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今でしょ

前の大戦が終わって、やはり「進め一億、火の玉だ」をまともに信じていた人々は混乱したそうだ。特に、ずっと洗脳されるような教育で育ってきた軍国少年・軍国少女は信じてきた価値観のカタストロフ…たいへんだったろう。そして、結局、戦後民主主義な世の中に馴染めず、「ネオ進め一億」な安倍さんたちの台頭に溜飲を下げ、彼らを支持したんだと思う。

うちのオヤジは軍国少年・軍国少女よりは年上の世代だが、どこで死ねたら華々しいかが「希望」であって、25歳以降の人生は「白紙」の状態だったそうだ。故に、戦後も困ったし、やるしかなかった動乱期が終わり、子育ても、まぁまぁ心配事ではなくなると、また、どうしていいかわからなくなったそうだ。
オヤジにとって、ずっと「25歳以降」は空白のままだったのだろう。80歳を過ぎたとき「まさか、80まで生きているとはな」と、しみじみそう言っていた。

で、今。

できるだけ満遍なくいい成績とって、みんなと仲良くやって、会社に入って「憶えて、慣れる」「空気読んで」の時代が否定されようとしている。
でも、工業生産時代が終わり、知価(情報)生産時代になり、マニュアル・レーバーは、AIに乗っ取られようとしている。「作業」「記憶力」では、実際に彼らに全くかなわない。

学校でも軍隊みたいな行進を押し付けられて、同級生や職場の仲間にも気を遣って、PTAや町内会・自治会でも気を遣って、つまり、神経をすれ減らして国民をやってきたら、それが生き方ごと否定されちゃうかもしれない…と。

たまったもんじゃない。

でも、そういうことが起こる。起こらなければ、さらに生きづらくなる。

あのとき、ポツダム宣言を受託せず、ホントに本土決戦などということになっていたら、高い確率で、こういう戦後はなかったでしょう。僕らはもっと悲惨亜状況から戦後をスタートさせたはず。この国が北と南に(あるいはさらに複雑に)分断されていた可能性だってある。

福島で現在進行形で起こっている何かは、予測が不可能なくらいの災禍を生み、国際的な信用を静かに低下させている。1980年代末のバブルの傷跡も癒せないのに、さらに現在進行形で続いている都市再開発事業が全国の都市を焦土にしていく。そして、パンデミック。でも五輪は開催。そんなところでウクライナでは戦争。この国の食料自給率は40%に届かず、エネルギー自給率は10%台なのに。

総務・経理からリストラが始まって、世の中からマニュアル・レーバーがなくなる。飲食や小売は全滅のような状況…

急速であるがゆえに、市井は「闇市」からのやり直し。

高い確率で集団生産は廃れて、インデペンデントのコラボみたいな仕事スタイルになる…高校野球みたいな野球じゃなくて、メジャーリーガーみたいな野球のスタイルに変化する。自由だが自己責任で成績が悪ければリリース。でも、お客さんもそれを喜ぶし、つまりは年功序列や終身雇用などは今は昔の話になってしまう。

庶民は、そうした世の中の変化についていくだけ。ついていけなきゃ落下です。そういう感じが世の中の常なんでしょう。

なんの資格を取ると有利だとか。どういう会社に所属していれば有利という、そういう考え方自体が急速にレトロになってしまう。でも、そういうことって身体に染み付いてしまっていて、なかなかアジャストが難しい。

メジャーリーガーみたいにやっていける自分をつくること。

シンドいですけれど、たぶん「いつやるのか。今でしょ」なことなんだと思う。