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空がない
智恵子は東京に空が無いという
ほんとの空が見たいという
私は驚いて空を見る
高村光太郎のように、僕も、東京やヨコハマ都心の「空」しか知らずに永い間を過ごしてきた。
でも、郊外に引っ越してきたら、確かに都心とは別ものの空があった。同じ郊外でも、せせこましく建物が林立しているところで都心との差異を感じることはないのだけれど、背景に農地を抱えながら、道幅も広く、建物の高さも制限され、建物の容積も限られた街だと、体感としての「空」の存在感が違いがあった。
郊外に育った奥さんが圧迫感を感じていたのは、マンションの部屋の天井高ではなかったんだって。
人間の見立てなんか超えたところで「空」は泰然としているんだと思うけれど、当時の福島に育った智恵子の「空がない」という体感が、少しわかるようになったと思っている。