スプリントで変化に向き合う5つの観点
スプリントによってチーム仕事を進めるスタイルを取っていたとする。当然、スプリントプランニングを行っているだろうから、当該スプリントで何ができるといいか、何をやるか、どこまでやれるかといった計画作りはそこで担保しながら進めているはずだ。
そうして変化を受け入れられる仕組みを作るのがスクラムの狙いとなる。…というはずなのだけど、プランニングで収まり利かないレベルの「変化」「変更」というものもありえる。なにそれ?
スプリントはそれぞれ独立しているが、スプリントを通じて形作っている作成物や状況は共通のものだ。ゆえに当然ながら、プランニング単位でのスナップショット的な判断だけでは、辻褄が合わないケースも出てくる。スプリント単位を越えた「流れ」への影響を考慮する必要がある。
例えば、
・「前のスプリントで判断し、実現したものをさっそく変更する」
・「変更の中身はそれぞれ異なるが、頻度が多い」
・「そもそもの目的からかけはなれた追加の判断」
といったものへの対応だ。
変化を受け入れられるようにするのがアジャイルである、と考えると、「前のスプリントで判断し実現したものをさっそく変更する」というのは通常のことと思える。だが、その変更判断の妥当性や要因を捉えておかなければ、そもそもの判断基準に「誤謬」があるのを看過してしまう可能性もある。「変更可能だから変更する」で一択にするのが常に望ましいわけではない。
「変更の中身はそれぞれ異なるが、頻度が多い」は、やたらと顧客から寄せられる声・要望が多く、スタックしていくイメージ。プランニングでキャパシティは見ているため、ムリのある分量をこなさなければならない、ということはないはずだ。その結果、バックログに変更要望が積み重なっていく状況になっていくわけだが、これも放置しないほうがよい。「頻度が多い」ということ自体には何らかの不具合が潜在している可能性がある。
いずれも「できるからそうする」では、見逃してしまう問題がありえるということだ。「変化」を加えるときに、いくつかの観点で点検をしたい。
「妥当性」とは、変化が起きた要因、変化を加える判断そのものについて見ること。
「合目的性」とは、プロジェクトやチームとして設定していた目的との間での整合性のこと。
「リスク」は、変化を受け入れる選択をした結果抱えることになるものが何か、を捉えること。
「変更難度」は、スプリントで形成している状況や作成物を変えるにあたっての難易度。
「納得感」は、ここまであげた観点以外のところでチームが変更に対して精査したいと思うところ。
変化を受け入れるのがアジャイルだ。それを踏まえて、なお、変化への向き合い方を確かに持とう。