【抄訳】戦争研究所「ロシアによる攻勢戦役評価」2024.08.26 - ウクライナ戦況：ドネツィク州ポクロウシク方面
Russian Offensive Campaign Assessment, August 26, 2024, ISW ⬇️
ウクライナ戦況：ドネツィク州ポクロウシク方面
◆ 戦争研究所（ISW）報告書の一部日本語訳
米国東部時間2024年８月26日15:00時点
（戦争研究所）
８月26日もポクロウシク［Pokrovsk］方面において激しい戦闘が続くなか、ロシア軍は最近、ポクロウシクから南東方向の地点でさらに前進した。８月26日に公開された動画のなかの撮影地点特定可能な画像によって、ノヴォフロディウカ［Novohrodivka］（ポクロウシクから南東方向）区画内東部のキシュラク［Kishlak］地区において、ロシア軍がロモンソヴァ［Lomonsova］通りへと前進したことが分かる。ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がノヴォフロディウカ中心部内へと北進していると主張したが、ISWはロシア軍将兵がノヴォフロディウカ中心部に存在していることを示す映像・画像証拠を現状、確認できていない。ロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はフロディウカ［Hrodivka］（ポクロウシクの東方、ノヴォフロディウカから北東方向）区画内東部のシェウチェンコ［Shevchenko］通りにまで前進し、それに加えて、フロディウカから北東方向の野外開豁地でも前進したとのことだが、このような前進の主張を裏付ける映像・画像をISWは確認できていない。軍事ブロガー・アカウントの一つは、ロシア軍がノヴォフロディウカの60％とフロディウカの20％を支配下に置いていると、さしたる根拠もなく主張したが、撮影地点の特定が可能な映像・画像証拠としてISWが集めることができたものは、ロシア軍がノヴォフロディウカの2.5％とフロディウカの約５％を制圧していることしか裏付けていない。ただし、ロシア軍がもっと多くの土地を奪取している可能性はある。８月26日公開動画のなかの撮影地点特定可能な画像に、ポクロウシクから南東の地点に位置するミハイリウカ［Mykhailivka］（ノヴォフロディウカのすぐ南側に位置）のすぐ北側にあるコトリャレウスカ［Kotlyarevska］鉱床と、カルリウカ［Karlivka］（ノヴォフロディウカから約15km南東方向）の北方のダーチャ地区で、ロシア軍がさらに前進したことが示されている。ロシア軍事ブロガーの一部の主張によると、ロシア軍はカリノヴェ［Kalynove］（ポクロウシクから南東方向で、カルリウカから北西方向すぐの位置）を掌握したとのことだが、ロシア軍がカリノヴェ区画内かその周辺のいずれかに存在することを裏付ける映像・画像をISWは確認できておらず、唯一確認できた証拠情報によって、ロシア軍の目撃地点が、カリノヴェに最も近いところで、カリノヴェから約１km離れた地点であることが分かる。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ポクロウシクから北東方向のミロリュビウカ［Myrolyubivka］付近、パンテレイモニウカ［Panteleymonivka］付近、ゼレネ・ポレ［Zelene Pole］付近に加え、ポクロウシクの東方のヴォズドヴィジェンカ［Vozdvyzhenka］付近、フロディウカ付近、ノヴォオレクサンドリウカ［Novooleksandrivka］付近でロシア軍の地上攻撃が行われたとのことだ。また、ポクロウシクから南東方向のカリノヴェ付近、メムリク［Memryk］付近、ミハイリウカ付近、マリニウカ［Marynivka］付近でもロシア軍が地上攻撃を行ったと、ウクライナ軍参謀本部は伝えている。
※ISWが参照している情報源を確認したい場合は、報告書原文の後注［62］～［68］に記載されたURLにアクセスしてください。
※戦争研究所 インタラクティブ地図（米国東部時間2024年８月26日15:00時点の評価）に加筆
https://storymaps.arcgis.com/stories/36a7f6a6f5a9448496de641cf64bd375
◆ 報告書原文の日本語訳箇所（英文）
Russian forces recently made additional advances southeast of Pokrovsk as intense fighting continued in the Pokrovsk direction on August 26. Geolocated footage published on August 26 indicates that Russian forces have advanced to Lomonsova Street in the Kishlak neighborhood of eastern Novohrodivka (southeast of Pokrovsk). A Russian milblogger claimed that Russian forces have advanced northward into central Novohrodivka, although ISW has not yet observed visual evidence of Russian troops within central Novohrodivka. Russian milbloggers also claimed that Russian forces advanced up to Shevchenko Street in eastern Hrodivka (east of Pokrovsk and northeast of Novohrodivka), as well as in fields northeast of Hrodivka, although ISW has not observed visual confirmation of these claimed advances. One milblogger alleged that Russian forces control 60 percent of Novohrodivka and 20 percent of Hrodivka, although ISW has only collected geolocated visual evidence to confirm that Russian forces have seized 2.5 percent of Novohrodivka and about 5 percent of Hrodivka, though Russian forces may have seized more. Additional geolocated footage published on August 26 shows that Russian forces have also advanced further southeast of Pokrovsk in the Kotlyarevska mine just north of Mykhailivka (just south of Novohrodivka) and in the dacha area north of Karlivka (about 15km southeast of Novohrodivka). Several Russian milbloggers claimed that Russian forces have seized Kalynove (also southeast of Pokrovsk and just northwest of Karlivka), but ISW has not observed visual confirmation of Russian forces either in or near Kalynove and has only observed evidence that can confirm that Russian forces are around one kilometer from Kalynove at their closest observed point. The Ukrainian General Staff reported that Russian forces conducted ground attacks northeast of Pokrovsk near Myrolyubivka, Panteleymonivka, and Zelene Pole; east of Pokrovsk near Vozdvyzhenka, Hrodivka, Novooleksandrivka; and southeast of Pokrovsk near Kalynove, Memryk, Mykhailivka, and Marynivka.