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その帰り道で、一人何を思うか?

 デブサミに登壇した。

 2020年以来のリアル開催ということで、久々の場だった。今回はいつもの雅叙園ではなく、羽田空港。その場の違いがかえって20年前の初回、デブサミ2003を思い起こさせてくれた。

 デブサミには他のカンファレンスに比べて、内輪感が少なく感じる。それだけ多種多様なテーマ、人が集まる場になっている、と言える。デブサミは「誰にとってもアウェイ」。20年かけて、参加者、登壇者、コンテンツ委員、スポンサーと一巡してきても、やはりアウェイ。いつまでもアウェイ、その空気感がデブサミに帰ってきたんだなと思わせてくれる。

 発表のためのスライドを作り終え、骨折した足で羽田空港までたどり着く。一通り受付や会場周辺を周る。いつもの書籍ブースが出ていることも確認する。それでもたっぷり時間があったので、二階にあったコーヒーショップで一息つくことにした。

 そこで、コーヒーを飲みながら、はたと思いだした。そうだ、ここはデブサミだった。急いで、最後の数枚に手を加えた。リアルなデブサミから離れていたために「何を話すべき場」なのか忘れていた。

 「誰にとってもアウェイ」な場には続きがある。それは、みんな帰っていくということだ。自分の組織に、現場に。必ず帰ることになる。なにしろアウェイな場から帰るので、その帰路も一人なのだ。その帰り道で、一人何を思うか。この時間が肝腎なのだ。

 一人、静かに、決意を固める時間。それが、デブサミの帰り道。そのことを伝えることこそ、デブサミにおける自分の最後の「役割」だと思う。

 各自頑張れ。次は君の番だ。


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