薬屋「雲母堂」
イントロダクション
シロガネの紅梅御殿、
その一角に「雲母堂」と記された小さな看板が掲げられている。
その名を知る者は少ない。さらに、その扉が開かれているのを
目にした者は、数えるほどしかいないという。
不定期にひっそりと営業するこの薬屋は、
まるで漂う霧のようにその存在が儚く感じられる。
扉を開けると、畳の清々しい香りが漂い、
足を踏み入れた冒険者を静かに包み込む。部屋には細やかに手入れされた
畳が敷き詰められ、奥の床の間には風雅な掛け軸が掛けられている。
その筆致の美しさは、ドマの静寂と文化の深さを感じさせるものだった。
窓の外には竹林が風にそよぎ、優しい音を立てている。
その景色は店内と外界を一体化させ、
自然と調和した空間を作り出している。
冒険者が視線を移すと、カウンターの奥には、ドマ風の装いに身を包んだ
ミコッテの女性が静かに立っていた。
彼女の佇まいは、この落ち着いた空間と溶け合い、
まるでこの場所そのものが生きているような錯覚を覚えさせる。
彼女の背後には、整然と並べられた薬棚と、調合用のボトルが目に映る。
草木や花々が詰められた瓶たちは、
どれも手作業で丁寧に整えられているのがわかる。
天井から吊るされたランプの柔らかな光が、
木材の柱やカウンターを優しく照らし、タッセルの影が揺れている。
その光景は、どこか懐かしさを感じさせると同時に、
謎めいた空気を漂わせていた。冒険者は、慎重にカウンターに歩み寄り、
手彫りの木製椅子に腰を下ろした。
店内にはほとんど物音がない。
ただ、竹林の葉擦れの音と、時折響く薬瓶を扱う音が静かに耳に届く。
この場所では、時の流れがどこかゆっくりと感じられる。
冒険者は、自らの旅路で疲れた心と体が、
この静けさの中で自然と癒されていくのを感じていた。
「雲母堂」はただの薬屋ではない。
訪れる者に、ドマの静けさと自然の力が紡ぐ癒しのひとときを
そっと届けてくれる、不思議な空間だった。
店内の様子
基本情報
薬屋「雲母堂」(くすりや「まいかどう」)
MeteorDC Mandragora シロガネ 16区 紅梅御殿 14号室
不定期営業
#雲母堂
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