[読書感想文] 2001年宇宙の旅 決定版
https://www.books.or.jp/book-details/9784150110000
新版序文に、映画と小説の違いとか、普通にネタバレが書いてあって慌てて閉じた。自分でネタバレを書くんじゃないよクラークさん。読了後に読み直したら大したネタバレではなかったけども。
猿の世界にモノリスが突如出現して、知恵を授けていくところからスタート。しかも道具を使ったりしていく教育という役目が終わったら姿を消す。このあたりだけは前知識としてなんとなく知っていた。
そして急に時代は飛び、月の地面の数メートル地下にモノリスが埋まっている発見が。掘り出して太陽光に当てた瞬間に強烈な電磁波が発生するという、つまりは警報装置… こわっ。猿どもが一定の知識を得たという証拠を掴んでから、邪魔になる前に一気に攻め滅ぼされるやつじゃん。
ここでフロイド博士が時間をかけて宇宙ステーション、そして月まで旅するシーンがなんかすごく良かった。話の流れとしては、「月でもモノリスが見つかりました」だけだから月スタートでも良いのに、地球から一人、巨大な秘密を抱えて移動する博士を追うことで、この時代は宇宙開発がかなり進んでいることがわかりやすいし、そのシーンも丁寧に描写されているので博士の心情とか、事態のヤバさとかを想像しやすい。
モノリスが見つかったあと、また場面は代わり、土星に向かうディスカバリー号でそこそこ平和に任務をこなす二人と、AIであるHAL9000。
途中でHALがなぜかおかしくなり、EVAしている人と、コールドスリープをしている3名を殺し、なんとか生き残った一人がAI部分を抜き取ってHAL死亡。
最初は結局HALがなぜ反旗を翻したかよくわからなかった。読了後にそこだけ読み直したところ、ボーマンとプールには秘密にしていた、モノリスの反応が土星を指し示している、明らかな知的存在の発見と、その探索のために土星に行くというミッションそのもののせいだった。HALはそもそもそのミッションのために存在しているのに、その理由を二人に秘密にしなければいけないという葛藤からミスをし始めていたし、最終的に人間皆殺しを決意するまでになった、と。AIこわぁ〜。ここ数年で一気にAIが盛り上がってきたし、HALも出てきちゃうじゃないか。
しかしフロイド博士が主人公かと思ってたけど、ディスカバリー号の章になってからほとんど出てこなくなったな。
それにしても最後がよくわからなかった。ボーマンが土星のモノリスからワープしてどこかの太陽にある基地に吸い込まれたあと、知的生命により別次元の存在に昇華させられて、太陽系の次のモノリス的存在として、神に近い存在になったという… こと?
まあ、知的存在が出てきてようこそってなるより、わからない方がなんかそれっぽいので全然良かったし、分かる必要がなさそうな展開ではあった。
しかし、歓待されるシーンで飲み物の中身が青いムースみたいなものだったとか、本棚から本は取れないとかそういうところが地味にホラーだったな。結果としては、テレビ画面というか電波から再現したからということで安心したけど。最初はなんか悪夢のようなホラー展開になるのかと思った。
続編に2010年と2061年があるのか。これは読んでみないと。