[ネタバレしかない] ゼルダの伝説 知恵のかりもの 感想
プラットフォーム:Switch
発売日:2024年9月26日
クリア日:2024年12月3日
プレイ時間:26時間
これまでありそうでなかった、ゼルダ姫が主人公単体のゲーム。
今年はピーチ姫のゲームも出たし、任天堂は姫を推してるのか?ピーチ姫のはだいぶ子供向けだったが、こっちはどうだ…?
プレイ前に結構自由度が高いとか、こんなこともできる!みたいな、ティアキンのウルトラハンドみたいな紹介をチラ見してしまっていたので、奥は深いんだろうな、面白いんだろうなとそわそわしていた。
そして発売2ヶ月後くらいにようやく開始!
したらいきなりリンク操作で始まる。しかもハートマックスで強い。最終決戦じゃん。で、あっさりガノンと対峙。でもガノンが豚ガノンだ。久しぶりに見た気がする。
神々のトライフォース2とかでも見たような?と思って年表を見たところ、神トラ2がもう10年以上前の作品だと知って愕然とする。
面白かったはずだからいつか遊び直したいなと思ってソフトを持っていたが、そりゃ遊んだ記憶も薄れるわ…
閑話休題。
豚ガノンといつものドッジボールを繰り広げて勝ったと思いきや、闇に飲まれていくリンク。そしてゼルダが封印から解かれるやいなや闇に飲まれそうになって即死脱出ゲーが始まる。一度問答無用で飲まれた。
ただ、どうやらリンクを知らないゼルダ、というかほとんどの人がリンクを知らない世界だった。これは新鮮!
新鮮だけでなく展開も早く、ブレワイではだいぶ第一印象クソ親父だった印象のあるハイラル王が、今作はいい人っぽいと思った途端に側近諸々すぐに闇に飲まれ、偽物が登場し、投獄されてしまうゼルダ。物語はそこから始まるという、割と危機一髪な展開。
地下水脈から脱出と言うか水難というかどこかの赤毛の主人公のように漂着してそこから本編開始なのだが…それにしてもUIが完全にブレワイ!そして思ったよりだいぶオープンワールド!
一応メインクエストとして行かなきゃならないところがあったりはするが、序盤でも別にがんばれば雪エリアにも行けるし、そのあたりのダンジョンの探索はできてしまう。もちろん敵が強すぎてワンパンではあるが。
メインクエストだけで必須なカリモノが手に入る、というわけではないので、ブレワイばりに好き勝手できたりする。楽しい。
が、フラグがないのでイベントは何も起きない。
例えば序盤に右下のエリアに入ってしまったが、敵はめちゃめちゃ強いし明らかに何かありそうな場所に誰もいなかったりするし、割と切ない。なのでまあ、普通に遊びましょうね、という感じではあった。
でも、ワープポイントやマップの開放はいつでもできるので、事前に探索して無駄には全くならないのが大変良かった。
また、これまでのゼルダ、というか色んなゲームで絶対に不可侵領域だった木の上にも乗れてしまう自由度がすごい。おかげで崖の上や木の上など、周りからついつい埋めてしまい、よくわからないところで新エリア突入のイベントが起きてしまうことが頻発していた。
・いつものキャラクターたちといつもの場所
ゼルダの伝説シリーズのすごいのは、ほとんどのゲームで登場キャラクター…自体は一緒じゃなくても種族は同じだし、ハイラル城、ハイラル平原、ゲルド砂漠、オルディン火山など、言ってしまえば「もう見た」な設定が繰り返し出てくるのに、別に見飽きることはなく、スターシステムのようにむしろ「おっ、これ知ってる!」と嬉しさが増すところだというのを、遊ぶたびに思う。
今回もキャラクターもみんな魅力的(デクナッツはムカつくけど)で、ゴロン族もゾーラ族もゲルド族もいつものようなキャラクター性でいつものような会話をしてて、クエストしてて楽しかった。川ゾーラと海ゾーラのボスは結婚しろ。デクナッツは反省しろ。
そして主人公たち、ゼルダといいリンクといいトリィといい、表情としては真顔のやつらしかいないのだが、まあやっぱり好きになるね。
ゼルダはマジでほとんど真顔なのに地味にノリが良かったり、モノを掲げるときだけの笑顔(たまに不満顔)が輝いてたり。
これまではリンク=民家のツボを割るみたいなイメージがあったが、それをゼルダ姫がやると「姫!おやめくだされ!」感が強く、笑える。
トリィは感情ありませんよみたいな雰囲気だけど割と最初の方から結構感情がある。というかゼルダとリンクが喋らないから、一人だけ喋るトリィの感情が溢れているように思えるのだった。でも徐々に嬉しいとか悔しいとかを学んでいくトリィ、ほんわかする。
そしてリンク!登場シーンはぶっちゃけほとんどないし、カリモノである敵のときの方が長いくらいなんだが、最終決戦の役に立ちっぷりがとんでもないし、ここぞというときに活躍してくれるので、やはり俺達のリンク!ゲーム開始時にステータスマックスだったのは伊達じゃなかった。
ハイラル城でガノンのかりものを倒してたら、リンクが助けに来たが、そのときの武器が棍棒だった上に二回殴って壊れてた。やっぱりブレワイの世界観なのだろうか。
最終決戦でのリンクは、ボスの触手を引っ張ってるとすかさず溜め斬りでデヤァー!してくれるのが素晴らしかった。
しかも絶対倒れないしで安心感がすごい。自分が最近使ったブレワイ/ティアキンリンクは、ふっ飛ばされては食べ物をすごい勢いで食いまくるフードファイターという印象しかなかったからな…
・かわいいけど闇
絵柄も問答無用でかわいいし、ゼルダは途中で猫コスプレしたりするし、アキンドナッツの語尾に引かれてッピ?とか言い始めたりしてかわいさ溢れているのだが、だいぶ怖さも満ち溢れている世界だった。
まず闇の裂け目に取り込まれるときに地割れに飲み込まれるようなビジュアルになっててゾクッとするし、裂け目の世界で驚きの表情のまま固まっている住人が怖い。
更にリンクは実は幼少期に裂け目に取り込まれて生還した一人で、無事ではあったが喋れなくなったという重い過去を持ち、他にも多くの子供が飲み込まれて植物状態になっているという話がある。てっきりクエストでそういう子たちを救済していくのかと思ったが、最後まで何もできなかった。
いや、最終的には全員復活したからハッピーエンドだけども!
しかし、これまで基本リンクは全く喋らないが、「喋らない理由」をちゃんと説明したのはこの作品が初では?急に重くてビックリした。
ちなみにゲーム終盤まで気づかなかったが、武器強化のところにいるサダリさんに話しかけると、何もしてなかったかと思いきやヒビの調査をきちんと進めていて、なぜ子供ばかりがさらわれていたのかとか色々調査結果を聞ける。
・ちょい不便
全編通して結構不便だったのが、姫の足が遅いこと。
個人的に、ダッシュ連打が通常移動より早くなってしまうゲームって、割と欠陥だと思っている。ゲーマーじゃなくてもすぐ気づいてしまいやすく、結局みんな連打してしまう。
ただ、この感想を書くために追加調査で公式サイトに行ったら、賢いカリモノの例として、タイマーカッターにシンクして高速で進むというのが紹介されていて、自分の知恵がただ足りないだけなんだと知った。
試してみたらめちゃめちゃ便利だった。道中の障害物も壊せるし、馬よりもずっと早い!
というか馬、ほぼ全く使わなかったな… 人参を召喚すると馬を呼び出せるという、特に説明がなかった要素があったりもしたが、それを仕込むくらいならボタン一つで呼び出させてほしかった。カリモノ前提の行動が多すぎて、じゃあこっちの便利な方使うわ、となりがちだった。
・だいぶ不便
そしてやはり避けられない文句が、カリモノ多すぎ。いや、多すぎな事自体は喜ばしい。ショートカットが不便すぎた。
一応リストとして「よく使うもの」「呼び出した順」「種類順」「取得順」という4種類あるのだが、「確実に使うけどたまにしかいらない」ものを使いたいときにはどのリストも役に立たない。岩、爆弾魚やモグラ、扇風機や一部敵などを選ぶときに毎回どこだっけ… となる。
いや、このどこだっけの途中に見つけたもので、そう言えばこれでも行けるか?というエウレカが発生したこともないとは言わないが、それでも5つ目のリストにお気に入りを自由に作らせて欲しかった。
あと、ある意味カリモノ呼び出しより厳しかったのが、シンクで選ぶときに対象を選べないこと。…選べないよね?
てっきり対象が光った後に右スティック移動とかで別のものに照準を合わせられるのかと思ったらそんなことはなく、敵にシンクしたいのにオブジェクトになったり、奥の岩を動かしたいのに手前の岩になったりというのがものすごく良く発生していた。
あれは… なんだったんだろう。余りに不便だった。
他にも細かいところの遊びやすさ、UIがあまりいつもの丁寧な任天堂らしくなかった気がした。ミニゲームやミッションをその場でやり直させてくれないとか。クエストが室内にあるときは中に入らないとわからないとか、眠り道場のミッションが毎回一番上からスクロールしていかなきゃならないとか。
・知恵という力
知恵のかりものというタイトル通り、ありとあらゆるモンスターやオブジェクトを応用して段差を超えたり火を消したりスイッチを押したり、何より敵を倒したりするのだが、そのやり方が大体の場合あまり知恵を感じさせない形になってしまう。
段差はだいぶ最後の方までベッドを重ねることで超え、敵を倒すときにはブーメランブタブリンをたくさん召喚して四方八方からブーメランでいじめ倒すという、知恵というよりは力であり、知恵というパワーを持った暴君の姫君が爆誕しているだけなシーンが多かった。
更に、ゼルダ自体は攻撃手段がないため、呼び出した後はベッドで寝ていたり草を刈ったりしているだけというのが更に暴君感を増していた。
お気に入りの力たちはコストの低いブーメランボコブリンやウニ、コストは高いが連続攻撃且つ空中移動のピーハット、あとは攻撃範囲が広すぎるトゲ丸太。敵に囲まれたときでもこれらを出して逃げ惑っていれば敵は殲滅できているという強さ。
・借り放題
知恵のかりものの圧倒的爽快且つ地味に新しいところは、「召喚パワーが固定」というところだと思う。
例えばタワーディフェンス系だと、強力なキャラクターは時間をかけてパワーを溜めてようやく召喚できる。そして一度召喚すると再度召喚するにはクールダウンが必要など、強力な力を使うにはそれなりの代償が必要。これはなんというか、ゲーム脳の我々にとってある意味当たり前のことだった。
それが、ゼルダ姫はパワーの数値が足りてさえいれば召喚し放題。クールダウンなんてものもない。パワー3のときにパワー4のものは呼び出せないが、パワー3のものはいくらでも呼び出せてしまう。
発動した瞬間に効果が発動するが、次の発動タイミングはちょっと時間がかかるカリモノがある場合、じゃあ再召喚し続ければ最速でDPS出せるじゃねえか!という脳筋プレイをむしろ奨励していくレベル。
トゲ丸太とか、最初に当たったときのあとも接触しているとダメージが入るっぽいのだが、ちょっと無敵時間的なものがあるので、敵にあたった瞬間に次の丸太を呼び出し、真顔で絶え間なく丸太をぶつけ続ける姫や、爆弾を投げるクリーピーは召喚した瞬間に爆弾を置くので、連打していればボンバーマンのごとく爆弾魔になれるという、戦闘になるととにかくパワープレイになる姫が誕生してしまう。
これがPCゲームだったら、複数のキーに様々なオブジェクトを設定して波状攻撃で蹂躙できたりしたと思うんだが、一度の操作で呼び出せるオブジェクトは1つなので結局同じモンスターやオブジェクトを呼び出しまくることになってしまうのが正直結構残念だった。
呼び出しセットとか、お気に入りとかショートカットが設定できればもうちょっと知恵の方に天秤が傾いてたと思うのだが、なんか今の仕様だと開発側がパワープレイでどうぞと言ってきている感じがした。
まあ、知恵でぶん殴るの楽しかったからいいけど。
・猫
そして本作、残念ながら猫を撫でられるわけではないが、ゼルダ姫が猫スーツを着る上に、そうすると猫と会話できるようになるのでそれだけで神ゲーです。
・まとめ
ブレワイとティアキンはもうああいうシリーズであり、これまでのゼルダという感じではなかったので、久しぶりの斜め見下ろしちょこちょこ動きゼルダの伝説というだけでもう楽しかった。ヒビの入った壁を爆弾で壊してこそなんだよなー。まあ、UIがほとんど一緒だったので若干ふたつが混ざった何かを遊んでいる感じもしたけど。
リンクを操作しないゼル伝、どうなるのかと思いきや、プレイ感は同じのまま、きちんとゼルダ姫を操作する新しいゲームとして非常に楽しかった。
知恵じゃなくてパワーだとばかり書いたが、壁を登るクモをシンクして高い所に登ったり、洞窟ステージでシンクを駆使して遠くのスイッチを押せたとき、あとは最初迷ってたどり着いてしまったものの、地面から風が出ているエリアの攻略法が分からなくて諦めたが、メインクエストを進めて鳥系のモンスターを持つことで浮遊できることを学んでから攻略できたり、本来は頭を使ってビリビリする敵を誘導するステージで、直接ビリビリを召喚して解くという、解法を更なる知恵で上回る感じなど、だいぶ「知恵」を満喫できた。
ただ、クリア後に実況を見てて初めて、右スティックを押し込むと見下ろしカメラにできて、これまでたまに木や障害物に隠れて見えなくなってた問題を解決できたことを知った。悔しい。