見出し画像

予告編つき/予想外ではない

増加の一方だった生産年齢人口(満15〜64歳まで)が減少に転じたのは1996(平成8)年のこと。そして、この年、専業主婦世帯と共働き世帯の割合が逆転する。

もう30年近くも前のことだが、すでに時代は変わり始めていた。

当時はまだ超円高で、都心湾岸の工場はたまらず海外に移転。その跡地のマンション転用も始まっていた。タワマン・ブームへ。
少子高齢化は見えていたのに、こんなことするから80年代には憧れの的だった郊外の新興住宅地にはすでに凋落の傾向が見え始め、今日に至るも住宅購入希望者のオーダーは都心回帰。

80年代に郊外の新興住宅地に一戸建て住宅を購入したのは団塊の世代。

(彼らの世代は持ち家率が高い。86.2%=内閣府 平成25年版「高齢社会白書」)

つまり、彼らの子どもたちが郊外にある住宅を継承してくれない限り、郊外の新興住宅地は面的に空洞化していきそうな気配。実際、空き家は劇的に増加していっている。

それを見越して、すでにスーパーなどの大手の生活利便系な店舗は撤退気味。だって、ローンを払い終わった物件は築40年の古びた中古住宅だし、この国は今、縮んでいっているわけだから、住宅市場だって縮んでいく。収益事業としては当然の成り行き。

山一証券が自主廃業したのが1998(平成10)年のこと。日本長期信用銀行(長銀)が破綻したのもこの年。前年には北海道拓殖銀行が経営破綻している。そして、2017年には東芝があんな感じ、日産もあんな感じだった。

すでに、ちゃんと下り坂は始まっていて、急に下り坂が始まったわけではない。むしろ、丁寧な予告編つきだった。

ところが、庶民は、喉元過ぎれば熱さ忘れるの論拠なき楽観主義、政府の対策は付け焼き刃だし、企業は己が収益に血道をあげる。故に墓穴を掘るかのように、この間を過ごしてきているし、郊外の新興住宅地の空洞化は、ほぼ確実。そして無理な都心回帰・タワマンブームは、品川区や杉並区でさえ、65歳以上の高齢者のみが住んでいる住宅を加味した「空き家予備軍率」で、地方都市並みの30%超え…

たぶん、近い将来、こうした状況に、2007年のサブプライム・住宅ローン危機〜リーマン・ショックみたいなことが、高い確率で、この国に重なる。でも、まだ、住宅建設もビル建設も止まってはいない。実際、お金貸す基準がね、ずいぶんゆるくなちゃってたたときの計画だから。

(河村小百合さんの著作「日本銀行 わが国に迫る危機」(講談社現代新書/2023年3月)の帯には「金利1%引き上げ 2年で債務超過に 10年に及ぶ異次元緩和が崖っぷちにある」とある)

ホントは痛みに耐えて構造改革すべきだったんだ。

でも、ずるずる「これまで」を延命させてきたから、気がつくと世界各国が飛行機主力の機動部隊の時代になっても大鑑巨砲のままで悪目立ち。日露戦争当時の常識で第二次世界大戦を戦おうとしている感じ。半導体で負け、EV車で負け、食料調達のサプライチェーンも組めない(ちなみに、この国の食料自給率は40%に届かない。/オーストラリアは173%。カナダは168%)。でも、国内では不要不急の建物計画や再開発事業をでっち上げて、まだ土建で食おうとしている。

どないしまひょー

座して死を待つ=武器を取って戦うことをせず、ただ手をこまねいて滅んでいこうとする態度や姿勢を指す表現。
この後半部分。「ただ手をこまねいて滅んでいこうとする態度や姿勢」。これだけは避けたいと、僕と奥さんは「畑」をやりはじめた。

先送りにしていても、その時になれば生きようとしてジタバタするからね。そうなれば人間として苦しいだけ。

蟻は地味ですけど、キリギリスはやっぱりダメっていうのがオチだから。

あんまり時間ないんだ。