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書籍「組織を芯からアジャイルにする」のイントロダクション全文公開
少し昔話から始めよう。
なぜ、ソフトウェア開発に「アジャイル」が必要だったのか。2001年近辺での一部の人々による小さく、静かな熱狂。そこにあった期待とは、「良い仕事をしたい」という素朴な、それでいて芯の強い思いだった。
20年前のソフトウェア開発と言えば、たいていのプロジェクトは炎上と隣合わせ。ときに「死の行進」と呼ばれる状況に追い込まれることも、それほど珍しいことではなかった。
今よりもっと良い仕事ができるはずだ。それを信じた人たちによってともされた僅かな灯火は、その後ときを経て。ソフトウェア開発の世界を確かに変えた。
そして、開発に留まらず、世の中を照らし始める。ソフトウェア開発における「希望」は、この先は「組織」にとっての希望となる。
仄かに抱いた期待は、デジタルトランスフォーメーションという名の下で、数多の組織の現状を垣間見るにつけ、やがて確信へと至った。書籍「組織を芯からアジャイルにする」は、今書いて届けなければいつそうするのか、と自らを急き立てるように書きあらわした。
アジャイルの本質には「探索」と「適応」がある。わからないこと、わかっていない状況から目をそらすことなく、わからないからこそ少しずつ「探索」的に仕事を進める。そうした実践によって得られる学びでもって、その後の判断や行動を変えていくようにする(「適応」と呼ぶ)。そうした仕事のやりようを繰り返し、反復的に行う。
この本は「アジャイル」をどのように現代組織に適用していくのか、その取り組みについて語り明かすものである。
価値もしくは意味のある仕事をしたい、自分の手掛ける仕事に価値や意味を込めたい、そう思うすべての人たちに本書を贈りたい。組織がこれまでの認識から踏み出し、新たな探索と適応を得ていくには、皆さんの意志が必要となる。組織は変わることができるのか?その回答を、皆さんとともに本書の中で辿っていきたい。
組織は変わることができるのか? この本を通じて、その手応えを現実に得にいこう。本書イントロダクションの全文は以下から読むことができる。