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仲間を増やして、状況の変化を増やす

 小さいながら会社の経営を続けているのはなぜか。わざわざ会社のていを取る理由とは何か。個人事業主のほうがいろいろと楽じゃないの。自分自身に問うことがある。

 このコロナ禍において、自宅勤務でなおかつ一人で仕事をする局面が増えて(クライアントとなる相手方はチームだったり部門だったりする)、仕事が捗るのを感じた。やはり、ぼっちのほうが性に合っているのではないか。おそらくそうなんだと思う。

 それでも、いつも考えるのは「どうやって人が集団として動ける活動を作っていけるか」だった。自然と、その手の事業のことを考えている。組織やチームの動きをよくしていくことに熱を上げるのも、あてはまる。この数年取り組んできたギグ・エコノミーの一貫、ギルド的な働き方の実装も、あてはまる。そして、これまで何度もコミュニティ作りを繰り返している。

 なんのかんので、12年運営しているコミュニティは8000名近くなった。性根がぼっち気質なので、あまり賑やかし目的の場作りなどはしない。入ってくる人も多いが、出ていく人も少なくない。二度と合わなくなった人もいる。それでも、これだけ続けてこられて、今もまだ現役のコミュニティであることに小さな奇跡を感じる。

 ちなみに、長くコミュニティ運営を続ける秘訣は一つしかない。やめないこと。危なくなったら、距離を置くこと。つまり、ほどよい距離感でつきあっていくことだ。

 こうしたコミュニティはボランタリーベースで、存在自体が目的のところがあるが、事業組織の場合はビジョンやミッションに向かって進捗させていくことが課せられる。そのためには様々な困難が伴う。「それって、私が答えないといけないこと?」ということだって遠慮なく問われる。ぼっち気質こそ、経営者に向いているのかもしれない。

 何のために組織をつくってまでやるのか? 経営哲学なんて、偉そうなこと言うつもりはない。それでも、唯一自分の中にある言葉がある。「仲間を増やして、状況の変化を増やす」だ。

 プロダクトを通じて人々の状況に変化をもたらす。あるいは組織自体に変化をもたらす。そうした状況変化を束ねていくと、社会自体への問いかけを増やせるかもしれない。束になるくらいやるなら、ともに取り組む仲間が必要だ。そうしたうねり作りを、一つの会社組織でではなく、個々が自律した形でその上で協調しながら、取り組んでいきたい。これからはそんな活動をイメージしている。

 ぼっち事業ではなく、またただの仲良しクラブを目指すのでもなく。同じ方向性を持って、集団となって取り組んでいくためには、持続可能な事業モデルが当然必要になる。どうやれば成り立つかに苦心することも少なくない。それでも、ある一定の集団が動きやすくなる、結果を出せるように仕組む。これが唯一の私の経営哲学。


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