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[ネタバレしかない] ブレードキメラ 感想
プラットフォーム:Steam
リリース日:2025/1/16
値段:2480円
ローカライズ:元言語が日本語
クリア時間:実績コンプまで10.7時間
毎年ゲームをリリースするTeam Ladybugというイメージだったが、珍しく2年くらいかかってた気がする。調べると、前作のDRAINUSから2年半くらいだった模様。全然毎年ではなかった。1年から2年で一本、という感じかな。
とは言え、ほぼ一人開発でこのドットでこの完成度できちんと定期的にリリースできているというのが既におかしいのだった。今後も無理せずがんばってください。
DRAINUSは完全オリジナルシューティングで、メトロイドヴァニアとしてはロードスや東方のものを出してたが、どちらもIPものだった。それが満を持してオリジナルのメトロイドヴァニアをリリース!
IPものでファンを作り、そこからオリジナルのゲームも遊んでもらうという理想的な流れ。ファンとしても見ててなんか嬉しい。
・相変わらずの美麗グラフィック
DRAINUSでも既にえらいことになっていたが、相変わらずの美麗ドットとアニメーション。
エレベーターが上がるときに画面後ろ側にカウンターが下がっていったり、薬莢が転がったりする細かい表現がこだわりを感じてとても良い。
フィールドはやけに関西風味があり、というか敵にまんま食いだおれてそうな太郎や、ビリケンさんがいたり、関西人ならニヤニヤできる。
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また、ゲーセンの筐体がきれいに残っていてそこでも上海、スト2、R-Type、雷電などなんとなくわかるグラフィックでニヤニヤしっぱなしになる。
グラフィックに気を引かれがちだが、細かい作り込みや遊びやすさがこの開発者の真髄だと思う。
特に小さい段差を上がるとき、良くあるゲームだと段差のたびに毎回ジャンプしなきゃいけないが、本作は普通に横押しっぱなしで進んでくれる。神。まあ、階段自体ほとんど出てこないけど…
・犬を操作できるゲームは神ゲー
「犬を撫でられるゲームは名作」と言うが、今作はなんと犬を操作できるのでド名作。ただ、能動的に撫でられない。でもイベントでワシャワシャできるから良し!敵の兵士も犬にはとても優しいのもまた良い。
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この犬、一瞬しか出てこないのに段差を上るときに後ろ足がぷるぷるしたり、なんの意味もないのに伏せができたりとまたこだわりがすごい。こだわり過ぎてててっきりまた出てくるのかと確信してしまったほど。まさか一回限りだとは…
・ゲーム難易度
難し過ぎはしないが、簡単とまでも言わないちょうどいい難易度だった。序盤は結構楽だと思いきや、敵が増えると結構ダメージをガンガン受けてすぐやられるので、ちゃんとルクスで回復するクセをつけなきゃならない。
割と即死が多くて逆に楽しい。ワニに食べられて一発エンドだったり、サブイベントの映画館でそのまま旅立ってしまったときはちょっと笑ってしまった。
また、雑魚敵で即死を使ってくるやつもいて、そこで一気に緊張感が上がるのと、割と乱暴になってたプレイスタイルをちゃんと防御もするように矯正させられてちょうど良かった。セーブしてない状態で即死したらもちろんやり直しなのだが、そこはどこでもワープのおかげで適宜セーブをしているし、怪しい場所があったら一旦セーブして、どこでもワープですぐ同じ場所に戻ってこられるので安心して死ねる。
・ルクス
本作は射撃、近接に加えルクスという中距離攻撃でもありバリアでもあり回復手段でもあり移動手段でもある便利すぎる機能がある。
攻撃手段が3種類あるという、場合によっては混乱してしまうやつだが、ルクスでHPを回復し、近接攻撃でMPを回復するというシステムにより、どっちかだけを使い続けるのはできないということもあってか、案外全部ちゃんと使い分けて遊べた。
このルクス、フィールドに設置できるし大概の敵の遠距離攻撃を防げる上に、防げば防ぐほど解除時の攻撃が強くなるというかなり無敵なシステムであり、これを使いこなせるようになってくるととても楽しい。こういうのって下手すると後半は強い銃しか使わない、とかなりがちだが、ゲームバランス設定が上手いのか、最初から最後まで三種類の攻撃をバランス良く使うことになった。
ルクスはそもそも喋る剣でもあるので強いと愛情が湧いて一石二鳥!
ただ、デフォルトだと攻撃系が全部ABXYにあるのに、結構同時に使うアクションでやりにくいため、ルクスをLT、射撃をRTにすると遊びやすかった。
後半はルクスを出しっぱなしにしながら主人公でも攻撃をするみたいなのを駆使しないと敵の物量を裁けなかったりするし。
・メトロイドヴァニア特有のスキルアンロック…ではない!
イベントを進めることで空中ダッシュや二段ジャンプなどの追加アクションがアンロックされていくのが大抵のメトロイドヴァニアだが、本作はなんとイベントに関わる成長が一切ない。全部レベルを上げてスキルを覚えていく形。
ちなみにスキルと記憶がリンクしていることは最後の最後まで知らなかった。てっきりカセットテープみたいなアイテムを取るたびに開放されてるのだとばかり… (あっちは単にレベル上げや無敵アイテムだった)
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それはともかくスキルの中で肝心なのは…ワープ!
・禁断の機能、どこでもワープ
メトロイドヴァニアでワープが解禁されるのって大体半分超えた頃で、しかもセーブポイントへの移動しかできないというのが当たり前だが、このゲームはなんとほぼ序盤からマップのほぼどこでもマス単位でワープすることができる。
なので、死にそうになったらセーブポイントにワープすれば助かるし、エレベーターの途中にあるアイテムをワープで取るのが正攻法だったり、いっそギミックをスキップできてしまうところすらある。
便利すぎてほんとにこれで良いのか?と思うが、一度慣れるともう手放せない…
しかもワープしてきたときは数秒無敵なので、移動先がダメージゾーンや敵だらけだったとしても問題ない。このワープ機能を駆使して遊んでくださいというメッセージを感じる。
ゲーム内で実はかなりの重要度を占めるパズルピース集めもたぶんこのワープが必須。サブクエストで手に入るのもあるが。
このパズルピースを取り逃がしたら全マップ探し直しか…とげんなりしてたが、よく見るとマップに「AREA COMPLETE」と出ているところがある。そのエリアで全部集めたらこの表示になり、集めきれていないところは残りの数だけマークが出る仕組みになっていた。
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なので、最終的にはマップを100%にして、全マスにワープしていけば集まる!自分は最後の1個攻略見たけど!
・サブクエスト
サブクエスト周りはちょっと不満が残る。そもそも一度にひとつしか受けられないのだが、妖魔を何体倒せ、青色の妖魔を何体倒せ、どこどこで妖魔を何体倒せなど被っているものが多く、達成しては戻ってまた倒しというのを繰り返すことになる。(そもそも色系はどこで判断されてるのかいまいちわからなかった)
また、「この範囲に何かがいるから探せ」系のクエストは、どこでもワープと相性が悪すぎて(良すぎてとも言う)、全マスにワープしていくだけという形になってしまう。便利さが仇になってる。
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しかし、簡単なクエストと違って、特定の妖魔を倒さなきゃならないクエストだと、妖魔図鑑に出現エリアが書いておらずどこに出てくるか全くわからないのだった。見たことはあるんだけどぉ〜!と自分の記憶を恨むターンがずっと続くことになる。
せめて図鑑にエリア名も併記してくれればなぁ。
あと、最初は拠点の担当経由でしかクエストを受けられないのかと思って不便すぎる!と憤慨してたが、セーブポイントで普通に確認できた。良かった。これがなかったらサブクエしてなかったかもしれない。
だからセーブポイントが郵便ポストの形してたのか?
ただ、サブクエストのその後が読めるのは楽しい。
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が、全部なんか次のイベントを彷彿とさせるような書き方なのが気になった。みんな「息切れ」している。妖魔化の前兆とかなのかな…
中にはレアエネミーや隠しエリアのヒントもあり、二重の意味で楽しかった。
ただこういうやり取り含めて、なぜかNIGORO楢村さんが作ったMedium-nautを彷彿とさせた。テキストの雰囲気や、妖魔が消えるときの感じがMedium-nautで幽霊が消えるときを思い出したのかも。
・実績がなんか違和感
実績はコンプリートしたものの、なんか微妙だった。
そもそもマップ100%にして真エンド行った時点で半分も解除できてなかった。なので、まだ達成できていなかったアイテムコンプやレベルマックスなどのやり込み系かと思いきや、メトロイドヴァニアにつきものの、マップ100%も強化アイテムコンプも敵図鑑、アイテム図鑑コンプもレベルマックスも、ボスノーダメ撃破とか何時間以内でクリアとか、そういうのは何一つ実績ではなかったという、逆に珍しいタイプ。それ自体は別にいいんだけど。
メトロイドヴァニアに慣れている人こそ解除できてなさそうな、針で死ぬとか水中で酸素ゲージを使い果たすとかそういうのが実績になってて、実績ってなんのためにあるんだっけ、というのを改めて考えてみるきっかけになったりした。
自分は実績はやり込みへの感謝とか、珍しい体験を珍しいよおめでとうと教えてあげるためとか、普通にプレイしてると気づかない小ネタとか、気づきにくい攻略のヒントとかを知らせるとかのためだと思ってるので、例えばランプの精とかのレア魔物を見つけたときとか、オセロで勝ったときとか、レアドロップをゲットしたときとかそういうのがあると良かったなぁ。あとはあの武器を手に入れたときに実績の文章で追加効果を説明するとか。
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観覧車を無意味に回したときの実績は小ネタも特にないけど、ゲームを余分に遊んでくれた人への報酬という感じで良かった。
一番うーんと思ったのは、そもそも毎回割とめんどいなと思っていた拠点入る時の除菌を、何度も連続でやるという、実績解除のためにしかやらない行動をさせられるやつ。
また、実績のアイコンは全部でひとつの絵になるが、別にSteamにそんな機能があるわけでもないので、ユーザーが自分で切り貼りしないと絵にならない。これならインゲーム実績にしたら良かったのに。
ゲーセンのハイスコアはある意味裏ボスより苦労したけど、やり込むと面白さが分かる良いゲームだった。
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・ちょうどいいボリューム
10時間ほどで実績含めてコンプリートできたので、とても良いちょうど良さだったのだが、ちょっともったいないなと思うポイントもチラホラしていた。色々やろうとした形跡が残ってるというか。
なんの脈絡もなく出てくる重力変化パズルや、ものの時間を戻せるギミックとか、主人公に似た謎の敵とか、上述の犬パートとか、かなり気合を入れて作られている割にはゲーム中に占める割合は低く、結構一回限りのものが多かった。
とは言え、楽しくなかったということは全くない。クリアして改めて考えると「あれ?そういえばあのギミックなんだったん?」となっただけで、プレイしている間はどれも楽しく遊んでいた。
ストーリーに関してもコンパクトながらも色々なイベントが実は…という展開になっていてわくわくする。あのとき見た過去の幻影は実は… だったり、脈絡もなく襲ってきた、シンに似た化け物は実は… だったり。全てが繋がっている!
ゲーム自体がそれほど長くなく、何度も匂わせイベントを繰り返すわけじゃないから、積み重なった疑問が一気に爆発する!というほどのエウレカ感ではないが、なるほどー!な瞬間を何度も体験できる、メトロイドヴァニアでは余り味わえないストーリーの楽しさがあった。
というか、世界線的にDRAINUSと繋がってる…?そんな話だったっけ。もう一度プレイしないと…
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・真エンド
パズルピースの収集がまさか真エンドに関わってくるものだったとは…
てっきりこの収集要素は強いアイテムを手に入れるためだと思ってたので、ラスボス前に全部集めようとしてかなり無駄な努力をしてしまった。
最後の一つで完全に詰まったので攻略を見てしまったが、完全にいつか見たことのあるエレベーター上のやつを取り逃がしているだけだった。素直に全マスワープしてればよかった。
ということで全部集めると最初にラスボスを倒したときに「THE END?」と出ただけあって、裏ボスがいた。
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このボスがまあ強いのなんの。基本的に二撃食らうと死ぬ。ので、ダメージを食らったら回復アイテムを食べまくることになる。
また、パズルピース集める攻略見たついでにチラ見してしまった、「敵が妖魔だから紫外線が効く」ということで、隠しエリアで手に入れた武器が役立つ、と。
わかるかー!なにか別の弱体化イベントをこなす必要があるのかと思った。
とにかく、ダメージがでかすぎるから下手にルクスで回復とか考えずに回避に専念し、近接で攻撃しまくり、MPはスキルに使うのが正攻法だと思う。第二第三形態があるのにはビビったが、回復アイテムを解禁したのでワントライでとにかくがんばって倒してスッキリ終えることができた。
改善希望ポイント
なんかもったいなかったので、このあたりアップデートでなんとかなればいいなー、とここに書き殴っておく。
上下見渡し機能は絶対欲しい。上下にトゲや敵やルクスぶら下げポイントがあるのがわかりにくい。
妖魔図鑑に登場エリア名を併記して欲しい
実績図鑑を追加して一枚絵が見られるように
マップにエリア名を書いて欲しい
イリーナと犬の再会イベントが欲しい
ラスボスの最終形態はなんかただの遅延行為だったのでバトルっぽくできないかな…
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