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素人系パパバンドのセルフレコーディング奮闘記 Episode 5

さてさて、連載もいよいよ佳境、本題に入って参ります。各パートの音を録音して、そのままアッセンブリーしたらそれでOKなのかというと、そうはならなかった素人系セルフレコーディング。

大きな問題が「音が小さい」ということでした。手元のボリュームをひねったら良いじゃない?と、思うかもしれませんが、さにあらず。聞いてくださる方が、この曲を聞くときだけ設定を変えるなんて、変ですよね?

調べてみるとどうやらセルフレコーディングのビギナーがほぼ確実にぶつかる壁だそうで、yahoo知恵袋にたくさん見つかる、先輩たちの足跡、、、。

専門的な解説は他に譲るとして、ざっくりと言うと、録音したまんまの音は、音の密度が低いので、これを圧縮し、「音圧を上げる」ことをせよとのことです。DTMソフトで言うところの、音の「ノーマライズ」「コンプレッサー」の2つの機能を使うのです。

当然、元の音に加工を加えるので、ニュアンスや響きが変わります。いかに気持ちいい音にできるかはエンジニアの腕の見せ所、さじ加減ひとつの世界!

もひとつわかったのは、どうやら我が愛機のgaragebandでは、機能が不足しているようだという不都合な真実。調べるとMacを買って、専用のソフトを入れた方がいいみたい。でもそんなにお金、かけたくない、、、と逡巡しながら見つけたのがiPadアプリのcubasis。お値段5000円と、アプリとしては安くはないが、DTMソフトとしては、破格の安さだそう。最大の心配は、garagebandで作ったデータをインポートできるのか?ということ。なにやらiPadの機能をごちゃごちゃ使えば色々やれるみたいなんだけれど、、、2、3日格闘し、よくわからないので、1番簡単な方法「wavファイルに書き出して、インポート」という方法を採用しました。

こういうのも、あんまり良くないんだろうなぁ、、、最初から、cubasisで録音してたら、良かったなァ、、、とひとり慨嘆しても、後の祭りです。ただ前を向くしかありません。

しかしこの、音の加工の厄介なこと。

色や形のあるモノであれば、並べて比較できますが、音の場合は同時に味わうことができない。パラメータをいじっては聞いてみて、それらの記憶同士を比較するしかないわけです。

しかし人間の記憶なんてあやふやなもの。なんどもやってるうちに何がどうだったのか、サッパリわからなくなるのでした。

しかもやってみてわかったことが、「ノーマライズを思い通りにやるためには、レコーディングの段階で設定をうまくやっておくべきだった」ということです。その音声データの音量のピークを基準に全体を引き上げる、ということをするのですが、元の音量にバラツキがあると、うまくいかない。また、そもそものピークが下目にくるようにしておかないと、ノーマライズしてもほとんど音圧が変わらない。

文章だと伝わりにくい話で恐縮です。

要するに、レコーディングの時点でいい素材を取っておかないと、後加工で良くするのには限度がある、ということです。例えるならば、画素数の少ないカメラで撮った写真は、拡大してもしょうがない、という話に似ているような。

さんざんっぱら、音を吹き込んだ後にこれに気付いたようへいメンバー、わりと目の前が真っ暗になったのでした。さすがに全部録り直しということは現実的でなく、ただひたすら、使えるデータとそうでないものを仕分けする日々。リフがどうこうとか、ちょっとした演奏の細部にこだわってた自分を恨みます。タイムマシンがあったら、そんなことより、ゲインを調整したまえと、一喝するのに、と。

一方のCOMPは、色々試しては見たものの、自分の力量では細かなニュアンスはカバーしきれないと、わりとあっさり見切りをつけました。とにかく最低限音圧が上がれば、それでよし。素材を仕分けして、足りないパーツがあったら、穴埋めするのが先決です。

ちょっと救いだったのは、先行して進めていた曲でこのことが判明したおかげで、レコーディングの後半ではこの教訓が活かせたことでしょうか。なので、「園という縁」なんかは、それなりな素材でスタートできたのでした。

大人になったものだ、と思うのは、問題に直面しても、なんだかんだで「諦めない粘り」が出てきたよなぁ、と、思うんです。最初にイメージしていたのと実際とが、もう全然違ってしまう現実、そのストレスとかガッカリ感に、いかに対処するかという。

高校大学ぐらいのことを思い出すと、行き詰まったときに、そこを掘り下げる力が弱かったし、掘り下げ方もわかっていなかった。昔だったら「もうやめ!やーめた!」となるか、「一からやり直し!やーりなおし!」と無謀な方向にいって玉砕するか。妥協とこだわりの微妙な塩梅、冷静と情熱のギリギリのバランスシート。大人って、そういうこと。

ともあれ、はてさて、どうにか音圧問題はこれで解決だぜ、、、なんて思っていたら、さにあらず。今度は、「音が詰まって聞こえる」という不思議現象に立ち向かうことになったのでした。完パケ目標は年内に、とか言いながら、すでに師走にガッツリ突入、果たしてこの作業はゴールを迎えることができるのか!?

(ようへい)

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