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郷土玩具を考えるWSに参加してきた!

12月~2月にかけて、郷土玩具を考えるワークショップ(全3回)に息子と参加してきました。とても良い経験ができたので、久しぶりの投稿です。(長文です)

12月のある日、子供たちの習い事の待ち時間にInstagramを見ているときに、ワークショップの参加者募集の広告が目に入ってきました。

「木曽谷のあたらしい郷土玩具をつくろう@木曽おもちゃ美術館」

木曽おもちゃ美術館は、長野県木曽町にある体験型のおもちゃ美術館で、木のおもちゃがたくさん展示されており、我が子たちも大好きな場所です。
いつもソフトウェアばかり考えているのでおもちゃを考えるって楽しそう、
また、講師が良品計画の商品企画をされている方々だということで何か学べそう!そんな軽い気持ちで申し込みをしてみました。

Day1:お話し・ワーク「ものづくりの方法と、木曽の郷土をまなぶ」

初回は自己紹介と、講義、ワークがありました。
講師はtorinokoさん(https://www.torinoko.net/)の小山さんと白鳥さん。これまでも日本各地であたらしい郷土玩具を考えてきたそうで、そんな方々のものづくりの方法をお聞きできる機会なんてなかなかないぞ!と耳をかっぽじって聞いてきました。

印象に残ったのは以下の箇所です(私の解釈になります)

  1. 郷土玩具は、その地域の特色が色濃く反映されている

  2. 洒落をきかせる

①郷土玩具は、その地域ごとの特色が色濃く反映されている
郷土玩具は身近にある材料で子供のための玩具を作る庶民文化から生まれ、材料には、木、土や粘土、張り子(紙)などがあるそうです。なので、山間部では木製の玩具が多かったり、瓦が作られる地域だと同じ土で作られた土人形だったり。郷土玩具の歴史をひも解いていくと、当時の人々の暮らしや物の流れなども見えてくることがとても興味深かったです。
これまで、テレビや絵本、時代劇のイメージで昔の人々の暮らしが脳内でどんどんステレオタイプ化していたけれど、それぞれの土地によって暮らしや産業が大きく異なっていたことを改めて感じました。

今回は、木曽町の郷土玩具をかんがえるのですが、木曽で身近にあるものといえば伊勢神宮の遷宮用材や高級建築用材として用いられている「木曽ヒノキ」。木製のおもちゃを考えることになりました。

②洒落をきかせる
おせちやお祝い事のお料理などって、縁起をかついだ食材を利用していることが多いですよね。「まめに働く→豆」とか、「めで鯛」とか。
郷土玩具も子供の玩具ですが、当時の人々の願いが込められていたようです。

ということで、ワークの中では、「自分の住んでいる市町村と言えば」を紹介した後、それに対してダジャレを考えるワークをしました。
私は「アルミ缶の上にあるミカン」みたいな感じで文章や会話で考えていたのですが、torinokoさんが出してきたのが「木曽イノキ」の文字と共にちょっと顎がしゃくれた木の擬人化イラスト。
なるほどー!こういう方向だったか!と「IPPON!」が脳内再生されました。確かに仰々しい意味が込められたものよりもクスっと笑えるものがバズったりしますよね。セクシーな形の野菜とか、笑点なら木久扇師匠の大喜利みたいな。
例で見せていただいた美大の学生さんの作品たちも、シャレが聞いていて面白かったです。

ただ、ここから約1ヶ月、ダジャレのひねり出しに苦しめられることになりました…

Day2:中間発表・ブラッシュアップ

1ヶ月後に中間発表ということでアイデアと、試作品を持ち寄りました。

1ヶ月間は、こんな感じのことをやってました。

  • 木曽の昔話や伝説、郷土史、方言一覧などをひたすら読む

  • 他の地域の郷土玩具、木製のおもちゃにはどんなものがあるのか調べる

  • ひたすらダジャレを考える

木曽町については、木曽馬、木曾義仲、御嶽山、木曽ヒノキあたりの有名どころしか知らなかったので、初めて図書館の郷土史エリアで本を借りました。私は日本昔ばなしのアニメをよく見ていたので、昔話や伝説を調べるのはとても楽しかったです。人気のおもちゃのなかには、昔話をモチーフにしたものも多いので、この話だったらこういうおもちゃが楽しそうだなと考えながら読み進めました。ただ、昔話は残酷なものや悲しい物語など「これ玩具のテーマにしづらくない?」という話も多かったです…

モチーフをいくつか絞ったところで、ダジャレを考えました(ここが一番辛かった)。来る日も来る日も、「きそよしなか」とか「きつね」とかの文字とにらめっこしたり、口に出してみたり。辞書サイトで「きそ」が含まれる言葉を探したり、ChatGPTで「木曽のダジャレを考えてください」とかも試しました。(ChatGPTのダジャレはあまりおもしろくない)
ずっと考えていたのでオッサンギャクの思考になってきて、会社の人とのチャットでもダジャレをかまし、見事にスベりました。後からうわあっとなっちゃうタイプの人間なので未だに引きずってます。

ただ、ダジャレからおもちゃのアイデアが浮かんできたり、試作品を作ってるうちに別のダジャレが浮かんできたり。
普段はPCカタカタしていることが多いので、子供と粘土で造形したり段ボール工作したりと楽しい時間でした。作ったの2日前で、結局前日は日付超えるまで作っていましたが。試作品づくりではダイソーにお世話になりました。

フィードバックでは、主に「玩具としての楽しさ(置き物系は動かないから楽しさが減る)」をもう少し考えてみることをアドバイスいただきました。
確かに、おばあちゃんちにも郷土玩具があったけれど小さいころに「触っちゃダメだよ!」と怒られた記憶があります。玩具なんだから遊べた方が楽しいよね。置き物の郷土玩具も素敵なものがたくさんあるけれど、きっとtorinokoさんはおもちゃとして遊べることでより親しみや愛着が持てるものを考えてほしいんだろうと解釈しました。

材料と加工法
Day1でも書きましたが、今回は木製のおもちゃを考えます。そこで考えなくてはいけないのが、加工法による形状の制限です。
加工は長野県上田市のnolla-designさん(https://nolla-design.com/)がしてくださいます。見本として、ヒノキや他の木で加工した3D木製キットを持ってきてくださいました。普段DIYなどを行わないので、木の固さの違い、加工した際の性質などもあまり知りませんでしたが、やっぱり木材って良いなとか、木ならではのあたたかみを感じ、こんな良質なヒノキが採れる木曽は素敵な場所だなと思いました。
3D木製キットでのネコちゃん制作も体験させていただきました。ヒノキは柔らかい木なので、保育園児でも簡単に切れます。ヒノキって本当にいい匂い!nolla-designさんは色々なところでワークショップ開催されているようなので、機会があったら参加してみてください。

息子とnolla-designさんの3D木製キットのネコちゃん3兄弟

Day3:最終発表・講評

中間発表から1ヶ月弱(お知らせから日程が変わりました)。いただいたアドバイスを頭に置きながらもう一度木曽の伝説や昔話を読み、またダジャレを考えアイデアをブラッシュアップさせていきました。

私渾身のダジャレ「木ソード(木曽+ソード)」のおもちゃを考えたかったのですが、最終的にワークショップになるということでそれを踏まえると良いアイディアが浮かばず、今回は木ソードは見送りました。いつか自分で作って売り込むか~。

私と息子で4案考えて発表しました。今回も結局前日の夜に作ったので、発表の時もまだ紙粘土がしっとりしていました。(学生時代から何も学ばない人間だなと毎回思うのですがなかなか変わらない…)

他の方のアイデアもどれも楽しく、それぞれのストーリーを感じられる素敵なアイデアでした。御嶽山と水の物語、おばあちゃんと見た木曽の空を飛び回るトンビの情景、子供たちが教えてくれたイモリの愛称とその生態。以前読んだアート思考の本では「伝えたいことや、自分はどうしたいのか」などからアート的思考が生まれる的なことが書いてあったのですが、こういったストーリーがあると、ぐっとそのおもちゃに引き込まれるなと感じました。

私はコマ(これは息子案)、のぼり人形、バランスゲーム、積み木と、バラバラな系統のアイデアとなりましたが、どのおもちゃもなんか無難な感じ(郷土玩具っぽさが薄い)になっちゃった気がします。木曽に対するストーリーが少し弱かったかも。そんな若干の心残りはあるものの、なんとかやり切れて良かったです。
息子も全3回の参加+宿題頑張ってくれました。初回の自己紹介では終始もじもじしていましたが、最後の発表はやりたい人と聞かれ真っ先に手を上げる頼もしい姿を見られて、母さんとっても嬉しいです。

郷土玩具は、世代を超えて愛され、受け継がれていく存在で、いわば仕事で作っているソフトウェアとは正反対のモノづくりでした。自分が作ったおもちゃを買った子供が大きくなった時にまだ愛してくれるか。家のリビングや玄関などに置いてあってどう思うか。そんな視点を学ぶことができたと思います。ある参加者さんは「普段は役に立つものを作っているが、今回初めて役に立たないものを考えた。」とおっしゃっていました。まさに私も同感だったのですが、役に立つ、立たないではなく、その玩具を手に取った人が意味を感じられるか、見出せるか、そんな視点が必要なのがアートなんだと、本で得た知識と経験がつながった気がしました。

この後ですが、運営の方々で選考と試作を行ってくださり、3月あたりに初回のワークショップが開催されるそうです。どの案が採用されても、楽しいワークショップになりそうで、とても楽しみです。
お近くの方はぜひチェックしてみてください。

その他
参加者の皆さん、torinokoさんとお話する中で学んだことや感じたこと

  • 3Dプリンターを活用されている方がいて、良いツールを教えてもらった。今年の目標は「3Dプリンターを使えるようになる」にしようと思う。

  • ダジャレは一人で悶々と考えているときよりも、お酒を誰かと飲んでいるときとか、誰かと話しているときの方が良いものが浮かんできたりする。(やっぱりチームで考えるって大切なんだなぁ)

  • 「自分が何を伝えたいか」を考えることが大切だと学生にアドバイスしている(ここ、まさにアート思考…!)

おわり

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