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正しいものを正しくつくる

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書籍「正しいものを正しくつくる」に関するマガジン。 https://beyondagile.info/ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4…
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2024年11月の記事一覧

「アジャイルは、ミーティングが多くて、時間も長い」という説

 アジャイルに取り組み始めると、必ず出てくる声に「ミーティングが多い、時間が長い」というものがある。プロダクトづくりでも出てくるし、組織アジャイルでもほぼ必ずと言って良いほど出てくる。  こうした声の流れあるいは背景には「ミーティングなんて無駄」という、会議=悪しき存在という考えが存在している。無目的で、無用なミーティングなんて、私も撲滅されれば良いのに、という立場を取るが、このことと、先述の状況は非なるものである。  ほとんどの場合、ミーティングの回数が多くなるのも、時

「お金も時間も決まっているが、実現したいことは見えていない」状況に向き合うべきなのか?

 予算や期日など計画周辺が確定している場合と、そうしたプロジェクト的な仕事ではなくプロダクトづくり、サービス運営のような場合では、どのように取り組むのか、スタンスが大きく異なる。  というのは、もちろんとして、問題は、全体の方向性があるなかで、細部の状況まで確定されているか、否かで、さらに取りうる作戦が変わるというところだ。  結論を言うと、以下の作戦が考えられる。  「精緻な計画づくり」とは、伝統的なプロジェクトマネジメントのナレッジがいきるところである。  「広さに

スクラムマスターやプロダクトオーナーがいなくて、アジャイルができるのか?

 関与する組織によっては、スクラムマスターがいない、プロダクトオーナーがいない、ということがありえる。  経験的にいないにも等しい、兼務でほぼいない、物理的に本当にいない、いずれの「いない」がある。まともに考えればスクラムに取り組む状況にはない。というときに、支援者としてどういうスタンスを取るか、は2つに分かれるだろう。  「いない」では話にならん。経験がゼロならまずスクラムガイドを読むところからはじめよ。しかる後に、自分たちにどのような支援が必要になりそうか、自分たち自

「どうありたいか」と「どうするべきか」と「どうしたいか」の間にある三つどもえ

 「それは、アジャイルではない」「アジャイルがやりたいわけではない」このあたりの問答は時折あるだろう。こうした問答に突きあたったとき、たいていの場合、ムードはぐんにゃりとしていく。対話するどちからがやりこめられる、またはやりこめられないように抵抗しはじめる。心中には波風が立ち、気もそぞろになっていく。  何が起きているのだろうか?  「どうありたいか(目的)」と、「どうするべきか(方法)」と、「どうしたいか(意志)」は三つどもえになりやすい。この3者で陣取り合戦を行ってい

「小さく始める」の罠

 「小さく始めよう」という誘い文句が以前に比べると、ごく当たり前のように使われるようになってきた感がある。「小さく始める」はようやく市民権を得られるに至った。世代交代が進んでいるからだろうと思う。  ところで、小さく始めるのは何のため?  文脈によってその意図は異なるだろう。いくつかあげてみよう。 ・はやく学ぶ  あらかじめの計画づくりをいくら精緻にしようとしたところで、その効果が期待できない。複雑な問題や状況のため分かっていない、知らないことが多い。そのような場合には