短編小説② クレーム
「このパスタ、すっかり冷めてるじゃないか!」
「コップの中にコバエが浮いてるぞ!」
「箸がベトベトする!」
「まずい、こんなものに金なんて払えるか!」
俺は普通のサラリーマン。
まったく、世の中の飲食店なんてどこも大したことない。客を何だと思っているんだ。
金を払ってやるんだから、客が満足できるようにもてなすのが普通だろう。
さて、今日も1日疲れたなぁ。
お、駅前に新しいハンバーガー屋ができているじゃないか。寄ってみようじゃないか。
「いらっしゃいませ!………あの、よろしいですか。」
「なんだ?」
「そんな服装で入店されると迷惑です。」
怒りが一気に込み上げた。
「おい!ここの責任者を出せ!」
店の奥から店長が出てきた。そして、丁寧な言葉で話し始めた。
「私が責任者です。」
「この店はどうなっているんだ!失礼にも程がある!名誉毀損で訴えてやる。」
店長は冷静に答えた。
「あなたの親か配偶者、上司と連絡がとれますか?」
「何だと!なぜそんなことをしなくちゃならないんだ!」
「あなた、初対面で失礼にも程があるので。責任者を呼ぼうと思って。」