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コレステロールとの正しい闘い方



Q.コレステロールとはいったい何なのか?


世間一般に言われているのは、コレステロールが多いとダメ!とにかく減らさないといけない!というシンプルすぎる論理。少し知識がある人はコレステロールには、良いコレステロールと悪いコレステロールがあるということを知っている。

この記事では、コレステロールや正しい食事について学ぶことができ、健康な日々を過ごせていけるヒントが満載である。



1.コレステロールって何者??

コレステロールは脂質の一種。

【コレステロールの主な役割】
 ・細胞膜を作る
 ・生体機能を調整する
 ・免疫力を高める

いわば、生存維持に関わる重要な要素。



2.コレステロールはどこにあるか?

コレステロールの総量は100g~120gと言われていて【脳に30%、筋肉に30%、肝臓に30%、残り10%が血液中とその他の臓器】にある。

残りの10%の中に「胆汁酸」という物質も含んでいる。



3.胆汁酸とは?

【胆汁酸の役割】
 ・生体機能を調整する副腎皮質ホルモン
 ・性ホルモン
 ・脂肪や脂溶性ビタミンの消化、吸収
  (腸内の洗浄)

胆汁酸は、水に溶けない脂肪酸・脂溶性ビタミン・コレステロールなどの「脂質」と結合して水と親和させることで、その油成分の吸収を助ける。
その後、胆汁酸は腸内で再吸収され、肝臓に戻る。(分泌量の99%が再吸収)

胆汁酸の一部は、肝臓にて「胆汁」に変えられて、腸に送り出される。

【胆汁の役割】
 ・腸で食べ物の脂肪分の消化を助ける

胆汁の成分は、胆汁酸、リン脂質、コレステロール、胆汁色素(主にビリルビン)などの有形成分とナトリウムイオン、塩化物イオン、炭酸イオンなどの電解質から成っている。
有形成分の約半分を胆汁酸が占めている。




4.コレステロールの生成

食品から摂取されるコレステロールの割合は20%〜30%程度で、残りの70%〜80%は主に肝臓、小腸や副腎皮質、性腺などで作られている。
つまり、食品の選び方にこだわるよりも、食品の摂取量全体を少なくすることで、コレステロールの量は少なくできる。

体内で合成されるコレステロールの材料は「炭水化物、脂質、タンパク質」で、全体の食事量が増え過ぎないように気を配ることが重要。


★食事の質にこだわる前に、食事の量を気にすること
★食品からの摂取20%〜30%程度=食事の質、体内での生成70%〜80%=食事の量
★食べ過ぎがコレステロール量を増やす



5.コレステロールの種類

コレステロールは脂質なので、水に溶けない。
そこで、アポたんぱくという特殊なたんぱく質と結合し、リポたんぱく粒子となって血液中に流れる。
結合するリポたんぱくの種類によって、LDLやHDLなどに分かれ、比重によって分類される。

カイロミクロン
VLDL(超低比重リポたんぱく質)
LDL(低比重リポたんぱく質)
HDL(高比重たんぱく質)

最も比重の重いHDLの成分を見ると、たんぱく質が40~55%を占めているが、最も比重の軽いカイロミクロンではたんぱく質が2%で、代わりに脂質が98%を占めている。このような成分の違いが比重の違いを生み、働きの違いをもたらしている。

〈リポたんぱく質のそれぞれの働き〉
カイロミクロンは、食物から吸収した中性脂肪を組織に転送している。
VLDLは、肝臓で作られた中性脂肪を組織に転送するが、血液中で酵素の働きによってLDLに変化する。LDLには中性脂肪が約10%とコレステロールが40%ほど含まれていて、LDLは体の各細胞にコレステロールを運ぶ役目をになっている。
一方、組織の各細胞から余ったコレステロールを受け取り、肝臓に運んでいるのがHDLで、コレステロールの含有量は10~15%程度。

LDLコレステロールは、コレステロールを各細胞に運んでいるため「悪玉コレステロール」、各細胞から肝臓にコレステロールを回収するHDLコレステロールを「善玉コレステロール」という呼び方が一般的にされているが、これは正しい呼び方とは言えない。なぜなら、悪玉と呼ばれるLDLによってコレステロールは体内の各組織に運ばれ、細胞膜の成分となったり、ステロイドホルモンの原料となるなどの役割を果たしているからだ。


6.悪いのは、酸化LDLコレステロール


LDLコレステロールは、体内の各組織にコレステロールを運び、細胞膜を作ったり、免疫力を高めたりするため、必要な要素。
ただ、問題なのは、酸化してしまった時。

酸化LDLコレステロール:動脈硬化の原因

動脈硬化を防ぐには・・・
LDLを減らすこと
LDLコレステロールの酸化を防ぐこと(抗酸化作用)
LDLコレステロールの生成量を少なくすること(摂取量を減らす、コレステロールの排出)

★LDLコレステロールの量を減らすこと
★酸化を抑えること



7.LDLコレステロールを減らす食品、抗酸化作用のある食品


【赤ワイン】
 ・血管拡張効果
 ・血管を若返らせるNO(一酸化窒素)を発生
 ・ポリフェノールで抗酸化作用(動脈硬化を防ぐ)

<フレンチ・パラドックス>
フランスは、肉の消費量がヨーロッパ諸国(11ヶ国)の中でトップ。
動物性の脂肪だけでなく、乳脂肪(チーズ・生クリーム)も大量摂取している。
食生活から「大量のコレステロール・中性脂肪」が原因で動脈硬化になり、心臓病になる可能性が高いと想像できるが、フランスはヨーロッパ諸国(11ヶ国)の中で心臓病による死亡率が一番低い。
これをフレンチ・パラドックスと言う。

コレステロールを大量摂取しているのに心臓病になりにくいのはなぜか?
それは、赤ワイン。

赤ワインのポリフェノールという抗酸化物質が、活性酸素の働きを抑えることで、血管壁に入り込んだLDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を阻止。


【ナッツ類】
不飽和脂肪酸=動脈硬化を防ぐ
脳梗塞や心臓病のリスク減
ビタミン、ポリフェノール、カリウム、カルシウム、マグネシウム
★体から塩分を排出して血圧を下げる


【一価不飽和脂肪酸・オレイン酸】
エクストラバージンオイル、アーモンド
HDLを減らさず、LDLを減らす
肝臓への脂肪の蓄積防止
エクストラバージンオイルはオレイン酸を70%以上含み、他の植物油に比べ酸化しにくい


【一価不飽和脂肪酸・リノール酸】
ゴマ油、くるみ
HDLもLDLも両方を減らしてしまう


【コーヒー】
カフェイン酸
脂肪分解酵素 リパーゼを活性化 脂肪分解
ポリフェノール クロロゲン酸 抗酸化作用 LDLの酸化を防止
血管の老化を防ぐ
糖代謝を活性化して血糖値を下げる作用


【緑茶】
エピガロカテキンガレート
・コレステロールの吸収を抑制
・体外へのコレステロールの排出を促進
・悪玉のLDLコレステロールを減少
・善玉のHDLコレステロールを増加
・LDLコレステロールの酸化を防止
・中性脂肪の分解を促進



【乳酸菌】
便秘や下痢の原因の悪玉菌を退治
コレステロールを減らす作用あり
乳酸菌は表面の粘性が高い→腸内の胆汁酸やコレステロールを吸着し、便として排出
胆汁酸の再吸収を抑制(体内で胆汁酸が減ると、肝臓が胆汁酸を作るためにコレステロールを消費)


【しいたけ】
エリタデニンやビタミンB群の一種ナイアシン、食物繊維を豊富に含む食材
エリタデニンはしいたけの固有成分。
LDLは肝臓で脂質とタンパク質が結合することで生成するが、エリタデニンはLDLの合成を抑止。
ナイアシンは、肝臓での中性脂肪の合成を抑止し、肝臓から排出される悪玉LDLを減らす。


【大豆加工食品】
イソフラボン、大豆たんぱく、サポニン、レシチン
イソフラボンは、女性ホルモンと似た作用がある。(若年期の女性に脂質異常、高血圧、高血糖は少ない)
善玉HDLコレステロールが増え、悪玉LDLコレステロールを減らす。
サポニンは、血中脂質値を減らし、不飽和脂肪酸の酸化で出来る過酸化脂肪の害を防ぐ。
レシチンは、傷んだ血管壁や細胞膜を蘇らせ、HDLコレステロールを増やす。
納豆のネバネバ成分であるナットキナーゼは、血栓を短時間で溶かす力があり、脳梗塞の予防などに効果的。


【にんにく】
アリインが独特なにんにくの匂いのもと。空気と触れ合うことで酵素が働き、アリシンに変わる。
アリシンには、食中毒や感染病を防ぐパワフルな殺菌効果がある。
コレステロールを下げる効果もある。
アリシンと脂質が結びついてできる脂質アリシンは、血管内の老廃物を排除し、血液のコンディションをサラサラに保つ。
アリシンを加熱することで出来るアホエンは、コレステロールを下げる作用アリ。


【トマト】
リコピンは抗酸化作用に優れた成分。
コレステロールの酸化を抑える。
リコピンは血液中に入ると半減するのに12日~33日もかかると言われている。持続性に優れている。


【食物繊維(寒天)】
腸で食べ物の脂肪分の消化を助けるのが胆汁。その胆汁の主成分が胆汁酸で、胆汁酸は肝臓で生成されるコレステロールから生まれる。つまり、胆汁酸がたくさん使われれば、原料であるコレステロールも消費され、コレステロール値は下がるということになる。ただし、胆汁酸は腸で吸収されると肝臓に戻り、再び使われてしまうため、胆汁酸を外に排出しない限り、コレステロールはなかなか無くならない。
→ 食物繊維は腸で胆汁酸を吸着し、便として排出する → コレステロールを減らす裏ワザ

サトイモ科の植物から作られる97%が水分で3%がグルコマンナンという食物繊維のこんにゃくは、腸内の有害物質や脂、不純物などを便として排出する役割を担う。胆汁酸も減らす。

水溶性と不溶性
水溶性はコレステロールや余分な油を絡めとり、不溶性は腸を刺激してぜん動運動を活性化して便秘を解消。
摂取の目安は、男性20g、女性18g以上


【アスタキサンチン】
鮭、エビ、カニ、イクラなどの身がオレンジ色の魚介類には、アスタキサンチンというパワフルな抗酸化作用が豊富に含まれている。動脈硬化やがん細胞の増殖、肌の不調などの病気・老化の多くに関わる酸化作用を抑制する効果がある。他にも、ストレスにより弱まる免疫細胞の働きを正常化し、視力の回復、黄斑変性症などの眼病予防、肌のかさつき防止、メラニンの生成を抑制するという研究結果もある。
推奨されるアスタキサンチンの1日の摂取量は3~10mg。紅鮭の100g中の含有量は2.5~3.5mg。
アスタキサンチンは熱に強く、煮ても焼いても失われる心配はない。


【タウリン】
イカ、タコ、貝類にはタウリンという善玉成分が含まれている。
タウリンは抗酸化作用が強力。疲労回復、肝機能回復、コレステロール値を下げる効果あり。
ホタテは、貝類の中でもコレステロールが少なく、ビタミンB2も含む。


【L-カルニチン】
L-カルニチンは、ミトコンドリアが持つ脂肪燃焼作用を活性化させる。
L-カルニチンが不足すると、脂肪酸が細胞内のミトコンドリアへ運ばれにくくなり、せっかく運動をしても、体脂肪が燃焼されず、太りやすくなる。
加齢や飲酒で肝機能が落ちると不足する。
L-カルニチンが豊富な食材:ラム肉


以上でコレステロールのお勉強はおわり。
食べ過ぎない、良いものを摂取する、そして、正しい知識を身につける。
これが健康の秘訣ですね。

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