【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 2025.01.15
日本語訳
ロシアの独立系メディア組織“メディアゾナ”によると、政府当局が「望ましくない」と指定した報道メディアに属するジャーナリストや、そのようなメディアの読者に対して、ロシアの裁判所が科した罰金刑の件数は、2024年、かなり多くの数に上ったということだ。報道によると、これらの罰金刑は、ラトヴィアに拠点を置く“メドゥーザ”に科せられたものが大半で、それに加えて、米国の公的資金で運営されている“ラジオ・リバティ/RFE”等々のメディアにも科せられたとのことだ。また、ロシア国外に脱出したテレビ局“ドーシチ(雨)”にも罰金が科せられたという。罰金刑の対象にされた人物の大半は、出版物に関わる著者、編集者、評論家であった。
罰金刑の意図が、ロシア・ウクライナ間武力衝突に関するロシア側公式見解に反する、あるいは、それを批判する、ありとあらゆる報道を、独立系メディアが行うことを抑え込む点にあるのはほぼ間違いない。独立系メディアに関わるロシア国内の人々と、国家統制下のメディアを通して拡散される政府によってコントロールされた見解を受け入れないロシア国内の人々を、脅して抑え込むこともまた、罰金刑の目的である。
2022年2月のロシアによるウクライナ全面侵略以降にロシア政府がますます進めてきたメディア統制及び言論の自由のさらなる制限に関する取り組みにみられるパターンと、この動向は合致している。ロシア独立系メディアの大部分は活動停止に追い込まれるか、外国に逃れざるを得なくなっている。そして、ロシア政府は、ロシア国民が外国メディアにアクセスできないように制限していく目的の、厳しさの増す措置を、導入・執行し続けている。独立系メディアを抑圧するロシアの取り組みが、戦いの続く間、継続して行われていく可能性は極めて高く、これは、政治体制の安定に影響を及ぼす可能性を、戦争が内在的にもっていることに対して、ロシア政治指導部が警戒心を高くしていることの反映である。