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「アジャイルなプロダクトづくり」
プロダクトづくりには2つの状況がある。何もない、ゼロから臨む場合と、すでにあるプロダクトをより良くしようとする場合とで。いずれの場合にも、「何が正しいのか?」に答えるための仮説検証と、作りながら確かめていくアジャイルの二刀流で臨む必要がある。
ただ、指す言葉は同じでも、「ゼロから」と「すでに」で適用する方法は変わる。置くべき焦点が異なる。そうした文脈の違いを捉えながら、どのようにしてアジャイルにプロダクトをつくるのか。ここを語るための本を書いた。文字通り「アジャイルなプロダクトづくり」だ。9月4日発刊予定。
プロダクトづくりの芯には「価値探索」という行為がある。誰にとってのどんな価値があり、どのようにしてそれを実現するのか、という探索活動のことである。どれほど忠実にスクラムを回転させたところで、価値あるもの、意味あるものの仮説がなければ、その回転は徒労に終わってしまうかもしれない。「間違ったものを正しくつくる」罠にはまってしまう。
この価値探索に焦点をあてていきたい。ところが、情報としてよくあるのは「ゼロから」価値探索を行うケースである。さらっぴんのキャンバスから仮説を立てて、それから検証していく方法が示される。
しかし、世の中の多くの人が臨んでいるのでは、「すでにあるプロダクトをいかに向上させるか/改善するか/持ちこたえさせるか」というシチュエーションではないだろうか。新規性の高い開発が組織内でゴロゴロしている、という状況は多数ではないだろう。
この、世の中によくあるほうの状況に対して価値探索をいかにして持ち込むか。われわれが本当に必要なのは、「価値探索」ではなく、実は「価値再探索」ではないのか?(すでにプロダクトはあるのだから)
価値(再)探索にどんな切り口を置いて臨むのか。この本は、まずそこから始める。そして、後半部で「ゼロから」のプロダクトづくりを扱う。つまり、「ゼロから」も「すでに」も両者を扱う。ここが本づくりの上で、苦労したところであり、この本を新たに加えようと思った動機になる。
そして、今回は「ストーリー」(物語)を交えることとした。ストーリー形式は、2020年の「チーム・ジャーニー」以来の取り入れになる。久々の物語づくりは「ジャーニー」とはまた違ったテイストであり、同時にどこか懐かしい、もう一つの「ジャーニー」を感じさせる内容になっていると思う。
◆第1部 改善探索編――今あるプロダクトを再探索する
第1章 プロダクトにまつわる夜も眠れない問題
第2章 最後に、ユーザーと対話したのはいつだった?
第3章 ぼくらはそもそもチームになっているのか?
第4章 進捗マネジメントではなく、プロダクトマネジメントを始める
◆第2部 価値探索編――新たなプロダクトの価値を探索する
第5章 不確実なプロダクトづくりをさらに難しくする3つの罠
第6章 誰かの勘と経験と勢いではなく、仮説検証を拠り所にする
第7章 イメージをプロトタイプすることで、理解の解像度を上げる
第8章 学びを最大限活かして、世界観を問いかける