【完全版】広井良典教授が語る コロナ後の社会展望 - 分散型システムへの移行と「生命」の時代


プロローグ:京都大学オンライン講義「根本的に考え直す」シリーズより

2024年の今、私たちは京都大学こころの未来研究センターの広井良典教授による重要な講演「コロナ後の社会の展望―分散型システムへの移行と「生命」の時代」を振り返り、その意義を改めて考察したいと思います。この講演は、京都大学オンライン講義「根本的に考え直す」シリーズの一環として行われ、現代社会が直面する根本的な課題に切り込んだものでした。

第1章:科学史・科学哲学者としての視点

1.1 広井良典教授の学問的背景

広井教授は講演の冒頭で、ご自身の学問的背景について言及されました。科学史・科学哲学という、人文科学と自然科学の境界領域を専攻されたことが、その後の研究活動に大きな影響を与えています。

「科学史・科学哲学は少し馴染みが薄い分野かもしれませんが、これは人文科学と自然科学の間の領域です」と広井教授は説明します。この学際的な視点は、その後の社会保障、まちづくり、環境など、様々な分野における政策研究へと展開していきました。

1.2 コロナウイルスが投げかける本質的な問い

広井教授は、現在のコロナウイルスの問題を、より大きな文脈の中で捉える必要性を指摘します。「これは単独で存在する問題ではなく、私たちが現在生きている経済社会システム全体の状態、そしてその矛盾の表れの一つとして捉える必要があります」という指摘は、極めて重要な示唆を含んでいます。

具体的には、以下のような社会システムの矛盾が、コロナ禍によって顕在化したと広井教授は分析しています:

  1. 都市への過度な人口集中の問題

  2. 拡大する格差の現実

  3. 行き過ぎたグローバル化の限界

  4. 超情報化社会がもたらす課題

第2章:AIシミュレーションが示した未来予測

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