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【要約】できる課長は「これ」をやらない!~会社を伸ばす中間管理職の真実のマネジメント術~

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できる課長はできる社員でなければならない

「評価」とは大辞林によれば、「物の善悪・美醜などを考え、価値を定めること」とあります。しかし、評価には自己評価と他者評価があり、自己評価が高いことに価値はありません。正確には、自己評価によって定められた価値に対して、何かしらの対価を得ることはできないということです。

自らが獲得できる対価の量は、他者評価によってのみ決定します。評価はあくまでも、「自分ではない他の人がするもの」です。この事実を認識できなければ「できる社員」にはなることができません。しかし、自らが評価される側に回った時、自分の自己評価も考慮してほしいと思うのが人間なのです。
「できる社員」も、評価しているのは他者です。自分ができる社員だと思っていたとしても、周りができる社員だと思っていなければ、当然、「できる社員」ではありません。できる社員になるための第一歩は、できる社員かどうかを決定するのは自分ではなく他人であることを正しく認識することなのです。

できる社員は、誰から評価を得なければいけないかを間違えない

「できる社員」の定義を本書では、「会社が目指す目標を達成するにあたり、必要な戦力であること」と定められています。

どれだけ周りから人気があっても、調整能力が高くても、それが会社の目指す目標を達成するにあたって必要なければ、その会社においてはできることにはなりません。

「できる社員」になるということは、会社が目指す目標を達成するにあたり、必要な戦力になるということなのです。

では、それを判断するのは誰か。
それは、前述したとおり自分ではない他者です。具体的には、目指す目標を決定する会社であり、その中でもあなたの上司しかいません。評価制度が正しく機能している会社において、できる社員になるには、一つ上の上司からの評価を獲得すればよいことになります。

まず、上司から何を求められているのかを、しっかりと確認しましょう。
上司から評価を獲得する事が、我々が会社に貢献する唯一の方法なのです。

できる社員は無駄に止まらない

できる社員は、無駄に止まるということをしません。なぜなら、自分のイメージや自分が到達すべきゴールに近づくには、実行して、その結果を見て、差異を修正していくという方法しかないからです。そのためには無駄に止まる時間を減らし、差異を修正する回数を増やすことが重要です。差異を修正する回数の差が、成果の差に直結するのです。

無駄に止まる時間を減らすには、「ゴールを明確に設定する」ことが重要です。ゴールが明確でないと、動いている途中にゴールを確認するために立ち止まったり、ゴールの再設定が必要になったりするからです。
また、ゴールが明確に設定されていない状態では、差異が明確になりません。なぜなら、「差異」とは、イメージするゴールに対する差異であり、イメージするゴールが曖昧では、認識できる差異も曖昧なものになってしまうからです。

明確にゴールを設定出来たら、まず実行です。失敗したらすぐに修正すればよいのです。じっくり考えたほうが正解に近付くなどということは、ほとんどの場合ありません。早く失敗できたほうが、早く成功に近付くと考えるべきです。

できる社員は後から「言い訳」をしない

できる社員は「言い訳」をします。
もちろん、ここでいう言い訳は、ただの言い訳ではありません。自らの責任を果たすうえで障害となっている「事実情報」をしっかりとあげるということです。そして、この「言い訳」は、課されたミッションに取り組む前に行い、決して結果が未達成であることが確定してから行われるものではありません。ただし、上司に不足や問題を報告する際の注意点があります。それは、報告する内容は「事実情報」でなければならないということです。

できる社員は、与えられたミッションを達成する、という権限行使である「事前の言い訳」は積極的に行います。ミッションのスタートを切る前の言い訳をしないことは、未達成の時に「ただの言い訳」にしてしまうことを理解しているからです。

できる課長の部下との接し方

「上司はルールを決める人」「部下はルールを守る人」

上司はルールを決め、部下にそのルールを守らせる代わりに、チームの勝利に責任を持ちます。また、部下は上司の決定したルールを守るという責任を持ち、できているかどうか上司から評価を受けるという存在です。

マネジメントがうまくいっていない根本的な原因は、上司が部下に対して「お願い」をしてしまっているということです。上司として部下にすることは「指示」であって「お願い」ではありません。
上司が部下に指示をできるのは、上司が責任ある立場だからです。上司はチームの責任者として、責任をもって部下に指示しなければなりません。そして、その指示を部下が実行して、うまくいかなければ上司がすべての責任を負うのです。

また、できる課長は部下に感情的に接することをしません。
世の中には、部下に対して声を荒げて叱ったり、指導をしたりする方がいます。怒るという感情表現で部下を動かそうとする上司に対して、部下はどのような認識をするでしょうか。
感情的に怒られた後の感想は、ほとんどの場合、「やっと終わった」です。反省の感覚よりも、その場が終わった安堵感のほうが大きいのです。
部下に対しての指導、指摘が終わった時に一番の理想はどのような状態でしょうか?少なくとも、指導、指摘が終わったことに対して部下が安堵感を抱いている状態ではありません。終わった瞬間に次の行動、つまり、今後同じような指導、指摘を受けないための行動に移っているのが理想の状態です。

上司と部下というのは、あくまでも会社が規定したルール上の関係です。そして、その関係を意識上もキープしていくには、しっかりとルールによって組織を運営していくしかありません。
部下に感情的に接してはいけません。そうするとあなたのことを上司としてではなく、一人の人間として認識するようになります。あくまでも、上司と部下はルール上での関係です。感情を出さずに、事実に基づいて指導、指摘することを心がけましょう。組織を良い結果に導き、部下を成長させるためには、部下に対する日常の指導に感情を持ち込むことは、絶対にやってはいけません。

できる課長は数字の未達より挨拶しないことを許さない

挨拶、掃除、時間を守るなどの「できる・できない」が存在しない、やろうと思えば誰でもできるルールのことを本書では「姿勢のルール」と言っています。

仮に求めていた数字が未達成であれば、次どうするかを考えさせ、設定していくのが上司のやるべきことです。しかし、「姿勢のルール」を守らないということは、明確にできることをやっていないので、次どうするかではなく、絶対に許してはいけません。「姿勢のルール」の徹底遵守を第一に考えましょう。

「姿勢のルール」を守らないということは、法律違反をしているのと同じです。その組織の一員であり続けるための法律に違反しているのです。それは明らかな怠慢であり、サボりです。数字の未達成や、スキルの不足による納期の遅れとは全く種類の違うものだと覚えておきましょう。

できる課長は「もっと気合を入れます」を許さない

何を見て「気合が入っている」「情熱がある」と判断するのか。
それは、部下の「行為」を見て判断しているのです。しかし、本当に気合が入っているのか、情熱があるのか、実際のところはわかりません。気合が入っていそうな、情熱がありそうな行為をしているに過ぎないのです。気合や情熱は自分の中に持つものであり、何かで表現するようなものではありません。ましてや、上司から部下に求めるようなものではないのです。
部下からの「もっと気合を入れます」を許してはいけません。気合や情熱では何の問題解決や成長にもならないからです。部下には気合や情熱を求めるのではなく、何が足りないかを的確に指摘し、それを埋めることを求めなければなりません。

できる課長の上司との接し方

できる課長は上司からの評価をあきらめてはいけません。課長の評価が下がれば、その部下の評価も連動して下がります。そして、上司の評価を無視してお客様のためにとった行動は長続きせず、結果的にお客様に迷惑をかけてしまいます。市場と向き合ってすべてのルールを決定できるトップではなく、会社のルールの中で対応していく立場であるということを忘れてはいけません。

また、できる課長は上司と競うということをしません。そもそも、競う立場にありません。部下からの求心力が欲しいのであれば、しっかりと課長の役割を果たし、部下やチームを成長や勝利に導くという結果に集中しなければなりません。間違えても、「部長よりもいい上司」として人気を取りに行くことはしないようにしましょう。

できる課長の心構え

できる課長は、自分が会社の成長のためにいることを忘れません。
たとえ、部下が2,3人であったとしても、課長という立場になるということは、組織のトップに立つということです。そして、自分の頭の中で思い描く「よいリーダー像」に近付くために、日々葛藤されている課長も多いのではないでしょうか。

しかし、多くの「課長」が思い描く「よいリーダー像」はそれ自体が「できる課長」からかけ離れてしまっていることが多いのが現実です。
「できる課長」からかけ離れている「よいリーダー像」とは大きく分けて次の二つのパターンがあります。

①会社と闘い部下を守るよいリーダー
 社長や部長は厳しいことや、無茶なことを言うけれど、課長である自分はそうではなく、部下の立場になって考えてあげ、時には部下のために社長や部長とも闘えるのがよいリーダーだという考え方です。

②お客様のために会社と闘うよいリーダー
 お客様からの要望に応えるためであれば、会社の利益が減ろうとも、社長や部長の反対を受けてでも、時には自分の進退をかけてでも闘うのがよいリーダーであるという考え方です。

この二つの代表的なパターンは、課長が組織のトップてあるという意識が強すぎて、あくまでも会社の中のサブ組織におけるトップであること、つまり「会社の成長のためにいる事」をついつい忘れてしまうことから起きています。課長は、社長が決定した「組織をどういう方向に成長させるか」を実現するために、自分のチームの運営の方向性を決定していく立場です。部下の育成方針も、顧客ニーズにこたえる方法も、あくまでも社長の決定した「組織をどういう方向に成長させるか」が考え方の基準でなければいけないのです。

おわりに

ここまで、本書の内容をかなりかいつまんで要約してきました。
大切なのは、自分の立場を正しく理解することです。自分の立場を正しく理解できて初めて、そこからの行動を正しく実行できると認識しましょう。
そして、課長の立場は「間の立場」です。何が正しいのか、何を求められているのかは、上司に決めてもらう立場です。そして、チームを率いて上司に求められたことを達成する立場です。さらに、部下から嫌われるかもしれないことでも、チームや部下の未来の勝利や成長に責任を持ち、決断を繰り返していかなければならない立場なのです。

著者は、この本のアドバイスを実行していけば、部下の未来も間違いなく明るいものになり、あなた自身は課長ではいられなくなるだろうと語っています。「できる課長」は、課長のままで置いておくにはもったいないからです。

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