CASE4.おいこら事変
付き合って2週間で振られたことがある。その間、デート0回。
この経験でわたしは、無理して自分を繕うことの無意味さを学んだ。
自分を偽ってデート
変な男ばかり寄ってくるのは自分の性格が変な男に好かれてしまうからだろう、と分析したわたしは、いわゆる量産型女子のようなふるまいを始める。
付き合う前のデートでは、大の酒好きであること、オタクであること、男っぽい性格であることをすべてひた隠しにした。服装も個性を消した。
その結果、これまで出会ったことのないまともな男性と出会うことに成功する。
彼はとてもシャイでひかえめで、男っぽいわたしからすると物足りなく、自分がリードしたくなる衝動を抑えてデートを重ねた。
どんなにもどかしくても、半歩下がって相手を立てる………べきではなかったことにこの時は気づかなかった。
事件発生
仲良くなっても彼のナヨナヨは治らず、もどかしい日々が続いた。しかし、こんなまともな人なのだから…わたしが変われば良いのだ…と自分に言い聞かせていた。
しかし、限界は直ぐに訪れた。
歯医者に行きたくないとゴネる彼からのLINE、それをなだめるわたしの返信…このやりとりがかなり長く続いた。
そしてわたしはこう返信する。
「おいこら、歯医者行きなさい」
それから彼からの連絡が一週間途絶え、久し振りに来た返信がこれである。
「おいこら」などという汚い言葉を使う女性とはお付き合いできません。
男っぽく、強く言ってしまいがちな自分。それを隠して生きていく…それは自分の根本を変え、別人格になるのと同じだ。
わたしは彼のために人格を変えられるのか?彼にそこまでの価値があるのか?
熟考の結果、わたしは彼を追うことを諦めた。
崩壊はいずれ訪れる
デートの間、彼の理想の女性像を演じることはできる。だがそれを毎日、何年、何十年も続けられるだろうか。ふいに自分本来の性格が顔を出したり、ボロが出てしまうだろう。
性格を根本から変えることなく、一部のふるまい(今回の場合は言葉遣いなど)を変えることであれば、メリットがあれはやるべきであると思う。
しかし、おとなしい人がよく話す人格、ネガティブな人がポジティブな人格、女性的な人が男性的な性格…といった真逆の人格になることは、かなりの時間と労力が必要だ。
相手のために変わりたい、変わることで自分にもメリットがある、そう感じる相手であればぜひ実行してほしい。
だが、そうではない場合、将来関係性に歪みが出る可能性が高い相手のために自分をすり減らすのは時間の無駄である。
わたしは今、尊敬できる素敵な男性とお付き合いしているが、彼に見合う女でありたい、悪いところは改善したいという気持ちは自然と湧いてくる。
無理して変わらなければというストレスからは解放されている。
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