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既存の選択肢

「リスキリング」という新しい「選択肢」が与えられる。もちろん、与えられた選択肢なんだから、自分で創造したものではない。原義に基づいたブラッシュ・アップなら、もうとっくにやる人はやってるだろう。僕も大学院に行ったのは50歳を過ぎてから10年以上前だ。でも、その頃すでに「社会人大学院」という言葉はあった。もう「歳を喰ってから大学院に進学する」は「選択肢」としてデザインされていた。大学院に進学する道は点線で描いてあったのだ。

「リスキリング」は、いわゆる「大衆化」。さらにマス・マーケットに向けて、本格的に「市場を開拓していく」ことを目的として、ちゃんと政府も主導する感じで、たぶん、広告代理店も絡んでいる。

で。

「リスキング」は「資格取得にチャレンジする」と同義語化して、忙しい過社員でも「スマホで勉強」と、テレビCMが流れ、雑誌も「どんな資格がいいのか」と特集を組む。

たぶん冷静に考えたら「この長寿社会。年金も充てにならないなかで収入をあんていさせたい」、そのための「リスキリング」なら、手が届きそうで、ニッチな技能職を目指した方が確率が高い。実際、僕は、会社を早期退職して10年かかったが、陶磁器を納める桐箱職人になって、お茶の家元なんかと取引しながら80歳の天寿を全うした人を知っている。

なんでもチャットGPTになっていきそうな「これから」。士業やカウンセラーを目指しても、多数いるライバルの中に飛び込んでいくだけのことになるだろう。すでにヨガのインストラクターだって、だぶつき気味だ。お医者さんだって、街場の開業医は、医学じゃなくて統計学が診察する(画像診断)ようになると言われている。弁護士さんだって、創造的な人じゃなく「ただ、法律に詳しい人」じゃ難しいと言われている。

繰り返すけど、昨今いわれる「リスキリング」は、仕掛け人が「マス市場を開拓する」目的でメイキングしたものだろう。だから、このスジガキに乗ったら、お金を支払って挫折するか。上手くいっても「ライバルいっぱい」=喰ってくの難しいの現実に晒されるだけだ。

コツはひとつしかない。

「与えられた選択肢」を無視することだ。
「選択肢」は自分でつくることだ。

そっちに行けば、案外、明るい未来も待っている。