バターロールはバゲットがうらやましい
自分があまりにも平凡で、価値のない人間のような気がしてつらいって?
うん、確かに平凡だね。
そういうの、最近はモブキャラっていうんだってね。
ああ、ごめんごめん。
知ってる?
自分と似たような人たちは目に入らなくて、
目に入るのは、自分より活躍していて目立っている人だってこと。
ものすごくお金を稼いでいるとか、たくさんの人から信頼されているとか、そんな雲の上の人と比べても仕方がないことはわかっている、と。
SNSのフォロワーの数もそんなに変わらなかったり、普通のサラリーマンだったりと自分に近い立場なのに、一芸に秀でていたり、積極的に活動している人を見ると、あせったり、落ち込んだりするんだ、と。なるほどね。
まあ、気持ちはわかるよ。
私にもそういうところがあるから。
でもねこのてさんにはおいしいパンが作れるって強みがあるじゃない、って?
パンを作ってる人なんてね、たくさんいるよ。
私はまだやったことないような手法でかっこいいパンを作ったりね。
そういうのを見ると、ああ自分のパン作りなんてまだまだだな、なんて思っちゃう。
結局、そういうことなんじゃないの?
自分でわざわざ比べに行ってるんだよね。比べなくてもいいのに。
バゲットは形もおしゃれでフランス料理に合ってかっこいいな、ボクなんてせいぜいたまごサラダをはさむぐらいだ、ってバターロールが落ち込んでるのと同じなんだよね。
あの、硬くてくちびるを切ってしまいそうなバゲットの皮が苦手なんだ、って人には、バターロールのやわらかい感触がありがたいのにね。
まあ、人の性格はそう変わらないから、比べなくてもいいんだって言われても比べちゃうよね。
ムリに比べないようにしようとしなくてもいいんだよ。それはそれで一生付き合わないといけない自分の性格だから、ってあきらめて、でも、比べる必要はないってことを心の片隅に置いておく。
まずはそこからかな。
ほら、そこのバターロール、今回は練乳をたっぷり使ったから、ジャムなんかつけなくても、そのままでも十分おいしいよ。バゲットには練乳なんか入れないからね、バターロールの特権だね。
好きなだけ食べていいからね。
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