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リーダー像

「リーダー」ってものについてのイメージも、実際の「リーダー像」もぜんぜん変わっちまうんだろうな。

だって集団生産の時代が終わっていく。

1990年代、まだ「印刷物の作成」には多くの人がかかわっていた。

まず、文章を書く人、イラストを描く人、写真を撮る人たちがいて、若い世代では、その認識すらないだろうけれど、「版下」という印刷原稿をつくらなくてはならなくて、そこに並べる文字版をつくる写植屋さんがいて、イラストや写真を印刷原稿に加工する人がいて、印刷の仕上がり色を調整する人がいて…

だから、全体をコントロールするリーダーが必要だったし、発注者さんの希望を聞き出す役割の人がいた。それぞれの仕事師たちにオーダーを伝えるアシスタントさんもいた。

でも、今は文章もイラストも写真もひとりでできなくはない。「版下」作成ではなく、つくるのは「印刷データ」で、これもDTPソフトで、一人でできる。だから、印刷屋さん側の受け入れ窓口に、一人スタッフさんがいればいい…否、近頃は、その「窓口」でさえ、人間じゃない。

1990年代なら、小冊子をつくるのにも数十人のスタッフが関わっていたんじゃないだろうか。だから「編集プロダクション」なんて会社があった。小さかったけれど、写植屋さんだって「会社」だった。

おおぜいの人間が関わるのだから調整もたいへんだった。それぞれが仕事師なんだから、それぞれに一家言もあった。

でも今は僕と「デジタルな印刷機」だけで小冊子をつくることができる。

もちろん「印刷」だけではない。カラオケがあれば「流しのおにいさん」は廃業だし、DTMでスタジオ・ミュージシャンだって激減だ。今は高齢者施設で、体操指導をするロボットもいるんだという。

ドトールやスタバみたいなキャッシュ・オン・デリバリーのカフェも、ファミレスも、人が運営しているように見えて、運営しているのは「無人のシステム」だ。スタッフさんたちが従うのは、店長さんじゃなくて「マニュアル」。提供するフードだって、マニュアルに沿ってプラモデルみたいに組み立てたものだ。

みんながシステムに従ってバラバラに働く時代。
終身雇用制度が完全に過去のものになれば、ついてこれない人を叱咤激励する必要もなくなるのだろう。
こういう時代の「リーダー」って、どういう人だ。何をする人なんだ。

考えられるのは、ビル・ゲイツさんやスティーブ・ジョブズさんみたいに「システムを生み出しちゃう人」かな。

あとは

多くの人が真似したくなるような「ライフスタイルをデザインして実践」しちゃう人。

(見方によっては「孤独のグルメ」なんかもそうだよね)

少なくとも人を束ねる人じゃないんだろうね。