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Dual

フリーランス。もともとに意味は「フリーのLance(槍のこと)」。
つまり、どこにも所属していない「傭兵(雇われ兵)」のことだ。

(これに対して、義が先に立てば「義勇兵」。こちらは「ボランティア」という言葉があてられる。よく知られている「公園ボランティア」「被災地ボランティア」の原義だ)

僕は会社に所属したことがない。1961年生まれだから2023年で62歳だ。高校生の頃からクラブの弾き語り、ラジオ局のボウヤ(使いっ走り)をやったり、それが縁でライブやコンサートを主催したり、場内警備に人を集めたり、二十代の後半には、会社をつくっていたが、組織という体裁はなく、ずっと、一人で仕事をしてきて、還暦を過ぎてしまった。

奥さんと一緒になってからは奥さんと二人だ。名目上、奥さんには奥さんが代表の合同会社があり、僕には僕が代表の一般社団法人があるけれど、どちらも実質的には協働だ。奥さんとのコンビも30年以上になる。二人三脚を「フリーランス」といっていいのか。組織やグループに属していない「独立系」であることは確か。昨年「デュアルキャリア・カップル」って本が出たけど(ジェニファー・ペトリリエリ著/高山真由美訳/英治出版/2022年)、あれかな。

「デュアル」っていうのは「二重の/双対の/二通りの」なんてことを意味して、ラテン語の「duo=2」を源にするらしい。
でも「ダブル(double)」「ツイン(twin)」に比較すると「デュアル(dual)」は1+1=2+α」の意味合いが強調されるんだとか。

そんな感じかな。

これまでに「もうダメか」って思ったことが二度三度とあるんだけど、一人だったら、とっくに諦めちゃってたと思うから。

でもね。今までに会議も相談もしたことないんだ。ご飯食べるとか、お茶飲むときに方向だけ確認して、奥さんから一票が入れば着手する感じ。

それで30年以上になる。そんな感じ。

で、僕が打ち合わせに出るのが年間で40日あるかないか。あとは、たいてい、わが家にいるから、よほど居心地もいいんだろうね。奥さんがつくるゴハンが美味いんで滅多に外食もしない(僕は右麻痺になっちゃって包丁が持てなくなっちゃったんだけどね)。

「通勤がない」「上司や同僚に気を使う必要がない」っていう生活を手に入れるために、ずいぶん代償を支払うことになったなって思っていたことがあるけれど、これからは就業者のほとんど全てが契約社員かフリーランスか、それとも非正規雇用か。いずれにしても、実質「自営」で、会社や組織っていうシールドは外されちゃうんだろうから、同じかなって。

だから、経験がある分、こっちの方が有利だし(支持された案件を処理するのと、自分で仕事を創るのでは、ぜんぜん方法が違うんだ)デュアルだしね。

誰にとっても「凌ぎ」が厳しい乱世だし、まぁ、この道をこのまま行こうってね。そう思っている。