がる。

冒険者はそっとカップを持ち上げ、ゆっくりと口に運ぶ。甘さとほのかな苦みが口の中に広がり、長い旅路の疲れが解けていくようだった。ふと店内を見渡すと、壁に掛けられた写真立てに気づく。店主が他のミコッテ族と共に映る写真は、どこか懐かしい雰囲気を漂わせていた。

グラスの音や椅子の軋む音が微かに響き、客たちの静かな動きが、この場所に命を吹き込んでいる。ふとした瞬間、店内全体が一瞬の静寂に包まれた。その静けさの中で、海の音や風のさざめきが遠くから聞こえる気がした。

ハーブティーを飲み終えた冒険者は、静かに席を立ち、カウンターで代金を支払った。

「ありがとうございました。」 店主の言葉に短く頷き、冒険者は再び夜の通りへと足を向ける。外の空気は冷たいが、店内の温もりが心の奥に残り続けていた。

振り返ると、窓から漏れる柔らかな灯りが海面に映り、揺れている。それはまるで、この場所が自分を見送っているかのようだった。

「また来るかもしれないな…」 冒険者は静かに呟いた。その静けさと温もりが、心の奥に柔らかく残っているのを感じながら、満天の星空の下を歩き始めた。振り返ると、カフェの灯りが揺れる海面に映り、自分をそっと見送っているように思えた。冷たい夜風が頬を撫でる中、店の温もりとハーブティーの余韻が心に残り、足音はどこか軽やかだった。静寂に包まれる街を進むたび、冒険者はこの夜のひとときを忘れないだろうと感じていた。

店内の様子

店主さん
店内ハウジング
店内ハウジング
実際の様子

基本情報

ゆっくり雑談店
Cafe Quiet
MeteorDC Mandragora シロガネ 2-43
不定期営業
#Cafe_Quiet

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