進捗マネジメントではなく、プロダクトマネジメントを始める
何をマネジメントしたら、成果に辿り着きうるのか?
これまでの仕事のやり方と、今期待されている仕事のやり方、この2つの間にある大きな違いについて、気付くための問いだ。さらに、この問いの背景には、成果そのものの意味が異なる、という事実が存在する。
成果とは何か?
この問いに向き合うたびに、ドラッカーの顔を思い浮かべてしまう。シンプルながら突き詰めて答えようとすると歯ごたえのある良い問いだ。
決められた期日に、予定されたコストで、必要とされるアウトプットを揃える。こうした、守るべき制約は確かに存在する。しかし、これらが成果にあたるかどうかは、仕事の目的に依る。アウトプットを期待通りに完成させることで対価が得られる仕事ならば成果と言える。
一方で、「相手にとっての利便性に一定以上到達すること」であったり、「想定するニーズが確からしいか判断できるようにする」といったことを仕事とするならばどうだろうか。先の事柄はサブ的な目標に位置づけられる。
相手が価値と感じることへの距離を詰めようとする仕事と、そうではない仕事がある。前者が望ましくて、後者がダメだ、という話ではない。仕事の目的次第だからだ。ダメなのは、前者が期待されているにも関わらず、ただ計画と進捗を追い回すことに注力してしまう、そのふるまいにある。
なぜ、進捗にフォーカスしてしまうのか? ここまでなぞれば自明だ。これまで「決められた期日に、予定されたコストで、必要とされるアウトプットを揃える」ことが成果であり、それを確実に履行するための手立てとして、進捗マネジメントが極めて重要だったからだ。当然ながら仕事への向き合い方は、進捗マネジメント一択になる。
さて、冒頭の問いに戻ろう。成果とは何か? そして、何をマネジメントしたら、その成果に辿り着きうるのか?
手掛けていることが、相手が価値と感じることへの距離を詰めようとする仕事であるならば、マネジメントの対象は進捗以上に大事なものがあるはずだ。進捗を追い回す時間があるなら、価値と思しきものは何か、そちらを追い回す仕事を始めよう。